史上最悪の電源ケーブル

ちまたではケーブル類の市場が盛んですが、これはオーディオの愛好家がアンプの中身をいじらなくなった事の裏返しで、本来寂しいことなのだと思います。いまどきのアンプは外観が立派なのでいじる気にならないでしょうし、下手なことをすると転売しにくくなってしまいますから無理もありません。
私の場合は、オーディオケーブルにはあまり注意がいきません。というのも、高価な割りにやはり音質へのインパクトが圧倒的に小さいからです。実際にアンプを設計製作していれば、こうすればもっと良くなるというアイデアはありますから、自然とそういったことを考えるようになります。

さてここでケーブルにまつわるお話を一つしたいと思います。
オーディオ雑誌の中で自作記事を中心とした雑誌があります。その中で代表的なものは実際に製作しています。弊社製品はそれよりもずっと良いものを提供しているつもりです。(そうでないと恥ずかしくて売れません)。自作記事のアンプは保護回路関係にはあまり力を入れていないので、面白いことも起こります。ある製作記事のパワーアンプで電源投入時のミューティング、OFF時の遮断が無いものがあります(DCの異常検出のみある)。というよりもそれが普通です。面白いのは電源をOFFにしても3-4秒は音が普通に出ています。電源の電解コンデンサの容量が大きいので、ある程度電気を供給できるためです。メーカー製のアンプでは電源OFFと同時に出力が切り離されるので、電源OFF後の音は普通聴くことができないと思います。
さて電源OFF直後の音ですが、実は音質が劣化しているようには聴こえないのです。電源スイッチをパチッとOFFにしても立派な音質が少なくとも3秒くらいは続きます。電源OFF後は、電気的には電源ケーブルを接続していないのと同じです。言い換えれば、抵抗無限大の最悪の電源ケーブルを接続しているのと同じです。その状態で音質変化がわからないということは・・・・。
多少高価な電源ケーブルを購入したことはありますが、音質変化は全くわかりませんでした。
電源ケーブルを試聴しているような記事もあると思いますが、私には理解できない世界です。むしろ立派な電源ケーブルと電源コンセントタップを使用すると、(3Pプラグのアースを通じて)すべての機器類が電源ケーブルを通じてアースされるので、信号ケーブルのアースと合わせて多重アースを形成し、音質劣化を招く恐れの方がはるかに大きいと思います。市場の電源ケーブルの評価はひょっとしてこの多重アースの影響をモニターしているのでは?とさえ思います。
(電源ケーブルを聞き分けるような)それだけの情熱があるのでしたら、アンプ回路や内部配線などに目を向ければ本当に音質に影響する要素をたくさん発見できるので、非常に残念なことだと思います。

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史上最悪の電源ケーブル」への13件のフィードバック

  1. はじめまして。衝撃的な体験をしました。私の5万円安物Ph社製のCDプレーヤーに、友達から借りた20万円のA社製電源コードをつないだところ、その友達の70万円するE社製のCDプレーヤーより音がよくなってしまいました。友達は私の安物プレーヤーを2万円で譲ってくれ、といいます。
    こちらのブログを読んだところ、電源コードの影響は大したことがないように書いてありました。この疑問をオーディオ相談ページにきいたところ、「最新の研究で電源コードや接続コードをコンポパーツと同じように考える専門家が増えています。たとえば、100万円のシステムでもケーブルに計20万円かけるのは、なんら不思議ではない。それくらいの変化や向上が見込めます」と返答がありました。
    私には20万円は無理ですが、質問です。技術者としての経験則から、接続コードにかけるコストは最大何パーセントまでが、もっとも費用対効果が高いとお考えでしょうか。

  2.  そちらのブログでは、今はやりのCDプレーヤーのマスタークロック交換の効果について検証されていないようですが、実際の効果はどうなのでしょうか。
     聞くところによると、安物プレーヤーでも0.1PPM精度のマスタークロック交換で100万円クラスの音になるという話ですが、どのように思われますでしょうか。
     また、コンデンサや配線ケーブルにカーボン導電塗料を塗ると最高音質になるという話ですが、効果のほどはどうなのでしょう。

