測定ソフト「ARTA」を使用したリスニングルームの周波数特性の測定(応用編)

前編では”ARTA”を使用した周波数特性の測定結果を紹介しましたが、今度は少し応用してみましょう。

インパルス応答を利用した特性解析(応用編)

反射波のインパルス第一波の周波数特性

前編でのインパルス応答では観測されたパルス波形5波すべてに対して解析しましたが、今度は特定のパルスだけの周波数特性を測定してみましょう。

imps-fインパルス応答の黄線から赤線までの黒色領域(到達後3msの第1波)のみから、周波数特性を算出してみたのが、左の周波数特性です。
前編のインパルスの全応答は0-400msの全領域でしたが、今度は(黒色の)6msまでの短時間領域でのみ計算していることに注意してください。
この領域は直接波のみで、壁や床天井からの反射波が届いていない時間帯での周波数特性になります。
測定された周波数特性は(10kHz以上を除けば)ほぼフラットで、当然ですが反射波の影響を受けていないことがわかります。300Hz以下でだら下がりになっていますが、この領域は解析波形の長さ(時間)が足りないために誤差が大きくなっているためです(ARTAではこの測定結果に誤差が多い領域は、自動的に横軸に黄色線が表示されます)。

第1波の累積スペクトル特性

第一波の累積スペクトル第一波の累積スペクトル(波数表示)

今度は累積スペクトルを見てみましょう。
左は同じく第1波の累積スペクトラムです(時間軸表示)。中低域の立ち下がりが悪い様に見えてしまいますので、時間軸表示から、波数表示に変更した累積スペクトルがこちらになります。

 

波数(周期)でみると、周波数にかかわらず、すぐに減衰していることが分かります。ただ2kHzから10kHzにかけてピークが移動していくのですが、この原因はよくわかりません。

 

 

第2波の周波数特性

imp2-f次に反射波である赤線近傍の第2波のピークから算出した周波数特性を見てみましょう。前編の総合周波数特性に比較すると、まるで教科書に出てくる干渉波形のようにきれいな周期変動が見えています。
これはSPの後ろ壁(か測定マイクの後壁)からの反射による影響でしょう。

この様にインパルス応答波形の時間を区切って解析すると、反射波一つ一つの影響を(壁ごとの影響を)、分離して解析できる可能性があります。これができると壁に拡散パネル、吸音パネルを設置した影響を正確に把握できるので、リスニングルームの調整も効率的に進めることができる可能性があります。

この時点ではARTAはフリーソフトの状態で使用していました。このときは波形の保存ができないため、後から解析を追加することができません。これまでの、解析結果もちょっと矛盾や不足があるかと思いますが、今回の結果は手始めに、ソフトを実際に使用した感触を見てみたと解釈していただければと思います。

これらの結果を踏まえて、次はより正確な解析にチャレンジしてみたいと思います。

測定ソフト「ARTA」を使用したリスニングルームの周波数特性の測定(基礎編)

DynaudioのC4を導入してから、はや2年が経過しました。導入当時におよその周波数特性はこちらのコラムで測定していましたが、その後多少レイアウトを動かしたので再度特性を測って見ました。

測定方法について

測定に使用するソフトとマイクに今回は新しいものを試してみたので紹介します。

測定ソフトについて
これまで、周波数特性の測定は「Myspeaker」というソフトを使用してきました。このソフトは周波数特性だけでなく、累積スペクトル等の表示もできて優れたソフトでしたが、さらに詳細な解析ができるソフトがありました。それはARTAという測定ソフトです。測定項目はほぼ同じですが、痒いところに手が届くというか、詳細な解析を使用する場合はこちらの方が便利です。今回はその使い勝手も検証する意味で、このソフトを使用して簡単な解析をしてみました。
測定マイクも新しく
測定用USBマイクUMM-6測定に使用するマイクはこれまでベリンガー社のECM800と言うものを使用してきましたが、このマイクは48Vのファンタム電源が必要なため、何らかのミキサーのようなものを別途接続する必要がありました。これはこれで面倒なので今回周波数特性の測定用に市販されている、USBマイクを試してみました。

それがこのDaytonAudioのUMM-6というマイクです。電源部も内蔵されているのでパソコンにUSB接続するだけで使用できます。おまけに周波数特性の校正表がついてくるので、より正確な測定が期待できます。

