電磁波ノイズの解析

背景/電源回りへの工学的アプローチ

 オーディオ機器の使いこなしとしてよく電源ケーブル等に凝る方がいらっしゃいますが、電源ケーブルで音が変わるという原因は電源中の高周波ノイズによるものが大きいと思います。 電源関係の話は機材はたくさん市販されているものの、その効果は抽象的に語られることが多いのでもう少し工学的な話はできないものかと思われている方も多いと思います。今回電源回りの工学的なアプローチとして、機器から発生している高周波ノイズをざっと測ってみましたので紹介します。

電磁波ノイズの測定方法

 電磁波ノイズ(元々必要としない電磁波をここではそう呼びます)の測定方法ですが、原理は極めて簡単で、検出装置を作ってスペアナで(HP8561E)観察するだけです。 検出器は基本的にはコイルですので特に電気的に接触するタイプのものではありません。検出装置自体は特にどうというものではありませんが、感度良く検出するにはそれなりのノウハウが必要で、実際綺麗に測定できるようになるまで結構くだらないところで苦労しました。



電磁波ノイズの測定結果

 まず空気中の電磁波ノイズを測定してみました。バックグラウンドノイズと思っていただければ結構です。

バックグランドノイズ 0-100MHz

横軸は周波数で0-100MHzまでで測定しています。縦軸は1div10dBの強度で相対値と思っていただければ結構です。

最初にデスクトップ型PCの背面のスイッチング電源のあたりに検出装置を当ててみたスペクトルを示します。

PC背面の電磁波ノイズ

30MHz付近と10MHz以下でノイズが検出されています。

PC背面の電磁波ノイズ(PCとスペアナのアースを接続した状態)
上と同じですがPCとスペアナのアースを接続した状態で測定したのがこの図です。ノイズ成分のほとんどが見えなくなりました。
機器というものは基本的にはアースを接続したほうが良いのです。よくラインセレクターでアースも切り替えるタイプのものがありますが、アースは接続しておいて、信号ラインだけ切り替えるタイプのほうが(弊社のHAS-3Lはそうなっています)ノイズ上有利なのです。
ただし一般にオーディオ機器は信号ケーブルを接続すれば自動的にアースが接続されるので、信号ケーブルの他にアース線を接続してはいけません(アース線を別途接続すると多重アースになります)。


ついでにPCの電源ケーブルに検出装置を置いて測定したのがこちらです。
PCの電源ケーブルが輻射する電磁波ノイズ

ノイズが検出されています、結構出ているもんですね。

もう一つ結構出ているんじゃないかというものを測ってみました。それはスイッチング式DCアダプターです。ここで測定したのはいわゆる黒い樹脂製の一般的なものです。

スイッチング式DCアダプターのノイズ

これはもうノイズのてんこ盛りです。特に低域が盛り上がっているので1MHz以下のスペクトルを測定してみました。
それがこちら
スイッチング式DCアダプターのノイズ(0-1MHz)
これはもう凄いを通り越して綺麗です。スイッチング式DCアダプターアダプターは共振回路への電流供給をON/OFFして電圧を発生させているのでこういったスペクトルが出るのがそもそも当たり前なのですが、改めて見てみると凄いです、ノイズが。お断りしておきますが、これはDCアダプターの出力(電極)にプローブを当てているのではなく、あくまで空気中に飛んできている電磁波を検出しています。まあDCアダプター本体に検出器を隣接させているのでここまでノイズが大きいのですが。10cm離れるとかなり小さくはなりますが・・・。

最後にこれらのノイズをオシロスコープで見た写真を掲載しておきます。

DCアダプターのノイズ波形


PCの背面でのノイズ波形

スイッチング式DCアダプターは見事に周期的な発信に比例したノイズが出ていることがわかります。PCの方はやや単調なノイズになっています。 以上、電子機器の出す電磁波ノイズを測定してみました。


(2012/10/29)

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