フルバランス・プリアンプDCP-240を発売します

今年最初の新製品発売のお知らせです。その名もフルバランス・プリアンプDCP-240です。こちらの方はDCP-110という機種のバランス版になります。

特徴

・ボリュームには通常の27型に加えて50型という超大型の物が選べます。(アッテネーターで4CHの物がありませんので通常のボリューム式の最高級品を使用しました。)
・40万積の法則から導いた新しい帯域バランス調整機能を新設しました。
・バランス4入力、2出力(並列出力)となります。
・入力部はロータリースイッチを使用した空中配線
・アンプインファーストを採用し、しかもゲイン切換(アンプ部のスルー)が可能です。
・アンバランスも2入力1出力可能です。
・アンプ内配線はすべてAET社の2芯シールド線エビデンスを使用した贅沢な配線です。
(210と異なりアンバランスからバランスへの変換機能はありません。)

価格

通常VR型30万円(税別)
高級VR型45万円(税別)

詳細はプリアンプDCP-240の製品サイトを御覧ください。

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価格(税別)

通常VR型30万円
高級VR型45万円

購入はこちらの購入サイトを御覧ください。
製品詳細はプリアンプDCP-240の製品サイトを御覧ください。

アンプのテストに使える危険な裏ワザ -安定化電源の音質差を探れます-

これからご紹介するのはちょっと危険な裏技なので、もし試す際はアンプ、スピーカー共に壊れても良いサブ・サブ・システムで行って下さい(高価なメイン装置では行わないこと)。

どういう裏ワザかというと、内部の電源に安定化回路を使用しているアンプで、安定化回路を使用した時と、安定化しない時の音質を改造なしに瞬時比較するという裏ワザです。

必要なもの

・試聴したいアンプで内部で安定化電源を使用しているもの、3端子レギュレーター使用のアンプなどでもよい(使用しているかどうか分からなくても差し支えありません)。

・スライダック(トランス式でAC電圧を100Vから落とせるもの)、サイリスタを使用した電子的なものは不可です。

・当然ながらスピーカー、CDプレーヤー等も必要です。

方法

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接続図はこんな感じ

試したいアンプのACコンセントをスライダックを経由して接続します。

スライダックの電圧を100Vに調節して、パワーアンプの電源スイッチを入れます。当然の事ながらアンプは正常に動作するはずです。

 

そこからスライダックを調節してAC電圧を60-70V位に落とします。パワーアンプの最大出力は半減しますがそれでも正常に音が出るはずです(それ以下では保護回路が働いてしまいます)。このAC電圧を60-70%に落とした状態だと安定化回路は全く機能せず、結果的に安定化回路を使用しない単純なリップルを含んだ電源になります。

両者の音質を比較することで、安定化回路を使用の有無による音質差を聴き比べることができます(最大出力が違うのでそこの違いが気になるという人もいるかもしれませんが)。

私が試した結果では、良質な安定化回路が組み込まれていると、安定化したほうが音のざらつきが取れて、カチッと定位も決まって繊細さが表現されて、安定化した方が音質は上質でした。

内部での直流電源電圧はこんな状態になっています。

img015_60V

安定化しない電源の電圧変動(AC70V)

img016_80V

中途半端に安定化回路が働いている時(AC80V)

img016_100V

安定化回路が正常に機能している時の電圧変動分(AC100V)

 

 

AC電圧を60-70Vくらいにすると安定化回路が働かないため、電源電圧には単純なリップルを含んだ波形になります。

 

 

 

電圧が80-90Vになると安定化回路が中途半端に働こうとするので半分平坦、半分は電圧が足りず急激に落ち込みます。

 

 

 

 

 

 

 

AC電圧が90-100Vになると正常に機能して電源電圧は一定になります。こうなると変動分は見えません。

 

AC電圧を落とすと、、出力リレーが落ちたりしますので、正常に音が聞けるとは限りません。また保護回路が機能しなくなったりする恐れや、そのたもろもろ危険性があるので、メインシステムでは試さないように注意して下さい。

プリメインアンプDCPMA-100発売のお知らせ

この度オーディオデザインではプリメインアンプDCPMA-100を発売いたしました。
製品詳細は12/10発売の無線と実験誌p.19-21(2016年1月号)にて紹介されております。

