CDプレーヤーの音質と特性(1)...家政婦は見てしまった...

最近DAコンバーターをようやく製品化しました。DAコンバータ(あるいはCDプレーヤー)の音質にはどの様な特性が影響しているのでしょうか?オーディオデザインなりのDAコンバーターに対する考え方を紹介したいと思います。

まず最初に所有しているCDプレーヤー(CDP)の基本特性について紹介します。

一般にCDプレーヤーあるいはDAコンバーターの基本特性を見ても面白くないですよね、皆同じ様なものですから。私が最も音質に強い相関があると思っているのは、実は高周波ノイズです。今回は私が考えるCDPの音質の肝、その辺を紹介することになります。

高周波ノイズはオーディオ帯域の信号を再生し、デジタルオシロで見ると観測できます。無線と実験誌が行っているのは0dBの信号観測ですが、それでは見えません。今回-15dBの1Khzのサイン波形を再生しデジタルオシロ(200MHz)で観測した波形を紹介します。(波形の線の太さに着目してくださいね)

CDプレーヤー 信号波形 音質評価
CDP-555ESD

(ソニー)

555-Di1KHzSign ソニーがオーディオに力を入れていた頃(20年前?)のすごいCDPです。15万円で当時の最高峰でした。私がオーディオに興味を持っていた末期に購入したものです。このCDPは(当時のCDPとしては皆そうなのですが)いわゆるデジタルくさい音がします。硬いというか高音がきついというか、ぷつぷつした音というかそんな感じです。ただ低音の剛性感というかゴリゴリした音がして非常に気持ちいい部分もあります。波形は凄いですね、高周波ノイズがこれだけ乗っているのは珍しいです。もっともこの波形を見たので高周波ノイズが乗っていると気づいたのですが。
この中高音のデジタルくさい音はLPFを入れると見事に取れます(波形はAV-600並みになります)。そうすると、すばらしい音になります。ただ残念な事は何しろ年数が経っているのでCDの1割位はトレースしなくなっている事です。
X-30

(エソテリック)

X30-1KSign320 エソテリックの波形は悪くありません。音質は力強くやはり低音がゴリゴリ気持ちいいです。ただこのCDPは高音が結構強く聴こえます。決して耳障りではないのですが例えていうならトーンコントロールでトレブルを2,3dB上げた感じに聴こえます。なのでシステム全体のバランスによって合う場合と合わない場合があるかもしれません。1KHzの波形には癖はないのですが、10KHzの波形が結構すごい事になっています。
DV-600AV

(パイオニア)

AV600-Sign1KHZ 有名なパイオニアのDVDプレーヤーです。恐ろしく綺麗な波形です。内部構成は何の変哲もないミドルクラスのDACチップ(PCM1742と4580OPアンプ)を使用した回路です。このDVDPの音質は帯域バランスがすばらしいです。低音が非常にもりもり聞こえ、まるで良質のアナログレコードを再生した様なバランスです。JAZZなんかは聴いていて気持ちいいです。高音は分解能が無いので音が団子になっているというか、濁るという感じです。(だから低音が良く聴こえるのかもしれません)SACDも再生できるのですが、これはおまけです。濁ってしまってまるでカセットテープの様な音質です。SACDはおまけですね。
 
50万円CDP

(国産)

SA1-Di-1KHzSin 数年前までxxグランプリとかで常に1位だったCDPです。購入当時はいいと思って使用していましたが、次第に中高音に独特の付帯音(キーンとかカーンとか)が付いているようで気になって仕方がなくなりました。よく言えば余計に響きが付くので、これを綺麗な音がするという人もいると思います。チョイ聴きでは受けるでしょう。ボーカルでは子音・サ行がきつく聴こえます(他の良質なCDPを聴かなければわからないのですが)
また低音が弱いですね。がーンと来ないです。
波形を見ると高周波ノイズが乗っていますね。パッシブのLPFを入れると高周波ノイズが とれ、付帯音の様なものも軽減されます。このCDPは重いです。いわゆるオーディオ界の定説みたいなものはてんこ盛りです。でもそれがまったく音質に効いてないって事ではないでしょうか?このCDP、ほぼ定価で購入しましたが、いい勉強になりました。
5万円CDP(国産) SA8400-Di-1KhzSign 安物のCDPです。ESD-555しか持っていないときにSACDを聞きたくて購入しました。音も安物です。波形は綺麗です、音も綺麗なのですが、なぜか感動できません。このCDPはDACチップのすぐ後(IVコンバーターの前)にパッシブのLCRフィルターを入れています。そうすると高周波ノイズは抑制できるかもしれませんが、周波数の高い領域でインピーダンスが上昇するのでDACが理想的な動作をしなくなってしまいます。回路的に気になる回路を使用していますね(悪い意味で)。

上記のCDPの中でそれぞれ特徴はありますが、ほぼ音質のいい順に並べています。ただしESD-555はパッシブLPFを入れるという条件付です。上の3つは特に順位が付くというものではなくそれぞれいいという感じでしょうか。下2つは、高い方は特に価格も考慮すると、とてもお勧めできるものではありません(持っている方ごめんなさい)。ただCDPの場合はいい、悪いといっても結構微妙な差ですから(SPほどは変わらないので)、その様に読み取ってください。 (2010/10/29)