試聴エリアのレイアウトについて
測定時のスピーカーレイアウトimg_20161105_091944_listningspace試聴スペースのレイアウトは少しずつ変わってきています。最近はJBL4429をしまって、C4だけをやや左右に距離を取って置き、さらに50cm程後ろに下げました。これによって音場が左右に広がり、またスピーカーを後壁に近づけたことで低域の厚みが増して、よりバランスが良くなりました。
以前はSPの後ろを通れるようにあけていたのですが、実用性よりも音質を優先したのです。

測定系の特性について

ラップトップPCの音声入出力部の周波数・歪率特性

ラップトップPCの音声入出力部の周波数・歪率特性

測定はラップトップPCを使用して行います。スピーカーの測定の前に、PCのからのオーディオ出力をそのままオーディオ入力に戻して、PC系統の基本性能をチェックしてみましょう。
使用したラップトップPCのオーディオインターフェースには、スピーカー(イヤホン)出力端子とマイク入力端子がありますが、ライン入力がありません。イヤホン出力をそのままマイク入力に接続して、内部ソフトのミキサーでゲインを調節しました。
その時の周波数特性と歪率特性はこのようになりました。
周波数特性は20kHz近辺で落ち込んでいますが、今回の測定には支障はないでしょう。歪率の方は約0.1%で、スピーカーの歪率よりも悪いくらいです。今回の測定では歪率特性は信用できません。歪率特性を測定するには別途外付けのオーディオインターフェースを使用する必要があるようです。

 

インパルス応答を利用した特性解析(基本編)

imp

インパルス応答波形

周波数特性を測定するだけでしたら、サインの連続波で測定したほうがきれいに測定できますが、今回は訳あってインパルス応答波形から周波数特性を測定する方法を使用しました。インパルス応答波形の測定結果がこちらです。最初のインパルス応答のあと何パルスか壁からの反射波が続いていることがわかります。

imp1-4-fこのインパルス応答から周波数特性を算出した結果がこちらのグラフです(ボタン一つで計算されます)。測定時のマイク位置はレイアウト図でS0の位置です。

10kHz以上で低下していますが、これは測定系に何らかの原因があると思われます。多少の谷はありますが、非常にフラットできれいな特性が得られています。全体の傾向は(10kHz以上の低下を除けば)以前に、サイン波の連続波で取った特性の類似しています。

次に累積スペクトラムを見てみましょう。
imp1-4-acu1imp1-4-acu2
こちらがインパルス応答から算出した、累積スペクトラムです。一般に、累積スペクトラムを時間軸で表すと高域は早く収束し、低域は収束まで時間がかかるので全周波数帯域を観察することはこんなんです。

ARTAでは時間軸を波数で表示することも可能です。こうすると第何波で収束するかという表示になるので過度特性の周波数特性が見やすくなります。

左のグラフは累積スペクトラムのは数表示ですが、低域の方が若干収束するまで時間がかかっていることがわかります(最大20波程度)。スピーカーの構造上の原理を考えれば当然のことで、合理的な結果です。これでもかなり良好に収束している方でしょう。
また20波を過ぎても単発的にピークがありますが、これは壁などの反射による影響でしょう。

 

以上、USB接続の測定マイクと測定ソフトARTAを使用して周波数特性等をざっと測定してみました。ARTAはもっといろいろな使い方ができるソフトです。次回に応用例を紹介します。

40万積の法則から考えた帯域バランス調整方法

以前にスピーカーの40万の法則について  -気ーづいちゃったよ-というコラムを書きました。要約すると「40万積の法則というのは高音と低音の音量バランスが調度良くなることを表しているのではないか」ということでした。

400k_1数学的に表現すると再生帯域が40万積になる時にはスピーカーの再生中心周波数と可聴帯域の中心周波数が一致しているので、高音と低音のバランスが良く聴こえるとも言えます。

 

数学的には2乗根で表される相乗平均(幾何平均)が再生帯域と可聴帯域で一致している時ともいえます。

 

実際のスピーカーシステムでは20kHz400k_2はいいとしても20Hzまで再生できることはほとんど無く、せいぜい30-50Hzまでが限界です。そうなると、一般に低域の量感が不足しがちになります。

 

