恐るべきミニコンポの実力  -って、それ置き方の問題でしょ!-

自宅に置いてあるミニコンポの音質が妙に良い。ミニコンポの機種はONKYOの計5万円くらいで買えるごく普通のものものである。どう良いかというと、特に中低音が非常に自然でまろやか、かつ張り、厚みがある音質なのです。特にポンポンと強調された音ではないのですが、適度の厚みがあり、ボーカルなども非常に自然に聴こえる。普通の大型オーディオ装置よりも良く聞こえるといってもいいくらいなので、以前から気になっていた。

そこでミニコンポの周波数特性を計ってみたら、恐ろしい結果になっていた。周波数特性を見せる前に使用した測定ソフトを紹介しておく。周波数測定には「MySpeaker」というシェアウェアのソフトを使用した。(無償でも試用出来るが表示が見にくくなる)この測定ソフトだけでサイン波の周波数を連続的に変化させた信号を発生し、周波数特性を測定することができる。グラフ表示も見やすくスピーカーの測定には非常に重宝する。FFT解析もできるが今回はもちろんサイン波スイープにより測定した。

http://www.asahi-net.or.jp/~ab6s-med/NORTH/SP/myspeaker/index.htm

よくFFT解析でスピーカーの周波数特性を測定している例を見かけるが、分解能を高く設定しないと中低域のピーク・ディップを拾わないので実際よりかなり良く表示されたり、レベル変動を拾って低域が延びているように見えることがあるので、FFT解析はSPシステムの正確な測定には向いていないと思う。
測定したミニコンポの周波数特性はこの通り。

断っておくが、これはSPからの距離約2mで実際の室内で測定した周波数特性である。恐ろしくフラットである。通常必ず見られる中低域の大きなピーク・ディップがまったく観測されていない。しいて言えば75Hzにディップがあるくらい。まるで無響室で測定したかの様なグラフである。 雑誌「無線と実験」でよくオーディオマニアを訪問し周波数特性を測定したグラフが載っているが、大きなうねりがだいたい+-10dBに収まっていればかなり優秀なほうで、今回の結果はその半分以下に収まっている。

低域も40Hzまで出ているように見える(ほんとか?) 高域は何故か9KHzで切れているが、10KHz以上はCDのフォーマット上、粗が目立ちやすいので、かえって聴感上好ましいかもしれない。

ちなみにスペアナ風に表示すると(これもMySpeakerの機能の一つ)、このようになる。

もうほとんど+-5dBに収まっているという恐るべき特性である。

一方Rchはこんな感じ、

こちらは若干細かなピークディップがあるように見えるがそれでもかなり優秀である。RchのSPのすぐ右側に壁があるので、壁との干渉で少し荒れていると思う。またRchにはLchで見られた75Hzのディップがないので、Lchの75Hzのディップは右壁との干渉であることがわかる。

これだけ周波数特性が平坦だと音が良く聞こえて当然である。加えて10Khz以上をカットしているのでCD特有のぎらぎらした音が目立たない。ただこのミニコンポ、ミニコンポだけに限界はある。音像のスケールが小さいのである。ピアノのサイズが1mくらいに聞こえるし、ボーカルも身長80cmの人が歌っているように聴こえる。また高音が少し硬く聞こえる(おそらく高域の歪率が悪いのだと思う)。

ちなみにスピーカーの写真はこんな感じ たった12cmくらいののウーハーとドームツイーターの構成
このミニコンポの周波数特性が良い理由は、このコンポの特性がいいというよりも(もちろんそれもあるが)、その置き方にある。置き方と周波数特性の関係はまた別のページで紹介したいと思う。 (2008/08/02)