DVDプレーヤー SD-9500の続き -DVD-Audioを聴いてみた-

HDCDを聴く目的で購入したDVDプレーヤーSD-9500の音質が良かったと報告しましたが、このプレーヤーの目的はそれだけではありません。もう一つはDVD-Audioを聴きたかったからです。DVD-Audioって何?CDに映像用DVDが付いてるってこと?って言われそうですが、DVD-Audioはいわば幻のハイレゾ、早すぎたハイレゾです。なぜ今時DVD-Audioをやるかと

オーディオデザインの音すごくいい

BIG BAND STAGE 甦るビッグバンドサウンド DVD-Audio (192kHz,24bit)とCDの2枚組

いえば、・・・・答えは簡単、聴きたいソフトがあるからです(たったひとつですけど)。

このDVD-Audioは192kHz,24bitで立派なハイレゾです。ハイレゾ音源はもっぱらダウンロードが主流ですが、実際にはDVDの様なメディアに入っている方がおじさんにはとっても便利なのです。

もちろん廃番ですが中古でやっとこさ入手できました(中古で5000円近くしてとっても高いんですけど・・・・)。

今普通に流通しているのはCD+SACDのハイブリッド版のこちらです。

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CD+SACDのハイブリッド版

このCD・SACDは録音が凄くよくて気持ちが良いです。低域に厚みがあってぐいぐい押してきます。またSACDで聴くと中高音がなめらかになって更にいいのです。DVD-Audioで聴いたらどんなだろう?と常々考えていました。

結果はどうでしょうか?

実を言うとDVD-Audioの方はあまり良くなかった。中高音がかえって聞きづらくなってしまっていまいた。ちょっと音がヒスを起こしている感じですね。これはDVD-AudioというよりDVDプレーヤーの癖が悪い方に強調されてしまったのかもしれません。順番をつけるとこんな感じですね。

PCMが悪いのでもなくDVD-Audioが悪いわけでもないと思います。いろいろな結果が出るのがオーディオなので。

 

順位 プレーヤー フォーマット 音質
1 DCD-SA1 SACD 高音のきつさがなく滑らかで、同時に低音の量、質ともに向上していて1番良い。すべてが気持ちいい音
3 SD-9500 DVD-Audio PCM版で192kHz24bitなので1番良いのでは?と期待したが、CDよりも少し良い程度。Jazz系はSD-9500の高域の粗さの様な物が強調され合わないのかもしれない。
2 DCD-SA1/

SD-9500

CD SACDに比べるとちょっと高音がきついというか、ざらつくのが残念、ただ録音が非常によくCDでも素晴らしい。クラッシックではSD-9500がとても良く感じたが、このCDでは逆に劣るかもしれない。

HDCD再生目的で買ったDVDプレーヤーSD-9500がオーディオ機としてすごいんですけど

今回は一オーディオマニアとしてのトピックを紹介します。

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黒いのがDVDプレーヤーSD-9500

世の中はハイレゾで賑わっているようですが、私は時代遅れなのかHDCDがマイブームです。HDCDとはCDと完全互換で20bitが再生できるシステムで、まだ規格しかなかった20年前くらいに一部のCDやCDプレーヤーで採用されていたフォーマットです。

「それなら今のハイレゾの方がずっといいじゃん」といわれそうですが、確かにその通り。ただ、特にクラッシックでハイレゾ音源をいくつか試して

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HDCDを再生するとCDの上のHDCDランプが点灯する。

みましたが、特に録音が優れていると思えるものがなく、逆にがっかりしました。その点HDCDは逆で、ReferenceRecordings社の録音したものが良いのでよく聞いています。ここのCDはすべてHDCDフォーマットなので、HDCDが再生できるプレーヤーで再生したらどんなに良くなるのだろう?と常々思っていました。

パソコンでリッピングして20bit音源として保存する技もあるのですが、ちょこっと聴くときにPCにを立ち上げるのは面倒なので、やはりHDCDプ

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リアパネルはXLR出力もあってピュアオーディオ機の様

レーヤーがいいのです。

HDCDは今は現行機ではありませんので、昔の良品を探すしかありません。中古品でいろいろ物色していたら、DVDプレーヤーではあるのですが、こんなの見つけました。それは「TOSHIBA SD-9500」です。なんだピュアオーディオにはだめじゃん、と思われるかもしれませんが、ところがどっこいスペックや評判を見

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専用リモコンがないのですが、東芝の一般的DVDプレーヤーリモンコンで再生、停止、早送り位はできます

てみると、なかなかすごい。

何しろ当時30万円で売りだした、東芝のフラッグシップ機です。

アナログデバイス社のマルチビットDACを使用し、ピュアオーディオ時には3chを一つにまとめるマルチDAC方式で聴けます。またすべての音源を192kHzにアップサンプリングする機能もあります。

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例えばこれがHDCDフォーマットのCD

その音はというと、中高域が済んでいてすがすがしい音、爽やかなおとでこれだけ綺麗な中高音を出すプレーヤーはないのではないかと感心してしまう音です。ただ残念なのは低音域でちょっとというか、そうとう軽い。出てはいるのですがズシーンという感じでは聞こえないのです。ですので全体的に音に厚みがないというか、もう少し力強さみたいなものが出れば完璧だったのですがおしいところです。ただそれでもこの中高域の爽やかさは魅力で、最近はもっぱらこのプレーヤーで聴くようになりました。

