オーディオ養生所 -ケース2:AVアンプと小型SP-

今回は
ケース2:低音が出ないのが不満とおっしゃって、試聴にこられたB氏の話です。
ある日、初めてのお客様から弊社のパワーアンプを聴きたいという電話をいただいた。後日試聴にいらして聞いていただいたが、「なぜこれだけ低音が出るのか」と不思議そうにされていた。聞いていただいたSPの中には小さいもので18cmのウーハーを使用した六本木工学研究所(RIT)の2wayシステムがあるので、不思議に思われたようだ。断っておくが、このSPシステムは小さいながらネットワーク上で低音が出るように工夫がしてあり、かつ使用しているのは最も力強い低音が出るといわれるUSHERというメーカーのウーハーで(ここまではRITの受け売り)、かつ背面の壁に近く設置しているので、低音ががんがん出るのであって、これはこれでノウハウである。

聞いてみると、B氏が使用しているのは13cmのウーハーとツイーターからなる2wayシステムで、それをAVアンプで駆動してるという。とにかく低音が出ないので買ったお店に相談したらパワーアンプを変えたら良くなるといわれて、(そこで初めて店を疑いだして?)弊社のアンプを検討しているという事だった。驚いたのはSPシステムの値段でペアで25万円くらいだったという(私は聞いた事の無いアメリカのメーカー)。インターネットで検索してみたが、どうみても何の変哲も無い普通の小型SPシステムだ。秋葉原駅前の家電店で薦められて購入したという。この小さいSPシステムを今流行のスタンドに立てて、空中に置くような感じで設置して、それをAVアンプで駆動したら、そりゃー低音が出ない(様に聞こえる)のは当たり前だ。

アンプを代えるよりもまずSPシステムを後方の壁面に近づけて、かつできるだけ周りを、本や棚で埋めるようにしてみたらいかがでしょうか?と薦めた。(本人は納得いかない様子できょとんとされていたが)。私に言わせれば13cmのSPシステムを前に出しておいたら低音が出ないのが当たり前だ。加えてAVアンプとくればオーディオの3重苦である(小口径、設置方法、アンプ)。いやこれでSPシステムは高価なのだから4重苦か?そもそもこのクラスのSPをこの値段で売る(買う)というのが、そもそもおかしい。わたしも聞いた事が無いメーカーだったが、そこが味噌で、海外の知られていないメーカーを不当に高価な値付けで売っているだけなのだと思う。

AVアンプも定価40万円の半値で購入したというが、これもやめた方がいい。一見ピュアオーディオのアンプとスペックは変わらない様に見えるかもしれないが、中身は違うのである。AVアンプの音質上不利な点は
・多チャンネルのためアンプ1段あたりのアイドリング電流が少ない。–>硬く、やせた音になります。
・出力段のトランジスタもAV用の安全第一に設計されたリニアリティーの悪いものを使用している可能性がある–>AVアンプ用の出力トランジスタが半導体メーカーから出ています
・–>DSPを内蔵しているのでデジタルノイズが乗っている可能性が高い–>中高音がきつく目立ち、相対的に低音が出ないように聞こえる
などである。

弊社のパワーアンプにしただけでも改善はされると思うが、正直言えばSPを代えないとどうにもならないと思う。弊社のパワーアンプを購入されても、思ったほどの効果が無いといわれても返って迷惑なので
アンプ購入のお薦めはあえてしなかった。

それにしても、こういったケースはお店の”かも”にされているとしか思えないケースである。まじめに良いものを薦めるお店もあるのだろうけれども、今はどこも厳しいご時勢なので、卸値の安い製品を高く売る様な商売をしている店もなかにはあるという事でしょうか?
かといってオーディオ雑誌を見て選べば間違いないかといえばそうとは限らず、これといった名案も無いのですが(かく言う私も買って損をしたと思う事は多いので・・・・)。

オーディオ養生所 -ケース2:AVアンプと小型SP-」への2件のフィードバック

  1. その方が購入されたお店は秋葉原にあり、オーディオ店というより、どちらかというと家電屋さんです。家電屋さんだから悪いというわけではありませんが、お店自体に、お客様の満足度を考える余裕が無いように見える店舗です。そういうところで買ってしまったのが、「あちゃー」という感じですね。

  2. いつも楽しいブログをありがとうございます<__>
    5インチウーハーではなんともしがたいかもしれませんね。
    近接聴取ならなんとかなるでしょうけれど、、、
    店員さんもユーザーさんの聴くスタイルとか音圧レベルとかを問わないんでしょうかね?
    最近の流行というところでしょうか。

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