 

これを補正する方法として二つの方法を考えました。

(1)低域再生限界付近を持ち上げる

20-50Hzが不足しているので、その代わりにすぐ上の50Hzから100Hzくらいまでを持ち上げて、低音域と高音域の量感が同じになるように調整します。結果的にはトーンコントロールで低音域を持ち上げるというのと同じです。

また40年くらい前に流行った3D方式で(といっても今のTVの3Dとは異なります)、100Hz以下の低域に1本のウーハーを加えて持ち上げてあげると、やけにいい音になったことを覚えています。100Hz以下だけを持ち上げると他の帯域には影響せず不足した部分を擬似的に補うので具合が良かったのです。解釈を変えるとこういった帯域バランスの補正効果もあったのではないかと思います。

*3D方式は高価で大きくなる超低域を大型ウーハー一本で行うという方式ですが、モノであるため100Hz以上を急激にカットします(-18dB/oct以上)。単なるトーンコントロールの低音ブーストとはスロープが異なります。

400k_4

 

(2)中心周波数以下の音量を上げる

もう一つはもっと単純に低域全体を持ち上げる(あるいは高域全体を下げる)ことです。トーンコントロールで調整しても同じ様なものですが、一般にトーンコントロールは最高域、最低域付近のみを調節するのに対して、中心周波数以上、以下で音量を調節するところが異なります。

400k_3

実際には(2)の方が回路的には簡単なので、(2)を実現する帯域バランス調整回路を考えました。630Hzを中心に高域、低域を+-1dB又は+-2dB調節する回路です。CR型でこの回路を構成すれば音質劣化もほとんどありません。

この回路は新型のフルバランス・プリアンプDCP-240 実装しましたが、結果は非常にgoodでした。

スピーカーの40万の法則について  -気ーづいちゃったよ-

40万の法則とは

オーディオ装置、特にスピーカーについて再生帯域の上限と下限の積が40万だとバランスが良いという法則がありました。最初に知ったのは確か、ラジオ技術誌かなんかだと思います(元々、同誌に記事を書かれていた池田圭先生が発見されたそうです)。これは、それまでオーディオ再生装置の銘機を調べてみると、何故か低域と高域の再生限界の積が40万になっているというものでした。例えば20-20kHz、40-10kHz、100-4kHzが40万積に該当します。
これを聞いた時は、確かに経験的にはその通りだと思いましたが、何故そうなるのかは皆目見当が付きませんでした。

オリジナルのデータはこちらにあります

40万積の法則の原図らしきものがこちらのブログに掲載されていました。

再生周波数帯域が狭くても、結構心地よく鳴る装置というのがあります。例えば表現が古くて申し訳ないのですが、よく出来たラジカセとか。ミニコンポでも10kHzで(自然と)切れている方が(超低域が出ないので)バランスよく聴こえたりしたことがあります(結果的に40万積に近くなっている)。

4040万積の法則の解釈

昔は、経験則としては最もだと思っていたのですが、最近ふと気つきました(気ーづいちゃった気ーづいちゃったって言うギャグの人は最近どうしているのだろう)。要するにこれは帯域バランスが良いということではないかと。

 

40_2周波数を横軸として可聴帯域を表現するとこうなります。エイヤで真ん中(約630Hz=√40万)で区切ってそれより上を高域、下を低域とします。低域の量と高域の量はそれぞれの面積になるので、低音限界が20Hzで高音限界が20kHzだと丁度両者の面積は同じになって、高音と低音の量感が同じになります。つまり帯域のバランスが取れているのです。

つまり再生帯域の積が40万になっている状態は、言い換えると帯域幅の中心が、可聴帯域中心の630Hzに一致している状態です。結果的に高域と低域の量感のバランスがおなじになるのです。

40_3たとえば低音域が40Hzしか再生できなくて、高域も10kHzまでしか再生できない場合も、両者の量感は同じになって帯域のバランスが整っていることになります。80Hzと5kHzの組み合わせでもおなじです。この低音と高音の量感が整っている(同じ)というのは、数学的に表現すると再生帯域が40万積になっていると言うことが出来ます。

40_4逆に40万積の法則を満たしていない場合は、低音域が切れているのに、高音だけ伸びていると高音域の量感がまさって、バランスよく聞こえないのです。この時は40万積の法則が崩れています(もっと大きな数字になる)。