また無線と実験誌テクノロジー・オブ・ザ・イヤー2015もめでたく受賞いたしました。

DCPMA-100_068_crop_rev_il12

DCPMA-100の外観

DCPMA-100の注文受付を始めましたが、製品の出荷は来年1月下旬よりとなります。

テクノロジー・オブ・ザ・イヤー受賞を記念して、また製品のお届けに時間がかかることから、期間限定価格を設定させていただきました。

1/10までにご注文の方は20%引きの40万円(税別)にてご案内しています。この機会をぜひご利用下さい。

DCPMA-100製品紹介ページ

DCPMA-100ご注文ページ

img011_240無線と実験誌紹介ページはこんな感じです。記事は井上先生に書いていただいています。先生方にも大変高い評価を頂いています。

 

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他の製品と並べたプリメインアンプの写真。結構大きなサイズです。

 

プリアンプDCP-105が新しく生まれ変わります

オーディオデザインの初代プリアンプDCP-105シリーズは昨年末をもって販売を終了いたしました。

DCP-105は非常に好評ではありましたが、発売以来年数も経ち、デザイン的にも弊社の基準を満たしていないと判断し昨年末をもちまして販売を終了しておりました。

プリアンプとしてはバランス入出力にも対応したDCP-210がございますが、もう少しお手頃な価格帯からのモデルに対する要望も多くありました。

そこで、この度DCP-105をリニューアルいたしましてDCP-110として生まれ変わることになりました。
単に新しいということだけでなく、肝心のアンプユニットや回路構成にも改良を加え、よりよいものになっていると自負しております。

アンプ全般の製品ラインナップは現在このようになっております。
オーディオデザインのアンプのロードマップ
オーディオデザイン社のアンプ・ロードマップ

DCP-110の改良点は

デザイン
・フロントパネルは厚さ10mmのアルミを使用し、音量用ツマミも50Φの大型の物を新規にモノをデザインいたしました。
ACスイッチも変更し、セレクターツマミも専用設計です。
全体のバランスがとれ、外観もかなり高級感のあるものに改良されました。デザインで選ばれてもおかしくない出来だと思います。

使用デバイス
ペアトランジスタの採用
アンプ基板も新たに設計いたしました。初段FET、中段トランジスタはすべてペア・トランジスタ(FET)を採用しました。差動増幅回路、カスコード回路、カレントミラー回路等、2つのペア素子で構成される事が多いのですが、このペア素子の温度ドリフトなどにより、結構フラフラとしているものです。これまで敏感なフォノイコライザアンプなどでは2つの素子を接着して使用するなどして来ましたが、今回はペアトランジスタとすることでこの点を改良しております。

信号アースの分離
トランジスタアンプにはプリント基板を使用しますが、通常電圧の基準となるアース電位はプリント基板全体で共用するのが常識でした(そうしないと逆に不安定になってしまうのです)。今回の回路では信号のアース部を電源のアースと分離して設計し、プリント基板上でも明確に分離されています。もちろん信号のアースと電源のアースはどう電位に保たれるように設計されています。この新しい、回路・実装方法によってSN比も若干改良されています。

デジタル時代に対応するため、回路ブロックを大胆に見直しました
プリアンプでは従来、最初にボリュームを置きその後にフラットアンプを配置するのが常識でした。今回フランとアンプを入力部に置き、信号を増幅した音にボリュームに送る構成としました。新設計のフラットアンプの最大出力は20Vありますので、こういった構成が可能となったのです。
従来の構成ですと、最初に信号レベルを大きく絞りますのでデジタル機器に由来する高周波ノイズ等の影響を受けやすかったのですが、DCP-110の構成では信号を増幅してから音量調節するため、信号レベルが常時大きくノイズの影響を受けにくくなっています。

ボリュームの後はバッファアンプを入れ、ボリューム直出しとバッファアンプ経由の出力があります。

バイアンプで使いこなす
弊社プリアンプはもともと2系統の出力があり、バイアンプなどでも使用出来ましたが、今回さらに出力のひとつにボリュームを入れ、バイアンプのレベルを調整できるようになりました。HighとLowでレベル調整が可能となりますので、再生系のバランスが取りやすくなったと思います。

