恐るべきミニコンポの実力 -って、それ置き方の問題でしょ!(その2)-

家に何気に設置したミニコンポの周波数特性がぶっちぎりで良かったのは実は理由があります。いくつかの偶然もありますが必然もあります。
ミニコンポの設置状況(もう少し片付けてから撮ればよかった)

ミニコンポは出窓のところに設置していて丁度SPのバッフルが壁とそろうように置いてあります。左側のSPの左側と下側は壁になっているので、ちょうど平 面バッフルの様になっています。後ろは障子が見えていますが、その後ろはガラス窓です。下はこの部分のみ畳で、右側のSPのすぐ右には壁になります。つまりこんな感じ。

ミニコンポを設置した部屋のレイアウト

左SPの周波数特性が良かったのは、

1.周りを壁が囲んで平面バッフル状になっていた事
2.床が畳で低域の一時反射の影響が少なかったこと

が効いています。一般に高級SPほど壁から離して設置する傾向があります。中途半端に後ろ壁から離して設置すると後ろの壁との干渉が激しく中低域に大きなディップが発生して、中低域が抜けてしまいます。 そういう状態になってしまうともう補正のしようもないので、そうならないように設置することが大前提かとも思います。ただ市販の大型SPは壁から離しておくことを前提にバランスを取っていると思いますので、ただ後壁にくっつければいいというものではないかもしれません。

ただある程度の大型SPシステムでこのミニコンポくらいの周波数特性の平坦さが出ればかなり満足できるようになると思いますが現実には簡単ではないかもしれません。最初から壁にべたっとへばりつく形で設計し、かつその状態でバランスが取れるSPシステムを作らなければいけません。

それとついでにもう一つ。このミニコンポには「スーパーバス」(SB)という一種のトーンコントロールが付いています。先にお見せした特性はSB無しのもの(トーンコントロール無しのもの)ですが、SB無し、SB1、SB2(SB1、2の順に低音のブースとが強くなる)の特性をお見せします。

まずこれがフラットSB無し


これがSB1(低音ブースト)

これがSB2(低音さらにブースト)

この3つの特性で聴感上最も好ましいと思ったのはSB1でSB1とSBoffを聞き比べてしまうとSBoffが寂しく聴こえてしまいます。SB2にすると低音を強調しすぎの感があります。SB1は100Hz近辺を5dbほど持ち上げている状態になります。一般にトーンコントロールのbassですとたとえば100hZ以下を持ち上げてしまい、50Hzあたりもブーストしてしまうので、SPの振幅が大きくなり歪んでしまうのですが、このSBは100Hzあたりだけ持ち上げ、それより下は持ち上げていないので、歪っぽくなることも無く上手に調整できています。100Hzあたりを少し増強するというのは、全体の音の厚み、豊かさに貢献し、非常に有効な手法だと思います。

ここで重要なのは元の周波数特性が平坦だったので、ある程度低音をブースとしても自然に聴こえましたが、一般に周波数特性は低音域にも結構なピークがありますので、そうなるとちょっとブースとしただけで(あるいはブースとしなくとも)特定の音域がボンボンいって、不自然になってしまうので、元の周波数特性を素直に整えることができるかどうかが重要だと思います。

一般にSPシステムの設置方法はオーディオ装置の中でも最も音質に影響を与える因子だと感じていますが、反面最も検討が少ない領域でもあります。直感的にはSPシステムの室内における周波数特性の暴れは少なくとも+-3dB内には抑えないといけないのではないかと思っています。もちろん(壁から離す)普通の置き方では不可能に近いのですが、今回のONKYOのミニコンポの特性を見ると、工夫すれば将来的には達成できる可能性もあると思っています。 (2008/08/07)