あなたのスピーカー何cm?の続き -シミュレーションで考える-

前編ではスピーカーの周波数特性について実測特性を元に壁からの反射による影響を 調べてみました。今回は周波数特性にどの壁がどのくらい影響を与えているのか考察してみたしと思います。

壁からの反射の影響を計算するソフトにstndwave2という便利なフリーソフトがあります。通常現実に得られた周波数特性があまりに複雑でシミュレーションで再現させることは非常に難しいのですが、今回なんとか似たようなシミュレーション結果が得られました。

stndwave2というソフトは定在波解析ソフトの様な名称をしていますが、実際には鏡像を使用した干渉効果のシミュレーターだと思います(その多重干渉の結果が定在波効果です)。またこのシュミレーターでは反射率の周波数特性依存性とスピーカーの指向性、音の回折効果は考慮されていないと思います。ですのでそのへんを念頭においてシミュレーションする必要があります。

まず距離3mで測定したJBL4429の周波数特性を再度掲載します。
現在の事務所での周波数特性(JBL4429、Lch、3m)
またシミュレーションで求めた周波数特性がこちらです。

周波数特性のシミュレーション結果(20Hz-500Hz)

多少のズレはありますが、かなり雰囲気が出ていると思います。60-70Hzの谷、150Hz近辺の比較的広い谷、42Hzのピーク、最低域の40Hz近辺が中域に比べて10dB程度上昇する等がほぼ再現されています。

シミュレーションの条件に興味がある方ははこちらの図をクリックして下さい。

シミュレーション条件は左の図をクリック

シミュレーションの条件でポイントがあるとするとスピーカー背面壁(シミュレーターでは「前面」と表記されている)との距離です。実際は35cmのところシミュレーションでは60cmにしています。実際にはウーハーから出た音波はバッフル面をたどってから後壁に到達するので、その分実測の距離よりも多めに設定しないと計算が合わないようです。
ちなみに現在の事務所のレイアウトはこんな感じです。

現在の事務所のレイアウト(事務所の1辺が8.4m)

さて、およそシミュレーションで周波数特性が再現できているとして、次に書く壁の影響を調べてみたいと思います。

計算時各壁の反射率はえいやで0.8程度にしてあります。 ここでひとつの壁だけの反射率を0.8程度にして他の壁の反射率を0にするとひとつの壁の影響を個別に知ることができます(これがシミュレーションの良い所)。
実際の周波数特性は振幅だけでなく位相も考慮しなければならないのですが、その辺はとりあえずここでは考えないことにします。
例えばスピーカー背面の壁だけの影響を計算した図がこちら。

スピーカー背面壁からの反射の影響

この結果から150Hz近辺の幅広の谷はスピーカー背面の壁の影響が大きいことがわかります。

次に天井の影響を見てみましょう。天井のみ反射があるとして計算した図がこちら。
天井からの反射の影響

やはり120Hz付近に大きな谷ができました。実測周波数特性に見えた150Hz近辺の広い谷は天井とSP後ろの壁のダブルパンチの影響だった様です。 150Hz近辺というのは聴感上低域の量感に影響する一番大事なところで、これを改善するには後ろ壁と天井との距離を何とかしなければいけないことがわかりました。

以外に影響が出なかったのが床からの反射の影響です。低域に影響は有りませんでした。ひょっとすると400Hzあたりの谷はこの影響かも知れません。よくスピーカーシステムのカタログに床の影響を避けるためにウーハーを高くしましたという文言が乗っていますが、床からウーハーを離すと直接波と反射波の距離差が大きくなって、かえって床の影響を強く受けるようになります。実際には天井の影響度が少なくなりましたということかも知れません。

床からの反射の影響

もう一つ大きいのは右側の壁の影響で180Hz、60Hzに谷ができます。
右側の壁からの反射の影響

左壁の影響は距離が離れているため小さくなります。

左の壁からの反射の影響

スピーカー対向面(リスナーの後ろ壁)の影響も距離が離れているため小さく出ます。
スピーカー対向面の壁の影響

以上スピーカーシステムの周波数特性に与える影響を壁ごとに計算してみました。スピーカー背面と以外にも天井の影響が大きいことがわかりました。左右壁はスピーカーとの距離が1-2mだと大きな影響がでます。逆に周波数特性を平坦にするにはこれらの壁の影響を軽減する工夫が必要となります。 (2011/09/06)

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