40万積の法則と言うので、その原理(理由)がわかりにくかったのですが、実は帯域バランスが優れているということの数学的表現だったのではないかと思います。

(もちろん池田先生は経験則として導かれたのだと思いますが)

ディナウディオConfidence C4の周波数特性を測ってみました

ディナウディオのConfidence C4を導入しました。早速、周波数特性等を測定してみましたので報告します。

事務所の試聴スペースの間取りと写真はこのような感じです。

リスニングルームのレイアウト

新試聴室 010-640

C4layout

試聴スペースのレイアウト
図のアスペクト比がちょっとおかしいが、寸法は大体あっています。
写真は矢印から撮っています。

 

 

写真はこのレイアウト図の矢印から撮っています

リスニングスペースとしては(都心としては)比較的広めのリビングルーム程度の大きさはあります。スピーカーはこの辺が良かろう、というところにポンと置いて特にそれ以上の調整はしていません。

測定は測定用の無指向性コンデンサマイクECM-800をUSBインターフェースのマイクアンプを通してPCに接続し、スピーカー特性測定用ソフト「Myspeaker」を使用して行いました。

測定結果

周波数特性はこちらになります。

測定位置はソファに寄りかかった位置、ちょうど赤顏印のあたりです。

C4L-SinSweep

C4(左CH)の周波数特性(ソファ上)赤顔印あたり

200Hzから500Hzあたりがやや凹んでいますが、全体的にフラットで良い特性です。どこまで信頼できるかわからないところもありますが、20Hzまで落ちていません。高域も普通は1KHz以上でなだらかに低下していきますが、10KHzくらいまでほぼフラットです。

C4LR-SinSweep

C4(右CH)の周波数特性(ソファ上)赤顔印あたり

右CHも同様の特性ですが右壁の方が近いせいかやや低域が暴れています。

ソファに寄りかかった位置から50cm位前にでた位置(青顔印と赤顏印の間位)で測定した周波数特性です。200-500Hzのくぼみも改善されて全体的によりフラットになっているのがわかります。

C4R2-SinSweep

Rch赤顔印と青顏印の間で測定

 

 

さらに前にでて青顏印で取得した周波数特性です。200Hz以上でよりスムーズな特性になっています。やはり後ろ壁よりも少し離れた方が良いようです。

C4R1m-SinSweep

Rch青顔印(背面壁から1m)で測定

同じく背面壁から1m離れた位置で測定した左CHのC4の周波数特性。

C4L1P5m-SinSweep

Lch青顔印(背面壁から1m)で測定した周波数特性

RCHと同様にかなりフラットになりました。 ただこの位置ですとSPに近づきすぎていて、高域も完全にフラットに出ていますので、ややはっきり聞こえすぎる感があります。まるでヘッドホンの様なバランスです。こう考えると、C4を理想的なバランスで鳴らすには前後の距離が8m位欲しい所です。

改善案としては、現在の位置からSPを少し後ろに動かした方が良いかもしれません。

 

C4の歪率特性

次に歪率特性を測定してみました。黒が周波数特性で、緑線が第2次高調波、青線が3次高調波歪、グレーがノイズスペクトルです。両歪とも40dBUpさせています。

500Hz以上では歪率は-60dB(0.1%)程度とスピーカーとしては非常に優秀ですグレーのノイズレベルまで低下していますので、実際はもっと小さいかもしれません。100Hz以下の低域においても-40dB以下で、通常スピーカーでは大振幅となる低域ではもっと上昇しますので、かなり優秀だと思います。

C4-Distortion

 

残響時間測定 

残響時間は部屋の特性で本来スピーカーには依存しないはずですが、C4からパルス音を発生させて、残響時間を測定したのが下の図です。

全体的には0.2秒で、50-200Hzで約0.3秒程度に伸びています。

C4L1m-BppReverb

C4で測定した残響時間特性

 

累積スペクトラム特性

累積スペクトラム特性は各周波数ごとの立ち下がりの様子を3次元的に表現したちょっとかっこいいグラフです。トーンバースト波形を全周波数で見ているようなものでしょうか?
C4R-Accumulate