もともとHDCDにしたらどんなによくなるか?ということで出発したのですが、普通のCDのを聴いてもさわやかな音で、結局HDCDの効果よりもプレーヤーの音質差の方がはるかに大きく、HDCDそのものの効果はよくわからなかったのでした。

おかげ様で、これをかってからクラシックのCDを掛けることが多くなりました。

ここで、一つだけ注意点が。SD-9500の中古を探すと、怪しげなネットショップで在庫有りになっています。私は見事に詐欺にひかかってしまいました(詐欺にあったのは初めてかも)。その後、ちゃんとしたお店から購入しました。皆さんも購入の際は注意してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラッシックのプロによるカルチャー講座が良かった  みんなもどう?

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メイプルカルチャーセンターの受付

品川区の西大井にメイプルカルチャーセンターというところがあっていろいろなセミナーを主催しています。このメイプルカルチャーセンターのセミナーは品川区がお金を出しているので参加費は安く、その割に空いています(もったいない)。踊りとかヨガ、手芸など色々あるのですが、その中にクラシックの作曲者についての講義があったので行ってみました。

時間は約2時間で、一人の作曲者にスポットをあて、時代背景、生い立ち、曲の意味合いの・ようなものを私達素人にわかるように説明してくれます(以下記憶に基づいて書いていますので間違いがあるかも・・)。

2月20日(土) ジョージ・ガーシュイン 講師佐藤昌弘先生(洗足学園音楽大学教授)

ガーシュインは妙にジャズっぽいと思っていましたが、もともとショウビジネス等の音楽で人気が出て、後に交響曲を作曲したそうです。ガーシュインのメロディーは比較的シンプルで(2音のメロディーで構成されているものもある)、シンプルな方が色々アレンジが効いて広く演奏されるそうです。Jazzの奏法を取り入れてラプソディー・イン・ブルーを最初に作り(オーケストレーションはグローフェに依頼している)大成功を収めましたが、39歳という若さで脳腫瘍でなくなりました。

途中ガーシュインの伝記的な映画も見せてくれて時代背景、生い立ちなどよくわかりました。

3月5日(土) ドボルザーク 松尾祐孝先生(洗足学園音楽大学教授)

9番の「新世界から」が有名ですが、それ以前の8番までもところどころ聴かせて解説し頂きました。「新世界から」について聴きながら序章、提示、展開、再現、集結と楽章の構成を説明してくれました。音楽も文章の「起承転結」と同じように、型があるのですね(それすら知らなかった私)。さらに各楽章に起承転結的な型(音楽での型はもちろん違うが)があることを初めて知りました。

ドヴォルザークの経歴の後、「新世界から」について聴きながら、ここがあれだよって感じで解説していただきました。クラシックもヨーロッパの絵画と同じで、その時代背景や構成などをしるとさらに感動が深まる様です。

内容がいいのに参加者が少なくもったいなかったのでここで宣伝しておきます。皆さんも是非参加してみてください。モーツアルト、マーラーの講座はまだ間に合いますので。

プロの先生に直接質問もできる機会なんてオーディオマニアにはなかなかないんじゃないのでそれだけでもお得です。

オーディオは音楽と決別した方が良い 「本のふしぎ発見」の続きです

このコラムは前の”最初にちょっとクイズです「本のふしぎ発見」 みたいなの続きです。

書いた書籍「ケーブルを変える前に知りたい50のオーディオテクニック」を本屋さんで探しても見つからず、本屋さんにある在庫検索用PCで調べたら音楽の棚にあることがわかりました。そこへ行ってみたら確かに立派に置いてありました。こんな感じです。その時の嬉しかったこと、嬉しかったこと・・・(ご想像下さい)。証拠写真はこちらになります。

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渋谷東急本店”ジュンク堂”2015年9月

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東京丸の内”丸善”

ただ、本が置いてある場所は音楽のコーナーです。私の書籍だけでなく、この書店ではオーディオの本は雑誌も含めて全部音楽の棚にありました。オーディオ雑誌や専門誌はよく買うのですが、恥ずかしながらこの書店では音楽のコーナーに置いている事は知りませんでした。もっと小規模の本屋さんだと音楽のコーナーもそんなに遠くないのでいいのですが、大型書店では勝手が違います。

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東京丸の内の”丸善書店” 上図が全体配置図、下図が拡大図 (とにかく端っこ中の端っこで人がいない)

 

 

 

 

 

そもそも音楽のコーナーというのは書店の一番人が来ない所に配置されていて、丸の内の丸善書店だと赤の矢印の場所になります。人通りの多いメインストリートから最も遠い、死角というか吹き溜まりの様な場所に音楽コーナーがあります。

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渋谷東急本店ジュンク堂の音楽コーナー (休日だというのに誰もいない)

 

 

 