  3. お持ちのCDPに関しては私が思うにはおそらくDAC以降の問題だと思いますので、良質のDACを使うと改善されると思います。
    お持ちのCDPのデジタル出力+弊社DACで特有の付帯音の様な音は間違いなく改善されると思います。したがって音量を上げてもうるさくならず心地良い低音が響くように鳴ると思います。情報量も多く聴こえよりリアルな音に感じると思います。ただし音そのものがガラっと変わる(SPを変えた様に)までは変わらないかも知れません。
    弊社のDACはもっとも低音の量感が多い(しかも良質の)方です。低音の量感に優れているといると言われるマルチビットDACの最高峰PCM1704というDACチップを使用していることに加え、高周波ノイズが抑制されているので中高音がうるさくないのです。また全てディスクリート素子で構成されていますので(OPアンプを使用していないので)情報量の低下がありません。かと言って安物のDACにあるようないかにも高解像度っぽい音(パンチを入れたような)不自然な音でもありません。弊社DACは音場的にはリアルな音質、リアルサイズの音像(例えばボーカルは本当に口の大きさで聞こえる)に聞こえます。もちろんオーケストラのようなものはスケールが大きく聞こえます。
    弊社アンプは情報量が多いのでいい組み合わせなのですが、音が引っ込む様なアンプで聞いた場合は、もっと無理やりパンチを入れてやるようなDACの方が一見(一聴)よく聞こえるかも知れません。
    私は比較的大音量で一日中音楽を流しているので、逆に弊社のDACの様な音でないとうるさくて聞いていられません。
    これでお答えになってますでしょうか?
    よろしければデモ機のお貸し出しもご利用ください。
    よろしくお願い致します。

  4. 現用某国産有名50万円CDプレーヤーへのご回答ありがとうございました。愚問で恐縮ですが、同プレーヤー+御社のDAコンバーター使用で音質向上は期待できますでしょうか。その場合、具体的にどのような向上が見込めるでしょうか。たとえば、音場感の拡大、低域感の増大、情報量の増加など…。それとも期待はできないのでしょうか。

  5. コメントありがとうございます。
    電源ケーブル、アース回りのあたりはアンプを製作する立場の者から見てという観点でブログを書いたのですが、反響が大きく、結局どうすれば良いの?というお問い合わせを多数いただいています。一度この辺のノウハウを自分なりにまとめてみた方がいいのかも知れません。
    今後とも宜しくお願いいたします。

  6. プライベートスタジオの改装で、電源回りを考えていてたどり着きました。
    レコーディングエンジニアの端くれとして、まさにオーディオデザインさんと同じ考えです。
    レコーディングスタジオでも10Ω以下でアースをしっかり管理している良質なところであれば、
    アースを取る意味はあると思いますが、
    家庭の洗濯機に使うようなアースと同レベルであれば落とさない方がマシですね。
    既に3Pで使用されている方はどうすれば、という話題がだいぶ前に出ていたようですが、
    電気屋さんに頼めばアースだけフロートにしてくれますよ。
    (コンセントは3Pでも内部結線は2P)
    今のところ松下1318で壁コンは統一していますが、この方法でやっております。

  7. コメントありがとうございました。
    黄金比率のケーブルなどがあるのですね、知りませんでした。ケーブルの話は難しくて私には理解出来ません。実際にご興味のケーブルを製造されているメーカーさん、いろいろなケーブルを販売されているオーディオショップさん、あるいはいろいろ試されているケーブルの専門家の方にお聞きになられていはいかがでしょうか?

  8.  オーディオケーブルの話題について一言。近年、高級オーディオケーブルが花ざかりで、中には1?100万円というものも登場しています。
    ケーブルの音質と値段はどこまで比例して、効果が向上するものなのでしょうか。
    こちらのブログによれば、技術者にとって高価なケーブルに投資するくらいならアンプの中身にお金をかけたほうがいいとのご意見です。
    もっともだと思いますが、つたない体験上から申し上げますと、ピンケーブルや、スピーカーケーブル、電源ケーブルのいずれも7~8万円くらいまでは投資効果が比例して上がるのでは、と考えています。なぜなら、安いものと比べて情報量や音場感、力感、透明感といったあらゆる面で向上がみられるからです。ただ、それ以上の超高級品に関しては分かりません。評論家にいわせれば、数十万円クラスのものはさらに全然違うということですが…。
    ただ、現在は構造も新素材からさまざまな黄金比率で構成するバイブリッドまで、多種多様乱立状態で、どれを選んだらよいかが判断できません。あらゆるものを順列組み合わせで聴くのは不可能ですし、どうしたらよりよい方法で選択できるのかアドバイスお願いします。
    また、接続ケーブル乱立の背景にあるものは、デジタル化に伴う音色コントロールの選択肢の少なさだと思うのですが、それならいっそ音質劣化のないデジタルグライコを使って音色変化を満喫するほうが、本来のオーディオの健全な楽しみ方といえるのでしょうか。
     さらに疑問がひとつ。ピンケーブルの直流抵抗(導体抵抗)は音質に関係しないという考え方で、すごく細い導体を使って製作しているメーカーもあります。実際に借りてみて聴いたのですが、細い導体特有のにじんだような、ふにゃふにゃな音がしました。このような考え方は電子工学的にはどうなのでしょうか。

