これだけは知っておきたい音響工学(その3) -壁の影響は壁に聞け-

前回は壁(床、天井も同じ)の反射の影響を説明したが、ここでは実際にその影響を実際の部屋で調べる方法を紹介する。

壁の反射の影響をざっと調べる方法は意外と簡単である。

どうするかというと、
「影響を調べたい壁に耳を近づけて見る」

ということだ 。

そうすると、その壁が音響特性にどの様な影響を与えているか壁が教えてくれる、のである。

これ、冗談ではなくほんとの話です。

もう少しまじめに解説すると、例えば床の反射による周波数特性への影響を調べてみたいと思ったら、スピーカーから音楽を流しながら、耳を床に近づけるのである。そうすると床からの反射の影響がなくなり(正確には高域に移動するだけだが)、床の反射による周波数特性の乱れのない音が聞こえるという仕組みである。

シミュレーションで説明するとこうなる。

次の様な床の反射があるだけの環境で通常の高さ(1m)と耳を床に付けた(0.1m)状態の周波数特性を計算してみると、こうなる。

青は耳の高さ1mでの周波数特性、ピンクは高さ0.1mでの特性である。ピンクの場合低域の谷が見事になくなっていることがわかると思う(実際にはなくなっているのではなく、高域側に移動しているだけだが)。実際にマイクを通常の高さから床につけて測定してみると、低域の落ち込みが一部減少し(実部屋では壁がたくさんあるので谷が解消する事は無い)、高域が荒くなる結果となる。聴感上も床に耳を付けた方が低域の力強さが向上する、ただし高域がちょっと荒くなるが・・・・。耳を床につけるのは、実用性がないが、小型SPであれば床に直置きした方が力強さは増す。というよりも、通常の設置方法では床からの干渉効果で低域に谷ができて音がへなへなになっている場合が多いというのが実情だろう。

同様にして、天井、左右の壁、後ろ壁の影響も耳やマイクで確認する事ができる。 (2009/12/03)

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