アースとアースループの違い、わかりますか?(その5 アース接続方法のまとめ)

アースとアースループについて説明してきましたが、長くなったのでここでまとめてみたいと思います。オーディオ機器の望ましいアース接続方法をまとめると以下の通りとなります。

オーディオ機器のアースの接続方法


1. オーディオ機器は使用していないものも含めてなるべくたくさんの機器を接続する

・アース電位を安定にするため
・信号ケーブルの接続によって自動的に相互のアースが接続される
・アースを切り替えるタイプのセレクターは使用しない(アースループを作らないと称するセレクターは逆効果です)

2. 電源ケーブルのアース線は接続しない
・多重アース防止のため
・3PのACケーブル(オーディオ用のACケーブル)を使用すると自動的に多重アースになるため注意

3. 壁コンセントのアースには基本的に接続しない
・他の重電機器のノイズを拾わないため
・集合住宅では特にたくさんのノイズをもらう可能性があります。
・独立したアースを作ってもだめです。地中のアースを通じてノイズを拾うため
・家にノイズを発生する機器が接続されていなくても、近隣でアースにノイズを逃していれば同じことです。

以上の接続方法はピュアオーディオ的に考えて合理的な接続方法です。いわゆるオーディオのHowTo本とはまったく異なる方法に結果的にはなっていますが・・・・。

ただし店舗でたくさんのお客様が機器に触れるとか、水にぬれた状態で機器を操作する場合などはもちろん安全のためアースした方がいいでしょう。

アースとアースループの違い、わかりますか?(その5 アース接続方法のまとめ)」への7件のフィードバック

  1. 医療現場のトランスアイソレーションについてはよく知らないのですが、一般論として、高周波ノイズ領域ではアイソレーション・トランスは残念ながら効果がありません。トランスは1次巻線と2次巻線が重なって巻いてあるので、キャパシタンス成分で結合されており、高周波ノイズから見ると接続されているのと同じです。
    アイソレーショントランスは低周波成分(音声帯域程度)のノイズ除去と、アース電位の分離という点ではもちろん効果があると思います。
    そもそもアンプにある電源トランス自体がアイソレーショントランスの役目も果たしているはずなので、それを2重にしても・・・という疑問もあります。
    また、むしろACフィルターのノイズインレット付きのものの方が効果はある(はずな)のですが、実際にはノイズを除去できてきていないのです(不思議ですが)。
    このブログの内容は若干古く補足すべきこともあるので、その内にもう少し踏み込んだ内容で更新しようと思います。
    (回答が遅くなり申し訳ありませんでした)

  2. Audio Design様
    初めまして。
    とても解りやすいアースループの説明でした。
    御社の製品のポリシーを感じました。
    素人が考えると、医用トランス等で家庭用アースからアイソレートし、そのトランスについている等電位端子で接地ターミナルを介して接続機器のシグナルアース端子を全て接続することで、機器間の電位差がなくなりノイズの低減に寄与できるのではと考えますがいかがでしょうか?
    医療の現場では、このように等電位端子をアイソレーショントランスに集中させるが常套手段ですので、フラッシュアイデアで質問させていただきました。
    ご教授いただけると助かります。

  3. なるほど.
    アナログ信号経路での一般則が,デジタル領域では,そのままは当てはまらないことがある(多い?),ということですね.
    ひとつひとつ試して,探るしかなさそうですね.
    ありがとうございました.

  4. PCなどのデジタル機器がノイズを発生している場合、ノイズ発生そのものを軽減した方が効果的かと思います。例えばデスクトップからラップトップに変えるとか・・・。もちろんラップトップは機能、拡張性、価格の面で不利益はありますが。例えば信号線も同軸より光ケーブルの方がアースを切り離すという点で原理的に有利ですが、実際の音はどちらが良いとまではいえません。LAN、USBでは変えようが有りませんが。この辺の話はケースバイケースなので一般論で議論するのは難しいというところです。

  5. は~なるほど!
    例えば,デジタル機器をアイソレーショントランスなどで一括して隔離するというのはどうでしょう?
    (ちょっとアースの話とは離れてしまいますが...)
    でも電源だけをアナログ機器と分離しても,USBやLANを経由してノイズが入り込んでくるから一緒でしょうか?
    当方,LANのアイソレーションライントランス(日本光電の製品)を使って,DLNA再生において音質的に相当の効果を得た経験があります.
    デジタルラインからのノイズの大きさは分かっていても,PCの利便性をすてるのはちょっと...
    なにかいい手があるといいのですが.

  6. アースループに関する話はすべてアナログ回路を前提としていました。
    デジタル機器が入る場合には少し話が変わってくると思います。アナログ機器の部分の話に変更は有りませんが、デジタル機器の場合には自分自身がパルス性のノイズを発生している事を考慮しなければいけないと思います。デジタル信号はもとより、パソコンなどはスイッチング電源から凄いノイズを発生して信号回路に乗っかっているのが普通です。したがってデジタル機器を含む場合はアースループに気を使うよりもデジタル機器のノイズを如何にに抑えるかに気を使うべきで、デジタル機器はすべてアースするのが基本かもしれません(断定はできませんが)。例えばUSB接続のオシロなどをデスクトップPCで使用すると、それだけでノートPCと比較して、バックグラウンドノイズが一桁上がります。
    デジタル機器のアースを一般論として論じるのは無理があるでしょう。

  7. AudioDesignさま
    はじめまして,パッシブプリアンプを探していて,貴社にたどり着いたのですが,こちらに常々悩んでいたアースの件がとても自分の経験とマッチした形でまとめておられたのを発見し,その内容に大変感銘いたしました.
    少々,ご質問よろしいでしょうか?
    アースループを作らないということですが,その中にはUSBやLANも候補に入るでしょうか?
    私のオーディオシステムは,DLNAやUSBコントロールの機器が加わっており.それらのケーブルを含めるとアースループができております.
    例)AVアンプ(プリ)—->デジタルグライコ—->パワーアンプ
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      Videoキャプチャ(モニタ用)—->PC
    ご教示いただけると,有り難いです.
    どうぞよろしくお願いいたします.

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