これを見ると高域の方がきれいに音が切れているように見えますが、時間軸でみているので低域はどうしても減衰するのに時間がかかります。時間ではなく、波数(あるいはサイクル数)でみた方が公平なトランジェント特性になるかもしれません。1KHz以上の周波数では一度立ち下がった後には波形が一切見えずきれいです。低域では200Hz以下が盛り上がってますが、インパルス応答はSN比が悪く、信号の変動分を低域と勘違いする傾向があるのであまりあてにはなりません。200Hz以下が信用できるとすると、50Hz以下で特にレベルが低下していないことがわかります。50Hz以下は部屋の定在波などでずっと鳴りっぱなしなのかもしれません。

C1,C2に比較してC4は低域が出すぎるというプロの方のコメントを複数聴いたことがあるのですが、無響室の周波数特性ではどのモデルもフラットです。C4が50Hz以下の超低域が出ているので、部屋の定在波などの影響で、低音の切れが悪いように聞こえているのかもしれません。

以上、ディナウディオのConfidenceC4スピーカーを導入したので、基本特性を調べてみました。非常に参考になる特性が取れましたので、これらを参考にして今後のセッティングを詰めていきたいと思っています。

スピーカーシステムの周波数特性を改善してみました

画像

事務所の試聴スペースのレイアウトを変更してスピーカーシステムのおき方などを大幅に変更して、周波数特性、聴感上の印象も良くなったことを以前に報告しました。

さらにスピーカー後方にパネルを設置した所さらに音が良くなった気がしたので、再度周波数特性を測ってみました。
ちなみに現在の事務所のスペースは後ろの物置のスペースも含めて30m2位(約20畳)あります。配置の断面図はこんな感じです。

new-layout.gif

スピーカーシステムの配置図

試聴位置の方角から写真で見るとこんな感じです。

SPシステムの配置の様子

SPシステムの配置の様子

JBL4429L-backBoard-SinSweep

反射パネル設置後のJBL4429(左CH)の周波数特性

スピーカーシステムの後ろはレイアウトの都合上2m位はスペースが空いています。後ろのスペースが空きすぎていることもあって、ウーハー1本のB&Wではちょっと低音が物足りない感じがしていましたので、写真の様な高さ1m位の合板(に壁紙を貼った自作パネル)を置いてみました。このパネルは45cm幅2枚を蝶番でくっつけたもので、ほぼ任意の角度に開いて設置することができます。
すると期待していた以上に音が良くなりました。低音の量感がまし、最低域も伸び力強さも出る様になりました。聴感上よくなったので、理由を探るためにも再度周波数特性を測定してみました。
その結果がこちらです。

以前にこのコラムで書いた反射パネルを設置する前の周波数特性がこちらです。

JBLNewLayoutLeft2-SinSweep

反射パネル設置前のJBL4429の周波数特性

反射パネルを設置したほうが70Hzあたりの谷がなくなって120Hz以下のレベルが全体的に上がっています。それと以前にあった2Khzあたりの盛り上がりがなくなって、周波数特性が全体的にフラットになっていることがわかります。これはSP中央にもパネルを設置したので、

凸凹が少なくなったのだと思います。

また、スピーカーをB&WのCDM-7NTにした時の周波数特性はこちらです。

B&W 左の周波数特性

B&W 左CHの周波数特性(反射パネルあり)

 

B&W左CH 反射板設置前

B&W左CH 反射パネル無し

B&Wの場合も、以前あった80-100Hzのピークが消えて、40-100Hz帯域がほぼフラットに出ています。この違いは聴感上は非常に大きく、とてもこのユニット構成が鳴っているとは思えない力強い音になりました。このB&Wの中高音はもともとやや癖があり、うるさいのですがそれに負けない低域が出ているので、ものすごくよく聴こえるようになりました。

 

事務所のレイアウトを変更したので、スピーカーの特性を測ってみました

久しぶりにコラムを書いてみようと思います。

実は最近事務所のレイアウトを変更しました。スピーカーの位置を変えて来客用のドアの近くに試聴スペースを移動しました。以前は採光の理由から入口付近が荷物置き場になっていて、常に試聴スペースを確保する事ができませんでした(来客の度に部屋を整理する必要がありました)。

