アースとアースループの違い、わかりますか?(その4 アースループの解決策)

前回アースループの実例を紹介しましたが、今回はいよいよアースループの解決策を紹介したいと思います。アースループの解決策(改善策)には次の3つがあります。まずは簡単な方法から紹介していきます。

1.アースループの面積を小さくする。

アースループがあるとアースループの輪内を通過する磁束の変化によ比例して電流が流れ、ハム等のノイズが発生します。アースループの輪の面積が小さければ拾ってしまう磁束の量も少なくなります。具体的にはアースループを形成する入力と出力ケーブルを束ねてしまうのです。機器の接続端子の配置にもよりますが、これだけでハムなどは激減します。この方法はレコードプレーヤーの出力をプリアンプのPhono端子に接続する際にも有効です。Phono専用のシールドケーブルではなく、通常のシールドケーブルをPhono用に流用すると、しばしばハムが発生することがあります。その場合は左右のケーブルを束ねるだけでSNが良くなります。まあ安物のシールドケーブルなどは最初から左右くっついていますので問題ないのですが、高級ケーブルで曲がりにくいものなどは自然に左右広がったりしますから要注意かもしれません。

2.アースループを形成するケーブル全体をシールドしてしまう

2つめの方法はアースループを形成している入力・出力のシールドケーブル全体をシールドしてしまうことです。具体的にはたとえばアルミホイルなどをシールド線全体を覆うように巻き、アルミホイルをクリップ付電線などでアルミホイルをシールドしてしまうのです。こうすると基本的にアースループは消滅します。厳密に言うとアルミホイルでは静電シールドで電磁シールドにはならないのですが、実際にやってみると効果があります。(私がもっぱら試験したのはPhono入力を利用した方法です)。

3.アースループそのものを除去する。

アースループが問題となるのはアースループができたからですので、このループを無くすのが本質的な解決策です。すなわちシールド線の入力・出力どちらかのアース線の接続を切ってしまうのです。この手法はプロの音響機器の取り扱い手法のなかで「グラウンドリフト」という呼び方で知られている様です。シールド線のアースを切っても一箇所でアースに接続されていますので問題ありません、というよりもこちらの方がまともなのです。
ただし、この手法には危険な面があります。シールド線のアース線をカットしたケーブルを通常のアースループを形成していない機器の接続に間違って使用すると、電位が不定となりとてつもないノイズを発生したり、機器の破壊につながったりします。
この危険を避けるための手法もあるのですが、ここでは紹介しないことにします(ノウハウということで・・・・)。

また、アース線の接続をカットするという手法を意味もわからず拡張すると、絶対やってはならない接続方法になります。信号ケーブルのアース線を通じてアースが接続されていない状態、たとえば電源ケーブルのアース線で機器が接続されている場合、信号経路のアースは電源ケーブルのアース(+シャーシー)を通じて取ったことになり、音質的には最悪の状態になります。実際にあるホームページでこの辺を混乱して実験しようとしているのを見たことがあります。

以上アースループの解決策について説明してきましたが、アース・アースループの問題というのは、奥深く難しいテーマです。そのくせこの点についてオーディオ的見地から解説したものは非常に少ないのです(というより無い)。
またアンプの教科書にもほとんど書いてないので簡単に勉強することもできません。この辺について面白い話があったら教えて下さい。

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