オーディオ養生所 -ケース1:しょぼいプリアンプ-

このところ忙しくブログの更新がすっかりおろそかになっていました、すみませんでした。

今回はこれまでに接したお客様の事について少し書かせていただきたいと思います。弊社は会社として事業をしており、特に店舗を開いているわけではないのですが、なぜかオーディオ機器について直接のご相談を受ける事が多いのです。中にはいきなり「かくかくしかじかのことについて考察せよ」という命令調の指示をいただくこともあります。(おそらく、ホームページに技術的なことを詳細に記載しているためだと思うのですが)

オーディオ機器の選択、使いこなしに関しては通常、それを扱うお店に相談するのが筋だとは思うのですが、中にはというかかなりの割合でお店に食い物にされていて(下品な表現ですみません)、それをご自身で感じていらっしゃるので、弊社の様なところに相談されるのも理由の一つではないかと思うのです。

とはいえオーディオ機器を扱うお店の役割も大変だと思います。冷やかしの方も多いと思いますし、試聴しても結局その店で購入せず、最安値の所からネットで購入するなどという事も日常茶飯事でしょうから、心労はお察しします。ただ中にはこれはひどいもの売っているなあというケースがありますのでいくつか紹介したいと思います。

ケース1:今使用しているプリの音質が今ひとつなのでと相談されてきたA氏
使用しているプリの音質が今ひとつなのですが・・・・というご相談をいただいたので、使用されているプリをネットで調べてみたのですが、これは酷かった。
名称:J?? プリ (酷評するので隠しておきます)
実売価格:25万円程度
大きさ:寸法: 150 (W) 237 (D) 57 (H) mm ・質量: 1.5 kg
これだけでもわかるとおり、かなりちゃっちいのに非常に高価(うちのプリアンプより高い)。中身はもちろんOPアンプ。OPアンプを使用したから悪いとはいわないが(50-100万円のプリでもOPアンプを使用したものはたくさんある)、この中身は酷すぎる。内部写真を公開している人のサイトを見ると、OPアンプのところにパスコンが無い、NFB抵抗のところに位相補正用のコンデンサが見当たらない。基板を見る限りかなり手馴れた人が設計・製作はしているが、アナログ回路の品質を考えた形跡がまったく見当たらないものだった。一応音は問題なく出ますよという程度のもの。アナログ回路の教科書にこれだけは守りましょうと書いてある事すら怠っている代物でした。基板+部品の価格も5千円あればおつりが来る。シャーシーもしょぼいので製造原価はせいぜい1万円程度だろう。

このプリアンプのうたい文句は「xxで有名なyy社にいたzz氏の設計によるプリアンプ」見たいなもの。この手の文言の製品はこういったものが多い。

このアンプ卸値がいくらかは知らないが、製造者とお店にとってはとってはよだれの止まらない製品だろう。

このお客様には弊社のプリとパッシブプリの両方のデモ機を自宅で試聴していただいて、最終的にパッシブプリの方をご購入いただいた。音質がプリとパッシブプリでほとんど同じだったのでという事だったが、本当はそういうことなら、なお更プリアンプの方をご購入いただきたかった。そのほうが後々いいと思うのですが・・・。パッシブプリと同じ音質がするプリというのは結構すごい事なんだがなあ・・・・。

ケース2は次回に説明します。

コメントを残す