音質は少なくとも従来のDCP-105よりも良くなっていると思います。特にクラシック系の低音量の領域で差がでていると思います。

販売予定など
最初は通常のボリュームのみのラインナップで来年頃アッテネーターモデルを追加する予定です。

通常のボリューム版の予価は税抜20万円で、4万円分値上げさせていただきます(申し訳ありません)。
ただ最初のロットに関してはご奉仕価格として据え置き価格の16万円(税抜)でご案内させていただきます。

DCP-110第一ロットの購入サイトはこちらです。

DCP-110の基本スペック
入力:RCA4系統
出力:RCA3系統(固定x2、可変x1)
利得:15dB
SN比:115dB(A) @2V
歪率:0.00066% @2V 1KHz
最大出力:20Vrms
重量:7.7Kg
大きさ:440*112*305mm

DCP-110のホームページはこちらです。

DCP-110の外観はこちらです。

リアパネル
出力系統は3系統、1系統はVRがあるのでバイアンプ使用時にレベル調整ができます。帯域バランを整えやすくなりました。

音質的にもDCP-105VRよりも更に良くなっていると思います。
ご質問などがございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。
よろしくお願いいたします。

最近よく頂く問い合わせ -プリアンプDCP210とDCP-200-

最近良くプリアンプに関して質問をいただきますので、ここで説明させて頂きます。

DCP-210とDCP-200の違いは何でしょうか?
DCP-210はDCP-200の後継モデルです。ただし音質的に向上した新製品と言うわけではなく、今春発売されるバランスパワーアンプDCPW-200とデザイン的に対になるべく製作されたモデルです。
具体的にはフロントパネル、ツマミ、ACインレット回りが新しくなっています。
アンプ回路、使用素子そのものはDCP-200とほぼ同じです。内部も、多少の定数変更程度はしています。これらの小変更はこの機種に限らず同モデルの中でも随時多少の変更・改良はしておりますので、そういった範疇のものとご理解いただきたいと思います。またDCP-200とDCP-210で音質的に明らかにどちらがこうだといえないレベルの話になります。
価格が上昇しているのは主にフロントパネル、ACインレット回り(内部も含めて)にコストがよりかかっているためです。

DCP-210のオーディオ誌の評価もこれから出てくる予定ですので、そちらもご参照いただければと思います。
雑誌評価掲載予定
・Gaudio(オーディオベーシック誌とPCBオーディオの統合誌)誌 2月
・オーディオアクセサリー誌 2月
・ステレオサウンド誌 3月

DCP-210の試聴機貸出はしていまんせか?
現在御注文いただいた分を優先して納品しておりますのでデモ機の準備ができておりません。
一般貸出用のデモ機は1月末から2月初に準備できる予定です。
準備ができましたらご案内させて頂きます。

DCP-200はもう販売していないのでしょうか?
後継機のDCP-210を販売開始しておりますので、今後DCP-200は積極的には販売いたしませんが、DCP-200の在庫もまだ少しありますので、ご要望があれば在庫がある間は販売させていただきます。
(注文フォームにはDCP-200はございませんが)ご希望の方はその旨お知らせ下さい。

パワーアンプDCPW-200はいつ販売されますか?
パワーアンプDCPW-200は3月市販開始の予定で鋭意進めております。
現在試作機で音が出る状態になっており、いろいろと細部を詰めております。
音質ですか? 
それは今後のお楽しみということで・・・・(ふふふ)、
よろしくお願いします。

トランジスタ終了のお知らせ  って何?

