オーディオは音楽と決別した方が良い 「本のふしぎ発見」の続きです

このコラムは前の”最初にちょっとクイズです「本のふしぎ発見」 みたいなの続きです。

書いた書籍「ケーブルを変える前に知りたい50のオーディオテクニック」を本屋さんで探しても見つからず、本屋さんにある在庫検索用PCで調べたら音楽の棚にあることがわかりました。そこへ行ってみたら確かに立派に置いてありました。こんな感じです。その時の嬉しかったこと、嬉しかったこと・・・(ご想像下さい)。証拠写真はこちらになります。

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渋谷東急本店”ジュンク堂”2015年9月

2015-09-24 13.52.26WB東京丸の内”丸善”

東京丸の内”丸善”

ただ、本が置いてある場所は音楽のコーナーです。私の書籍だけでなく、この書店ではオーディオの本は雑誌も含めて全部音楽の棚にありました。オーディオ雑誌や専門誌はよく買うのですが、恥ずかしながらこの書店では音楽のコーナーに置いている事は知りませんでした。もっと小規模の本屋さんだと音楽のコーナーもそんなに遠くないのでいいのですが、大型書店では勝手が違います。

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東京丸の内の”丸善書店” 上図が全体配置図、下図が拡大図 (とにかく端っこ中の端っこで人がいない)

 

 

 

 

 

そもそも音楽のコーナーというのは書店の一番人が来ない所に配置されていて、丸の内の丸善書店だと赤の矢印の場所になります。人通りの多いメインストリートから最も遠い、死角というか吹き溜まりの様な場所に音楽コーナーがあります。

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渋谷東急本店ジュンク堂の音楽コーナー (休日だというのに誰もいない)

 

 

 

違う書店の渋谷のジュンク堂でも音楽コーナーの場所はもう端っこ中の端っこで、混雑した土日の昼間でもほとんどだれもいない過疎地です。(渋谷の書店の遠景がこれですから。)

書籍には出版社の方で分類コードをつけますが、書店では必ずしもその分類にしたがって配置するわけではなく、独自の判断で置き場所を決めているそうです。

音楽関係の本は売上的には下位の方なので、結果的に一番目につかない場所になってしまうのだと思います。音楽といっても雑誌というより、音楽史とか楽譜とかそういった本が多く、非常に限られた対象の人しか買わないコーナーですので。

ただオーディオ本は音楽関係の人が購入するかというとそうではなく、むしろ電気や機械に興味がある人が凝る趣味なので、購入者の分類からいうと理工学書の電気、PCの場所が最も適しています。わたしもアンプ関係の書籍などを探しますが、だいたい電気、パソコン、ソフト(プログラム)あたりの書棚しか見ていませんでした。オーディオ本を電気の所においてくれれば、今の5-10倍は売れると思いますが残念です。

音楽の演奏をしている人は楽器、演奏法などには凝るのかもしれませんが、再生装置(オーディオ装置)にはほとんど興味がないのが普通です。そこにオーディオ本を置いておいても売れるわけがないのです(そもそもそこに探しに行きませんから)。例えるなら車の雑誌を観光案内のドライブマップのところに置いているようなもので、似ていると考えがちですが、顧客の嗜好という観点からみれば全く的外れです。

おそらくデータに基づいた購入者の行動分析みたいな事を一度も検討したことが無いのだと思います。ジュンク堂、丸善といった大型書店ですらこうですから、本屋さんの世界は結構遅れているのではないかと思います。再販制度で守られているので、本屋さんの進歩というものが止まっているのだと思います。本の売上が落ちているというのはネット社会になって厳しい面もあるとは思いますが、基本的な事ができていないという状況もあると思います。

それではオーディオ本を電気のコーナーに置いてもらうにはどうしたら良いでしょうか?

本屋さんにお願いするのも手ですが、おそらくそうは簡単にいかないでしょう。ここでいいことを思いつきました。本のタイトルを「この本は電気のコーナーに置いてください(音楽の棚にはおかないでね)」とするというのはどうでしょう。これなら置くときにビビって電気の棚に置いてくれるかもしれません。ただ、そのタイトルでは苦情が来ることは必至です(いまの本でも”タイトルと内容が違う”という批判もある様なので)。

今回は本屋さんでの音楽とオーディオの関係について考えてみました。(2冊めの本を出版する予定はありませんので念のため)

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