ダンピングファクターに関わるあれこれ

ダンピングファクターの統計解析

市販のパワーアンプについて、ダンピングファクターのカタログ値を価格に対してプロットしてみたのがこちらの図です。■が海外製、○が国産アンプです。三角はDCPW-100の値になります。市販のアンプではダンピンファクターはおよそ100-1000の間に分布しています。

当社のアンプのダンピングファクターが以下に優れているかわかります。

(点線はダンピングファクターを価格で割ったおよそDF価格対比を表すものです。ご参考までに)

高ダンピングファクターDFのアンプには危ないものもある

ダンピングファクターDFが大きいことは一般に悪いことではありません。

DFは出力部の配線の太さ、リレー、コイル抵抗の低減で決まるので、真面目に作ったアンプは結果的にDFが大きくなります。したがってDFが大きいアンプを選ぶというのは結果的にはそう悪いことでもないのです。

ただ、DFが大きいアンプには単に在るべき部品を省略していて、その結果DFが大きくなっていますものが有ります。

例えば出力部のリレーを省略したアンプ、これだと電源をON/OFFした際にボコッとSPから大きな音がしますから、こういったアンプを(DFが大きいからといって)単純に良いと判断してはいけません。

また、極稀に出力部のコイルを省略したパワーアンプもあります。設計者が出力部にコイルを入れる必要があるという基本を知らないのです。こういったアンプですと使用条件によっては発振する可能性があるので危険です。

ダンピングファクターで部屋のブーミーさは治らない

以前に当社のアンプを試聴したいということで、あるお客様のところに持ち込んだことがあります(通常はこう言ったっサービスはしておりません)。何でも低音がブーミーだということで弊社にご相談いただいのです。実際に行ってみると、4畳半くらいのスペースにPMCのSPを設置されていました。PMCのSPはミッドレンジ位のトールボーイ鋳型のモデルで小さくはありません。PMCのSPはTLCとか言ってSPユニットの背面から出た音を音響管を通して吹き出す方式で、低域がすごく伸びる特性があります。

そこで聴いた音はまさに低域がすごく出すぎていて、低音がいつまでも全く止まらないという音で、流石に誰が聴いてもバランスが良い音とは言えませんでした。そこでDFの大きな当社のアンプをという発想だったようですが、流石にこういったケースではいくらアンプがウーハーを制動しても全く効果はありませんでした。ウーハーから出たあとに音が減衰しないこと、さらには定在波が乗っていることが原因ですからどうしようもないのです。

部屋に低域を吸収する素材を設置するか、SPシステムのポートを上手に塞ぐことは重要です。

ダンピングファクターで音はどう変わるか

DFの値が音質に直接比例するわけではありません。DFが1と10では音質も大きく違うかもしれませんが、100を超えると例えば低音の締りが良くなるということを必ずしも実感できるわけでないかもしれません。 というのもDF=100とDF=1000の違いはアンプの出力インピーダンスが80mΩか8mΩということで、この差はスピーカーケーブルの抵抗、あるいはウーハーに直列に入っているコイルの抵抗(数百mΩ)によって、実際には見えなくなってしまう可能性が高いからです。
ただ数百以上のDFの効果というのは低音域の大信号に対して高音域が濁らないですとか、低音域の音階がはっきりわかる、低音が静かに聞こえるという様な聴感上の効果があるように感じます。DF=1000というのはスピーカーからの反作用がインピーダンス分返ってきたとしても、それによる電圧変動が1/DF(=1/1000)に抑制できると 考えたほうが妥当なのだと思います。
DFが100のアンプからDFが1000のアンプに変えても、数値から単純に想像する10倍の効果は無いと思ったほうが正解です。

当社のDFが1000アンプを使ってDFを変えたときに音質がどう変わるかを実験した結果では、DFを小さくしていくと段々普通の音になります。DFが1000以上の音というのは良いというよりも強い音で、中高音域がはっきりしています。装置全体のクオリティーが高いときにはまるですぐそこで演奏しているかのような生々しい音です。DFを10位にしても結構聞ける音ですが、やはり生々しさがない5-10m離れて演奏している様な音になります。

BTLアンプではダンピングファクターは半減する

パワーアンプで通常2CHで使用するが、BTLモードでモノーラル仕様になるアンプがあります。ここで注意してほしいのはBTLモードで使用するとDFがほぼ半減(実際には60%)位になることです。

BTL接続でない場合、左の図のようにアンプの出力抵抗で支配的なのはリレーとコイルです。

 

BTLモードでは左図の様に+-の両方にリレーやコイルが挿入されるので出力抵抗が約2倍程度に増加するからです。

通常BTL時のダンピングファクターはカタログには記載されていませんが、この点はメーカーによらず同じですので覚えておきましょう。

尚、当社のパワーアンプDCPW-240は最初からBTLモードになっているのでダンピングファクターDFは850となっていますが、通常のBTLではない接続ができるとするとDFは1500程度になるはずです。