いきなり変なタイトルで、何のことかと思われるかも知れませんが、実はトランジスタといえば「これ」という物が廃盤になりました(アナウンスされたのは昨年くらいで今年いっぱいの受注と思います)。

それはこれ
2SC1815
小信号用のNPN型といえばこれで、とりあえずトランジスタが必要なときはこれを使うのが常識でした。特性も素晴らしく、例えばHfeのリニアリティーも理想的で,耐圧や電流に問題がなければこれを使うのが当たり前でした。
東芝製ですが、代替品として指定されているのが表面実装のトランジスタですから、そもそも代替できません。

考えてみれば今の家電製品はすべて表面実装ですから、今時儲からない商品を作る余裕など無いでしょうから、しょうがないのかも知れませんが、それでもこれ、これまで使ってきたというか、電子回路を作ってきた人にはかなりの衝撃でしょう。どのくらいかというと

・居酒屋にいって生ビールを頼んだらビールは有りませんと言われた
・自販機にコーラがなくなった
・スターバックスに入ったらコーヒーは無いといわれた

と言った感じでしょうか(あくまでも例えの話ですよ)。

廃品種はこれだけでなく、挿入型のモールド品全般というかなりの規模に渡っています。他のトランジスタ品種とか3端子レギュレーターとかも表面実装以外のかなりの品種が廃盤になっています。まあメーカーの方で時代に沿った新しい型の品種をガンガン出しているわけですから、その一方でガンガンなくなるものもあるのが当然ですけどね、理屈としては・・・。

2sc1815は袋で買うと1個3円位でほとんどただみたいなものです。
ただこれを実装するとなると1個あたり数十円かかるので実装費用の方がはるかに高いのです(手動実装の場合)。そもそも挿入部品は量産品には向かないのでなくなるのが宿命なのでしょう。

オーディオ製品にとってはこの辺に良いニュースはほとんどありません。

逆に表面実装の部品が安価で種類も増えているので、これらを上手に使っていくことになるのでしょうね。

表面実装だと試作や回路の変更が大変なので、製品の性能といういみでは質は今後落ちて行くんじゃないかなーと思います(一般論として)。

大袈裟と思われるかも知れませんが、私としてはそのくらいインパクトがあったのです。

オーディオと音楽を結ぶ本   -から考えてみました-

前のブログで音の歪感を表すのに不協和度という考え方があり、その方がアンプのひずみ特性を表すのに適しているという様な事を述べました。

通常、アンプの歪率は基本波の高調波成分で表すことができるので、不協和に相当する成分(非高調波成分)はないのではないかと思われるかもしれません。
ところが実際にアンプの歪み率を詳細に調べてみると非高調波成分は存在します。ここで最も音の悪いアンプの代表として安物のAVアンプの特性を見てみましょう。

この図は実売価格5万円位のAVアンプの10KHzの歪み成分のFFTスペクトルです。10KHzをAVアンプに入力し、プリアンプ出力から出た信号を高調波歪み率計で基本波を除去したのち、デジタルオシロでFFTスペクトルを取ったものです。10KHzを使用する理由は高調波歪が増加する周波数なので分析しやすいからです。

10KHzに見えるスペクトルはハム成分10.05KHzのスペクトルです。グラフの罫線上にあるのが高調波ひずみ(2次、3次・・・・)です。この場合特に3次の高調波歪が多くでていることがわかります。ただよく見ると4次と5次の間、5次と6次の間にもスペクトルがあるのがわかります。これが不協和に相当する成分です。
これだけだと測定系の歪み成分と思われるかもしれないので、お手本のアンプの同じスペクトルをお見せします。それはこちら。
DCP-EF-105ATTの高調波歪みのFFTスペクトル

手前味噌ですみませんが、弊社のプリアンプの高調波ひずみのFFTスペクトルです。まず、ハム成分が少ないので10.05KHzの成分がほとんどありません。それと全体にわたってベースライン(基底線)が非常に低い事がわかります。これはSNが良い事を表しています。高調波歪みもほとんど有りません。不協和成分もほとんど検出されません。

ちなみに普通のプリアンプはどの様なスペクトルかというと、
オーディオ用プリメインアンプのプリ部の高調波スペクトル

こんな感じです。丁度AVアンプと弊社のプリアンプの中間くらいのスペクトルです。やはり不協和成分に相当する成分も多少出ています。

これらの3つのスペクトルの結果は聴感上の印象とも相関があり、有益なものです。ただ常時スペクトルを取って比較するのはたいへんなので、通常の最適化の際などは単に高調波歪みをとれば十分だと思います。

