あなたのスピーカー何cm? -トニー谷ではないけれど-

あなたのスピーカーの口径は何cmですか?

と聞かれたとします。この答えは簡単です。

16cmとか20cmとか18cmx2とか、いろいろだとは思いますが・・・・・。
ではこう聞かれたらどうでしょうか、

あなたのスピーカーは何cmのスピーカーとして機能していますか?

この答えは非常に難しいのです、なぜなら壁の影響があるからです。

反射壁1枚の影響を考慮するとスピーカーの鏡像ができるので、スピーカー1個のはずが2個あることと等価になります。 例えば20cmのスピ-カー+壁1枚で28cm(=√2・20)のスピーカーとして機能するとういことです。

ただし話はそれだけではすみません、さらにここで厄介なことに反射壁との距離と周波数の関係によって干渉して音圧が強くなったり弱くなったりするので、実際のスピーカーの等価口径(とここでは呼びます)は0-28cmの間で変化するということになります。

壁一枚の場合は計算も楽ですが実際の部屋には壁が6枚あるのですこぶる厄介で計算しても合わないのが普通です。

ただ、ややっこしいことは抜きにして実際の試聴環境でスピーカーが何cmとして機能しているかは実測で見当がつきます。スピーカーの無響室での音圧レベルは公表されているのでわかっていますし、マイクの感度もわかっているので、実際の試聴環境で音圧レベルを測って、その値が無響室に比較して3dB高ければ壁1枚分、9dB高ければ壁3枚分です(もちろん干渉の影響があるので周波数によって異なりますが)。

ということで、実際に調べてみましょう。

まずスピーカーJBL4429(Lch)から3mの距離で周波数特性を測定します。その結果がこちらです。

JBL4429(L)の3mでの周波数特性

(以前の4429の周波数特性と少し異なり低音域が結構持ち上がっています。最近レイアウト変更をして、SPの対向壁に積んでいた1mの奥行きの段ボールがなくなったことと、測定距離が4mから3mなったせいでしょう。)
次に周波数160Hzあたりが周波数特性がフラットなのでここを基準にします。160Hzを2.83V(1W8Ω)でスピーカーに入力した状態で、その際の3m位置での絶対音圧を求めます。

最初測定用マイクEC-8000の感度-60dBから計算したのですが、全く計算が合わなかったので、別途騒音計を購入して絶対音圧を求めました。その結果160Hzの音圧レベルは81dBであることがわかりました。

4429の3mの距離での無響室ので音圧は計算上83.5dBとなります。すなわち上図の緑線で示した160Hzの2.5dB上のレベルが(無響室上における本来の)音圧レベルです。これを基準に3dBおきに-6dBから0dBに赤線、0-12dBまで青線を引きました。この線1個の間隔がすなわち壁1枚分による音圧上昇(下降)になります。

低音域を除けば平均的には+0-6dBあたりで、壁0-2枚分音圧が大きくなっている計算になります。壁は床、天井も含めれば反射壁は6枚あるのですが、壁の影響というのは+-あるので結果的にほぼ+-0になるのと、高音域では指向性が強いために意外と壁による音圧増加は少ないと考えてよいでしょう。

音圧が+6dBとするとスピーカーの口径は2倍(面積が4倍ということなので)ということになります。スピーカーの口径が30cmだったら60cmスピーカーとして機能しているということになります。

120Hz以下の低音域では+9dB位で、SPの口径が約3倍になっていることになります。30cmが90cmとして機能しているということになります。反対に160Hz近辺では-2.5dBくらいのレベルで約0.7倍の口径の20cmのスピーカーとして機能していることになります。

こちらの環境では現在4429を後壁にくっつけているのでこの程度で済んでいますが、普通に壁から離して設置すると干渉の影響でもっと極端に低域に谷ができてしまいます。

低域で+9dBレベルになっているということは低域ではスピーカーからの直接音は10%程度で残り90%(ほとんど)は壁からの反射音ということになります。従ってしまった低音を出すにはスピーカーやアンプのDFに気を使うだけでなく、壁の剛性を改善したほうが10倍効果があるといえます。

それともう一つ、結果的に低音域にのみ音圧上昇が起きるので、3mの距離で聞くと低音が持ちあげられた音になります。ナチュラルイコライジング効果とでも言えばいいでしょうか。 当然スピーカーに近づくとこの効果は減少します。例えばスピーカーからの距離が1.5mとかですと低音域が下がってうるさい音に聞こえがちだと思います。大体海外製のスピーカー等は至近距離で聞くことを想定していないのではないかと思います。現実問題として難しいかも知れませんがなるべくスピーカーからの距離を取ってナチュラルイコライジング効果を利用したほうがバランスが取れると思っています。

弊社に試聴に来る方でもわざとスピーカーに近づいて聞こうとする方が多いのですが 、スピーカーに近づいて帯域のバランスが取れるシステムを組もうとすると逆にかなり癖のあるアンプ類を揃えることになってしまうと思います。
以上頭に入れておくと役に立つかも知れない実験と考察でした。 (2011/08/22)

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