これで繁忙期などにも試聴対応しやすくなりました。とはいってもまだ試聴のご案内はしてませんが・・・。

肝心の音も全体にフラットに聞こえて、低音の抜けなども良くなった気がしたので、周波数特性などを測定してみました。

測定結果は以下のとおりです。

JBL4429の周波数特性(左CH)

JBLFreqLeft

B&WCDM7TNの周波数特性(左CH)

BWFreqLeft

 

B&WCDM7NTの周波数特性(左+右)

BWFreqL+R

以前のJBLの周波数特性がこちら

JBL4429-3m-Lch-SinSweep

これはSPからの距離が3mのところで測ったもので、これもかなり良かったが、今度の新しいレイアウトでの周波数特性も相当良い。

 

使用している測定ソフトはMyspeakerというソフトで、フリーでも使用できますが、表示に制限があるので、購入したものです。

周波数特性だけでなく他にもいろいろと測定できます。

例えば累積スペクトルがこちら

JBKAccumRightJBL カッチョ良い

BWAccumLeftB&W

高域の切れはホーンのJBLのよりB&Wの方が良い(ほんとか?)

 

JBL-Zan残響特性がこちら

低域がちょっと長いのは聴感と同じ。

JBL-DistJBLの歪率特性(歪は40dBUp表示) 高域の歪みが非常に少ない(ホーンだからか?)

 

位相特性はこちら

JBLPhase

BWPhase

これみんなMySpeakerというソフトでマイクがあれば測定できるのだから凄いです。

新しいレイアウトは少し音が良くなった気がします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

使用機器紹介 −スピーカー編−

現在使用している再生装置を紹介します。(使用しているといっても必ずしもお薦めということではありません。)

スピーカーはB&Wの805Sを使用しています。もともと同社のCDM 7NTというのを持っていたのですが(今もある)、これはバランスの取れたコストパフォーマンスも良い優れたスピーカーです。805Sはある方に薦められたこともあり、雑誌の評価も高く、また立ち聞きはしていたので購入しました。ただこれは大失敗でした。805Sは高音にものすごい癖があり、すべての音がカーンと響くような音なのです。それにつられて全体の帯域バランスが悪く、すべて中高音が耳について、非常に聞きづらい音になります。低音は1年くらいたって少しは出るようになりましたが、それでも全体のバランスは聞けたものではありません。(どうりで新品同様のものがオークションにたくさん出ているわけです)。

いいところは、解像度が高く、定位も7NTに比べていいので、Jazzなどで、特に中低音の厚みがある録音は聞けないこともありません。7NTは全体のバランスはいいのですが、805Sに比較すると全体的にもやっとしたところがあり、805Sを聞いてしまうとちょっと物足りないところがあります。本来はもう少し上位機種にしないといけないのかも知れません。ただ、いいスピーカを使用していい音がでても(弊社の)アンプが良いと思ってもらえないので、比較的貧弱なスピーカーをすごい音で鳴らすのが目標です。

805Sの写真805Sの写真(なんだかんだいって結局使用している)

805Sの耳に付く中高音は、その聴こえるとおり、周波数特性が中高音のレベルが高いことにあります。

加えて28KHzに強烈な共振(+14dB)があるので、その影響だと思います。 +14dBというのは約25倍の大きさの音が出るということで(聴こえれば)、これは可聴帯域外とはいえ影響が無いほうがおかしいでしょう。そこで、この共振を打ち消すためにピークキャンセラーを作ってTw側にいれました。またTwは約2dBレベルを落としています。ピークキャンセラーの効果は微妙ですが、レベル調整によってある程度聴けるようにはなってきました。

805Sの周波数特性(無響室特性)雑誌に載っていた805Sの周波数特性(無響室)28KHzピークがすごい

805Sに取り付けたピークキャンセラーツイーターにつけたピークキャンセラー/28Khz、-14dB、半値幅も合わせてあります。

CDM 7NTCDM7NT買うならこの断然このタイプの方をお薦めします

805Sは室内の周波数特性を図ってみるときっちり40Hzまでフラットに出ていて、この点は大型SP並です。もう少しアンプ側からのアプローチで手を入れてやれば、素晴らしい音になる可能性があるので、結局手放せないでいます。できの悪い子供ほどかわいいということでしょうか?