以上、不協和度という概念を紹介した本から話を膨らませてみました。

このプリアンプはどんな音ですか? -いいえ楽器じゃないので音は出ません-

よく初めてのお客様から「プリアンプはどんな音質ですか?」という問い合わせを電話でいただきます。
実際に表題の様にぶっきらぼうに回答するわけではありませんが、いきなり聞かれても正直お答えのしようがありません。
たとえば、服飾メーカーに電話をして、自身のことまったく説明せず、いきなり、お宅のこの服は私に似合うでしょうか?と質問しても、メーカーも答えに困るのと同じです。同じ質問でも、自分の年齢、体型、好み、使用するTPO、組み合わせる他の服装を説明すれば、それは似合いますとか、こちらの方がいいでしょうとか、専門家ならではの回答をもらうこともできると思うのです(仮に相手にしてくれたとして)。
アンプも同じ事で、使用しているオーディオ装置、好みの音質、改善しようとしている方向をおっしゃっていただいた上で、ご質問いただければ、かなり的確な回答ができると思います。(これまでにお客様からいただいたデータベースも結構ありますので)
プリアンプの音質で良くいただく表現は

・解像度(分離)がいい、・情報量が多い、・音が澄んでいる、

などです。
ただ、これも正確にいえば他のプリアンプでは

・解像度が悪い、・情報量が減る、・音が濁る

ので、弊社のアンプに変えると上記の様に聴こえるだけだと思います。
弊社のプリアンプを入れて音質が良くなるのではなく、音質がまったく劣化しないだけなのです。

実際弊社の中での試聴では他社のプリアンプと音質比較をすると結構な差はありますが、パッシブプリとプリアンプを瞬時比較したり、CD-パワーアンプ直結とプリアンプ挿入の瞬時比較をしても、顕著に音質が変化するわけではなく、少し変わったかなという程度です。

ただお客様の中にはこれまでCDとパワーアンプを直結されて使用されていて(音量調節はなんとセパレートパワーアンプのアッテネーターを調節されていたとの事)、弊社のパッシブプリを入れたら音質がよくなり、さらにその後DCプリアンプに変えたらよりよくなったという方もいらっしゃいますので、DCプリの方がいいとも言えるかもしれません。

そのほかにいただく音質上の評価として

・低音が締まる、・音に厚みが出る、・音がうるさくない

などの表現もいただきますが、これはお客様によってもばらつき、どちらかというとスピーカーやパワーアンプの本来の能力を引き出しているだけだと解釈しています。つまりお客様の装置セッティングに依存しています。
そういう事情があるので、音質に関してお問い合わせいただくときは、まずご自身の装置を紹介していただく事をお薦めします。そうでないと、ひょっとすると表題の様な返答をしてしまうかもしれません。

車の走行性能が悪いのはハンドルのせい?

車の走行性能が悪いときに、ハンドルが悪いと思う方はいらっしゃいますか?

カーブでハンドルを切るとどうも安定しない、だからハンドル(ハンドルにつながるシャフト、伝達機構を含む)を変えてみようと思われる方はいらっしゃいますか(もしできたとして)?

あるいはアクセルを踏んだときの加速性能が悪いから、アクセルとアクセルに繋がる部品を交換してみようと思われる方はいらっしゃいますか?

もちろんいらっしゃらないでしょう。つまらない冗談です。ただこれを笑って済ませられない現実がオーディオ界にはあると思うのです。

車のハンドリングが悪いと真っ先に疑われるのはタイヤならびにサスペンションです(広義にはボディー剛性、重量配分もあると思いますが)。

加速性能が悪ければエンジンのパワー不足あるいは自動車の重量過大と考えられます。

オーディオアンプでよくボリュームのところを問題にしていることがあります。

ボリューム(音量調節器)を絞ると音質が悪くなるといって、この部分を交換して音がよくなったとか、はたまた最近の流行では電子式音量調節器を使用したり、いろいろです。

正直言って音量を絞って音質がそんなに悪くなったと、私自身はあまり感じた事がないので、そもそもその動機が私には良く分かりません。まさか聴覚のラウドネス効果(音量が小さいときに高、低音域の感度が鈍くなる効果) を勘違いしてるのではないと思いますがどうなのでしょうか?

