ダンピングファクターの定義と測定方法

ダンピングファクターの定義

ダンピングファクターは以下の式で定義されます。

ダンピングファクター(DF)=Zsp(Ω)/Zamp(Ω)
ここでZspはスピーカーのインピーダンス、Zampはパワーアンプの出力インピーダンスです。

スピーカーのインピーダンスは一般に8Ω程度ですので、アンプの出力抵抗が80mΩであればDF=100となります。

 

ダンピングファクターの測定法

ダンピングファクターの測定方法で最も一般的なのはON-OFF法です。 これはパワーアンプの出力にダミー抵抗を接続したときと接続しないときの電圧差をΔVとし、測定電圧をVとすると、
DF=ΔV/V
で計算されます。例えばDF=100の場合、3V出力時(約1W@8Ω)、負荷の有無によって30mVの電圧差が生じるという事になります。
弊社のパワーアンプDCPW-100(DF>1500)では3V出力時に8Ω負荷をつないだ際の電圧降下は2mV以下という事になります。こう書くと簡単に聞こえますが実際には3.000Vと2.998Vを正確に読み取る必要があるので、有効桁数の多い測定器が必要になります。

例えばオーディオアナライザーでAC電圧を測定すると、この辺は既に測定値の最小桁に近く誤差が大きくなってしまうことがあります。

左はAC電圧を6桁の精度で測定できるACボルトメーターです。これを使えばある程度の精度でDFを測定することもできます。

ダンピングファクターの測定法(その2)低抵抗接続法

ダンピングファクターが1000程度に大きくなると、測定自体難しくなることを説明しました。

もう一つのDFの高精度な測定法はON/OFF法で使用する負荷抵抗を小さくすることです。例えば、通常の8オームの代わりに0.8Ωの抵抗を使用してON/OFF 法で測定するのです。負荷抵抗が1/10になったのでON/OFF時の電圧変動は10倍になりますので、精度も10倍に上がります。

さらに精度を上げてDFを測定するには、例えば出力段のエミッタ抵抗として使用している0.22Ω(5W)を使用して、1V出力で測定するとよいでしょう。0.22Ωを負荷に接続して大丈夫かと心配されるかもしれませんが、1V出力であれば電流値は5Aですので、パワーアンプには問題ありません。

余談ですが、パワーアンプに接続するスピーカーの最低負荷インピーダンスが低いのですが大丈夫でしょうか?と質問してくる方がいらっしゃいますが、2Ωでも1Ωでも大丈夫です。負荷インピーダンスが小さくても、その時の出力電圧が普通であれば問題ないのです。ただ発振器で特定の周波数を入れて、最大出力で連続運転すれば、パワーアンプの破損に至る可能性は在るのですが、普通の音楽で最大出力で聴いていても全く問題ないのです。

 

ダンピングファクターの要因解析方法

ダンピングファクターが大きくなってくると測定が難しくなってくることを話しました。そこでより高精度な測定法を紹介しましたが、ここではさらにどの要素が効いているかを計る方法を紹介します。

ON/OFF法でDFそのものを高精度に測定することは難しいのですが、どこがDFを決定しているかを判断することはさほど難しくはありません。8Ω接続した状態で数V出力し、それぞれの内部配線のAC電圧を測定すればいいのです。

つまりパワーアンプ内部での、

  • パワートランジスタ出力部からコイルまでの配線抵抗、
  • コイル抵抗、
  • リレー抵抗、
  • リレーから出力端子までの配線抵抗

の出力電圧を測定します。そうすると配線を十分に太い線を使用した場合は、コイル抵抗とリレー抵抗が主な出力抵抗であることがわかります(アンプの内部抵抗ではないのです)。