違う書店の渋谷のジュンク堂でも音楽コーナーの場所はもう端っこ中の端っこで、混雑した土日の昼間でもほとんどだれもいない過疎地です。(渋谷の書店の遠景がこれですから。)

書籍には出版社の方で分類コードをつけますが、書店では必ずしもその分類にしたがって配置するわけではなく、独自の判断で置き場所を決めているそうです。

音楽関係の本は売上的には下位の方なので、結果的に一番目につかない場所になってしまうのだと思います。音楽といっても雑誌というより、音楽史とか楽譜とかそういった本が多く、非常に限られた対象の人しか買わないコーナーですので。

ただオーディオ本は音楽関係の人が購入するかというとそうではなく、むしろ電気や機械に興味がある人が凝る趣味なので、購入者の分類からいうと理工学書の電気、PCの場所が最も適しています。わたしもアンプ関係の書籍などを探しますが、だいたい電気、パソコン、ソフト(プログラム)あたりの書棚しか見ていませんでした。オーディオ本を電気の所においてくれれば、今の5-10倍は売れると思いますが残念です。

音楽の演奏をしている人は楽器、演奏法などには凝るのかもしれませんが、再生装置(オーディオ装置)にはほとんど興味がないのが普通です。そこにオーディオ本を置いておいても売れるわけがないのです(そもそもそこに探しに行きませんから)。例えるなら車の雑誌を観光案内のドライブマップのところに置いているようなもので、似ていると考えがちですが、顧客の嗜好という観点からみれば全く的外れです。

おそらくデータに基づいた購入者の行動分析みたいな事を一度も検討したことが無いのだと思います。ジュンク堂、丸善といった大型書店ですらこうですから、本屋さんの世界は結構遅れているのではないかと思います。再販制度で守られているので、本屋さんの進歩というものが止まっているのだと思います。本の売上が落ちているというのはネット社会になって厳しい面もあるとは思いますが、基本的な事ができていないという状況もあると思います。

それではオーディオ本を電気のコーナーに置いてもらうにはどうしたら良いでしょうか?

本屋さんにお願いするのも手ですが、おそらくそうは簡単にいかないでしょう。ここでいいことを思いつきました。本のタイトルを「この本は電気のコーナーに置いてください(音楽の棚にはおかないでね)」とするというのはどうでしょう。これなら置くときにビビって電気の棚に置いてくれるかもしれません。ただ、そのタイトルでは苦情が来ることは必至です(いまの本でも”タイトルと内容が違う”という批判もある様なので)。

今回は本屋さんでの音楽とオーディオの関係について考えてみました。(2冊めの本を出版する予定はありませんので念のため)

最近お気に入りのクラシックCDはこれ ーこれは売ってますー

XRCDのクラッシックが良かったという話をしましたが、これは入手困難でした。もう一つクラシックで音が良いと思えるものがあります。それはこのシリーズ

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EAN: 0030911190620
Tutti Orchestral Sampler
Reference Recordings

これはその名の通りオーケストラのサンプル集です。
このCDというよりもこのReference Recordingsが出しているCDは録音の質がとても良いのです。
クラシックでは音に透明感、SN感が良く、歪もありません。濁りがなく帯域のバランスもフラットに聴こえます。

音色の美しさという点では前に紹介したXRCDが秀でていたのですが、こちらの方はすべてにわたって優等生というかんじです。このCDの他に数枚買いましたが音の傾向はすべて同じです。ただ難をいえば演奏そのものは普通なんじゃないかと思います。
先日もあるサイトからハイレゾのクラッシックサンプル集(10曲)をダウンロード(購入)して聴いてみましたが、そのハイレゾよりもこちらのCDの方が音質はよく聴こえます。

実はこのCDはHDCDというちょっと変わった方式を用いています。HDCDというのは隠しコードで実は24bitの情報が録音されているそうです。
ただしHDCDが再生できる専用のCDプレーヤーでないとHDCDモードでは再生されません。このHDCD用CDプレーヤーは現在ではハードとしては絶滅しています。

ただし、あるソフトでPCBにリッピングすると24bitの情報で記録することが出来ます。dBpoweramp CD Ripperというソフトを使用してDSPオプションにHDCDをセットしておくと24bitで保存してくれます。

hdcdこのリッパーを使用すると24bitで保存できる(真ん中下段のDSPオプションにHDCDが入っている)

(実はこの情報はヘッドホン祭りで毎回角田先生がスピーカーを使用した試聴会でお話されているのですが、その際にこのHDCD24bitリッピングの話をされていました。ちょくちょく休憩がてら立ち寄っていたのです。)

これをfoobarで再生すると44.1kHz24bit(2116kbps)になっています。
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24bitで再生すると普通のCDプレーヤーより音質が良くなるかというと、そこは問屋が厳しくて、ほとんど聞き分けることが出来ません。
(そんなもんです)

このReference RecordingsのCDはすべてHDCD型式ですが、まれに普通のCDでもこのHDCDフォーマットで録音されていることがあります。手持ちのCDを見てみたら映画音楽のアルマゲドンがHDCDでした。

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またHDCDと記載されていないCDでもHDCDフォーマットで録音されているものもあるそうです(リッピングして初めて判る)。