”そういうお前はパッシブプリなどに高価なATT(アテニュエーター)を使用した商品を販売しているではないか ”といわれればそのとおりなのですが、良くみていただければ分かりますが、高級なATTを使用すると直ちに音質が劇的によくなるとは言っていません。普通のプリアンプを使用するより、弊社のパッシブプリにした方が音質がずっとよくなることが多いといっています。つまりプリアンプでの音質劣化分をなくすことに意味があります。ついでに言うと弊社のプリアンプはパッシブプリよりもいいと思いますが。

弊社では以前ユニバーサルパッシブプリアンプという商品を発売しておりました。これはいろいろな種類のATT(アテニュエーター)を同時に3種類搭載し、しかも使用するATTをスイッチで選択できるという欲張りな製品でした。この製品はあまりにも作るのが大変で、ビジネス的には失敗作なのですぐにやめてしまいました。やめた理由の一つはATTの種類による音質差が思ったほど感じられなかったこともあります。通常の連続式VR、P型アテニュエーター(抵抗が直列に繋がっているもの)、Lパッド型アテニュエーター(常に2本の抵抗を選ぶもの)を瞬時切り替えして試聴テストしましたが、普通にスピーカーで聴いている限り判別は難しいくらいです。しいて言えばVR式が少し音の厚みがなくなるような気がしました。ただしブラインドテストでは分からないくらいの微妙な差です。何人かのお客様にも貸し出しをしてご試聴いただきましたが、大体のお客様もおなじ様な結果でした。ただお客様の中にはまったく違う、Lパッド型が断然いいとおっしゃる方もいらっしゃった。このお客様はこの時、能率100dB位の高能率SP(長岡式BL)を使用されていていました。一般に高能率のSPを使用するとオーディオ機器の差がはっきり出ますので、システムに依存して結果はことなってくるのかもしれません。主にヘッドホン等を使用される方も違いがはっきりわかる傾向があると思います(この辺がオーディオの奥深いところです)。

一般にVRあるいはアテニュエーターを使用して、音を絞ると音質が劣化するという原因は(そういう現象があったとして)、実はその原因はVR(ATT)の部品としての性能によるのではないと思っています。VRを絞ると、VR通過後の入力信号の出力インピーダンスが上昇するのでその信号を受けるアンプの回路特性(性能)によっては高域で歪が発生する現象が多々あるのです。(弊社のプリアンプでは極少ですが)。汎用OPアンプの場合、ひどいときには10KHz の歪み率が0.1%くらいになったりします。 この点の詳細解説は、長くなりましたので別の機会に解説したいと思います。
VRを絞って音質が劣化したとして、VRを交換するのではなく、原因を考察して、根本的な対策を施す様にならないとオーディオ界に進歩がないと思うのです(もともとオーディオに進歩なんてないのかも・・・)。

フラットアンプとOPアンプの性能を較べてみよう

フラットアンプの性能を一般的なOPアンプと較べてみました。
フラットアンプとOPアンプの性能比較表
比較したOPアンプはオーディオ用として広く知られている5532というタイプです。ゲインはどちらも約5倍と同じに設定してあります。OPアンプの電源は3端子レギュレータで電源部のパスコンとしてOSコンを使用しています。OPアンプの位相補正は矩形波応答が良好な範囲での最小値24pFに設定しました。
比較項目は100KHzの過度応答波形と歪率特性です。過度応答特性はOPアンプの方も悪くありません。(良くなる様に位相補正しているので・・・)。ただしOPアンプの方はスルーレートが悪いため、立ち上がり、立下り特性がなまってしまっています。
さて一方の歪率ですが、OPアンプの方も決して悪くはありません。非常に一般的な教科書に出て来る様な特性です。ハイエンドオーディオ用としてやはり気になるのは10KHzの歪率特性が若干悪いことです。これはOPアンプの利得が高域で大きく減少し、NFB量が高域で低下しているためと考えられます。一方のフラットアンプ基板の方はすべての周波数で歪率特性がまったくといっていいほど変わっていません。周波数特性が高域まで延びているために広域においてもNFB量が変わらないためです。
さらに0.1Vから1V位における歪率がフラットアンプ基板の方が低いことから(この領域は事実上歪ではなくノイズを測定しています)、フラットアンプ基板の方がノイズも少ないことが見て取れます。