  9. 電源ケーブルの具体的な処理方法ということですが、もしお試しになりたいというのであれば、一度全て2Pにしてからどこかを3P(あーすを取って)にして変化をみてはどうでしょうか?音質では確認しにくいと思いますが、それならそれで気にしなくていいということですから。ノイズレベルは変わることがあるのでそれをモニターしながら調整すれば定量的にできるとも思います。
    全て3Pになっている状態で1個を2Pにしても変化は少ないと思います。
    いわゆる電源ケーブルによる音の違いというのは多重アースというよりも、電源に高周波ノイズが乗っていて、それがどの位伝わってくるかの違いではないかと勘ぐっています。私の経験では電源ケーブルによる音の違いというより、使用する場所(地域)によって音質が大きく劣化することがあります。オフィスビルで、平日は特に音質が大きく劣化する様です。
    また、アースとアースループの話はこちらのコラムに詳しく掲載しておリます。まだ読んでおられないようでしたらご参照ください。
    http://www.audiodesign.co.jp/blog/?cat=17

  10. 質問です。すでに3Pの電源ケーブルを数多く持っている人は、具体的にどうすればよいのでしょうか。すべて2Pに戻したほうがよいのでしょか。それとも3P接続の状態で、具体的な対策はあるのでしょうか。

  11. コメントありがとうございます。
    USB接続で動作するデジタルオシロがあるのですが、ノートPCで使用するときに比べて、デスクトップPCに接続するとバックグラウンドノイズレベルが一桁以上上がります。デスクトップPCはスイッチング電源なのでどうしてもノイズが相当に出ているのではないかと思います。それを考えるとデスクトップ内蔵のサウンドボードなんて本領を発揮していないのでしょうね。
    バッテリーはノイズという点では確かにきれいなのですが、出力インピーダンスが大きい(数Ω位ある)のでパワーアンプの電力供給部などには使用できません。よくできた安定化電源の方が数段優れていると思います。
    確かにオーディオ雑誌の記事の内容は全体的にかなりバイアスがかかっているようにも見えますが、オーディオ評論家の方は非常に良い耳を持ち、かつオーディオ装置を正確に評価する能力の持ち主だと最近感心しています。ただし、雑誌の記事にはそのままの感想をお書きになっていらっしゃらない様に思います。大手メーカーをけなすわけには行きませんし、弱小メーカーの製品を褒めて、読者から「良くないじゃないか」と苦情が来たら困りますからね。ノストラダムスの大予言の様にぼかして表現されていると思います。弊社のアンプを評価して頂く様になってから、そう思うようになりました。
    今後ともよろしくお願いいたします。

  12. 読ませていただきましたが、
    僕も全くその通りだと思っていました。
    アース付きの3Pタップは、よほど上等なアースを繋がない限り、ノイズ拾いまくりなので、すぐに2Pに戻しました。
    それに、ヨーロッパのオーディオも基本2Pですからね。
    電源に関しては、一番良いのは、バッテリー式だと思いますね。
    ポータブルオーディオは、
    AC接続して再生するとノイズが増えます。
    ノートPCも同じです。
    でも、バッテリーだけであれば、
    ノイズがありません。聞こえるのは、録音時のノイズのみという感じです。
    そう感じてから、オーディオ雑誌は、
    評論家の自慰でしかないと思うようになっています。
    無理矢理理由を付けて、自己満足してるだけですね。
    「おれって、こんなに違いがわかるんだぜ!」自慢です。
    ネットでこういう記事を見ると凄く安心します。
    こういうオーディオ本ほしいですねー!
    ほかの記事も読ませてもらいます~。

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