イヤホン・ヘッドホンの駆動に必要なアンプ特性

スピーカーを鳴らすためのパワーアンプを設計する際は必要な出力と電流は比較的簡単に求まります。按ぜならスピーカーのインピーダンスはだいたい8オームと相場はきまっていて、能率も90dB/w位なので部屋の大きさや、聞く音量が決まれば大体検討はすぐにつくからです。

ところがイヤホン・ヘッドホンの場合はインピーダンスもまちまち、能率もバラバラでいったいどのくらいの出力電圧と電流があればいいのかよくわかりません。据置型のヘッドホンアンプの場合は余裕をもって設計すればいいだけの話なのですが、携帯型のイヤホン・ヘッドホンアンプの場合数々の制約があるので簡単ではありません。そこで、イヤホン・ヘッドホンアンプに要求されるアンプ特性を詳しく調べてみました。
まず市販のイヤホンのヘッドホンアンプを能率とインピーダンスの関数としてプロットしてみました。

Fig-Sen-Imp

このとおり結構広く分布しています。
このグラフにさらに110dBという爆音をだすのに必要なアンプの駆動電圧を計算して描いてみたのが下の図です。

Fig-Sen-Imp-V

算出方法は別途どこかで解説しますが、意外と低電圧で結構な音量がとれることがわかります。1Vでほとんどのイヤホン、ヘッドホンは駆動できます。また2Vもあればほぼすべてのヘッドホンがカバーできるのです。意外と必要電圧は低かったというのが感想です。

今度は同じく110dBの音圧を得るのに必要な駆動電流を計算して描いてみたのがこちらの図になります。
Fig-Sen-Imp-I

あらら、今度は結構衝撃的です。なんと50mAも必要です。50mAというのはrms表示ですから瞬間的には70mAは綺麗に流れないとすべてのヘッドホンは駆動できないのです。ヘッドホンだけでなくイヤホンでも低能率のものはこのくらいの電流が必要です。この電流値は普通の電圧増幅回路にとってはとっても大変な数値で、やっぱりちょっとしたパワーアンプ並の構成が必要だということですね。
ステレオで140mA・・・・結構な値です。

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