スピーカーシステムの周波数特性(その2)

はじめに

前節でスピーカーシステムの周波数特性が得られるようになりましたので、SPシステムの置き方などを探ってみたいと思います。

スピーカーの設置高さ依存性

さて、ここでも一度得られた周波数特性を見てみます、全体的にフラットでバランスの良い特性が得られているといえます。

(SP:B&W805S、45cm高のSP台上において測定、マイク高さ1m)

(SP:B&W805S、45cm高のSP台上において測定、マイク高さ1m)
ただ気になるのは150Hz近辺に大きな谷があることで、全体的に低音の量感が物足りないことを裏付ける結果となっています。いろいろ調べましたが、この谷は床からの反射が大きく影響しています。そこで床からの反射の影響を低減するために床に直においてみました(下図)。

床直置きでの周波数特性、RCH)

床直置きでの周波数特性、LCH)
150Hz 付近にあった谷は消え、かつ100Hz以下のレベルも若干上がり低音域のバランスも改善されました。全体的なバランスは床直おきの方が優れていますが、ただ逆に中高音域での暴れが目立つようになってしまいました。床に置くと床からの反射波との距離差が 20-30cmになりますので、 干渉の影響で中高音が乱れる結果になり、根本的な解決策にはならないことがわかります。

スピーカーの後壁面からの距離

次にSPの後ろ壁面からの距離を変えた結果について見てみましょう。

上の図面はスピーカーの後壁面からの距離Dbを変えて周波数特性を測定したものです。45cmの台に乗せた状態で測定しています。Dbが大きいほど壁から遠いことを意味しています。後壁面からの距離に関しては低音域で大きな違いがでました。距離を離すほど120Hz以下の全体的なレベル(線で示しているあたり)が下がってしまっているのがわかります。一般にSPのセッテイングは壁面から離す方が良いと言われたりしますが、必ずしもそうでないことがわかります。周波数特性から言うと、50cmか35cmが好ましいといえるのです。ちなみに35cmというのはSPを後ろの壁にほぼ付けた状態になります。理想を言えばSPを壁に埋め込んだ形で無限大バッフルの様な感じにした方が周波数特性の暴れもなくなっていいかもしれません。またDb=80cmのグラフは中低音域(100-1000KHz)の特性にも鋭いピークが生じていることがわかります。特に小さいSPシステムの場合はあまり後壁面から離さないで、低音域のバランスを取ったほうが好ましい結果になるといえます。

スピーカー試聴距離依存性

次にSPと試聴位置との距離(Dl)の依存性について調べた特性を下図に示します。試聴距離Dl依存性は試聴でも最も明確に認識できる周波数特性の変化です。 距離2mではほぼフラットで低域がかまぼこ型に低下しているのに対して3mになるとやや低域が持ち上がります。4mの距離になると100Hz以下が強烈に持ち上がってきます。 聴感上全体のバランスが整っている様に聞こえるのは3m付近です。2mですと低音不足に聞こえます。 一般に中高音は直進する性質がありますので、間接音が低音域に比べて少なくなるため、試聴位置でのレベルが下がっていて自然なバランスになるのだと思います。 いずれにしろ試聴距離依存性が非常に大きく周波数特性を左右していますので、この影響を平均化する工夫をしないといけないかもしれません。

スピーカーシステムの周波数特性の測定方法

はじめに

スピーカーシステムの周波数特性はオーディオシステムの中でも最も音質に大きな影響を及ぼす大切な特性と考えられます。 ここではスピーカーシステムの実際の試聴状況における周波数特性の測定方法と実測結果について紹介したいと思います。

スピーカーシステムの周波数特性の測定方法

測定方法には大まかに分けて次の2つの方法があります。
・FFTによる周波数特性測定
・サイン波による測定
一つ目の方法はホワイトノイズをSPから出力し高速フーリエ変換(FFT)することにより周波数特性を測定するものです。この手法はFFTのフリーの解析ソフトもありますので比較的手軽に実施できます。メリットはほぼリアルタイムで特性が把握できることです。欠点としてはノイズ、あるいは統計誤差により周波数特性上のピーク、ディップがあることと特に低域の精度が出にくいことです。測定中のレベル変動を低域成分としてカウントしてしまい、低域の特性が実際よりも大きく見えてしまったり、再現性に乏しかったりすることがあります。
(ホワイトノイズ+FFTで解析求めたスピーカーシステムの周波数特性)
このグラフは実際にスピーカーにホワイトノイズを入力し、応答波形をFFT解析して周波数特性を求めた結果です。
原理的に分解能が一定なので高域程ノイズが目立つようになります。全体的にノイズが目立ちます。ノイズは平均化回数を多くすると改善されるはずなのですが、そうすると本来あったピーク・ディップも平均化されなめらかな特性になってしまう様です。もちろんプログラム・ソフト上で工夫すればこれらの問題はある程度改善されると思いますが、そこまでできるもので安価なものは無いようです。
2番目の方法はサイン波を直接入力して測定するもので、無響室ではよく用いられますが、実際の試聴環境下で測定される例は少ないようです。しかし実際にこ の方法で測定してみると、細かな周波数特性上のピーク・ディップがはっきり把握でき、FFTよりも高い精度で信頼できるデータが得られやすいのです。次に実際にサイン波による測定方法を2例紹介します。

サイン波のスイープによる自動測定(その1)

まず最初にパソコン(とマイク)だけで周波数特性をはかる方法を紹介します。RightMark社というところがRMAAというDAコンバーター用の自動測定ソフトを提供しています。
http://audio.rightmark.org/products/rmaa.shtml
フリーソフトですがかなりの機能が使用できるので試してみました。もともとDAコンバーターのテスト用ですのでSPの測定には向かないのですが、何とか特性を計る事ができました。ただし測定時のレベル設定に非常に敏感でレベル設定は何度もやり直しました。またあまりに周波数特性が悪い場合は測定結果がおかしいと思われることも多々あり、決してお薦めはできませんが、スイープによる測定方法の可能性を見るものとして紹介します。

SP:B&W805S、45cm高のSP台上において測定、マイク高さ1m
この特性は正面2mにおける左右の周波数特性を測定した結果です。SPはB&W805Sです。測定時間は一つあたり数秒で終了し、この様な見やすいグラフにしてくれるので大変便利ですが、実際には先に述べたように何度も測定しなおしています。また全体的に細かなピークディップが少なく測定されています。SP向けにもっと細かくゆっくり測定できると理想的なのですが・・・。特性は全体的にフラットで非常にバランスが取れていることがわかります。 16cmのSPで50Hzまで低域が延びているのは立派です。

サイン波のスイープによる自動測定(その2)

次にもう少々本格的なスピーカーの周波数特性の測定方法を紹介します。使用するのはオーディオアナライザーです。 オーディオアナライザーは低周波発振器、AC電圧計、歪率計が内蔵されたオーディオアンプ用の測定器です。発振器とAC電圧計がありますので、これを用いて自動測定のシステムを組んでみました。 使用したオーディオアナライザーはPanasonicのVP-7723Aというものです。 この測定器にはGPIBという汎用的な通信制御機能がありますので、GPIBを利用してこの測定器をパソコンから自動制御するシステム/プログラムを構築しました。

サイン波の純音をスポット出力し、音圧を測定した後、周波数をずらして測定を続けます。周波数の可変ステップは5%とし20Hz-20KHZまでを143点を5分で測定します。以下に測定結果を示します。
5%きざみで測定すると連続的にスイープしたかのような周波数特性が得られていることがわかります。先のRMAAを用いた測定結果と比べると次のことがわかります。
・RMAAと全体の周波数特性の傾向は似ている
・ただしRMAAでは狭いディップが広がってかつ浅く、平均化されて測定されてしまっている
(4KHzの谷が広がり、150Hzの谷はかなり浅くなっている)
RMAAによる測定も第一近似としては良いのですが、やはり実際の周波数特性を見てしまうと力不足であることがわかります。 RMAAの測定は全帯域を数秒でスイープすることに無理があり、SP用に数十秒かけて測定できれば同等精度で測定できると思います。
オーディオアナライザーとGPIB制御による測定の問題点はやはり測定装置が大掛かりになることと、スポット測定のため、比較的時間がかかる(5分)ことです。 5分間ブーとかピーという音を出すので近所迷惑でもあります(ある程度レベルを上げないと騒音の影響を受けます)。

(SP:B&W805S、45cm高のSP台上において測定、マイク高さ1m)

(SP:B&W805S、45cm高のSP台上において測定、マイク高さ1m)