原田慶太楼さん指揮・東京フィルハーモニーの「展覧会の絵」がとっても良かった ー現代のお手本ー

10/13に品川のきゅりあん(区民ホール)で行われた「展覧会の絵」を聴いてきました。この公演の音が良かっただけでなく、構成がお手本ではないか思えるほどよかったので、紹介します。

地元の品川区で「展覧会の絵」をやるということで、妻がチケットを購入しました。原田さんの名前は知らなかったのですが、品川区出身だそうで、そのご縁できゅりあんで公演を行ったようです。

良かった所

1. プレトークとして演奏の前に20分位、自己紹介、曲の聞きどころなど説明してくれました。

これはとっても重要で、クラッシックの人はなぜ説明をしないのか、普段から疑問に思っていました。一般には「聴いて分かれ」というスタンスなのだと思いますが、聴いただけでわかるはず無いのです。原田さんの説明のお陰で曲の理解も深まりましたし、何よりも、聞く前にもうファンになってしまいます。

2. アンコールを前半にやったこと。

普通アンコールは最後の曲のあとにやるものですが、なんと前半の後にアンコールをやって、後半の大曲「展覧会の絵」の後にはアンコールをやりませんでした。以前から言っているように、大曲の後にアンコールをやるのは、私は「どっちらけ」だと思います。大曲の後にやらなかっただけでなく、前半の後にやったパターンは私は初めて経験しましたが、「この手が有ったか」という感じです。

3. 演奏ももちろん良かった

東京フィルハーモニーは初めて聴いたかもしれません。クラッシック通の人に言わせれば、小言はいろいろあるのかもしれませんが、私が聞く限り、とても上手で迫力がありました。特に打楽器の音が大きく迫力があったのも良かったです。

全体の音も澄み切っていて綺麗でした。こういう音は現在流通する音源(録音)などでは決して再現できないレベルだと思いました。オーディオの性能がこういった音を再現できないわけではないのですが、普通のワンポイントっぽい録音では全体的に濁るのでだめでしょう。

残念だったところ

ホールの音響はいまいち

席は前から5列のかぶりつきの席でした。このホールは形でいうと扇形で、本来は悪くないホールのはずです。ただ例えばピチカートなどは「ツンツン」という感じで、音響の良いホールで聞こえる「ズンズン」という音になっていませんでした。これはホールの音響のせいだと思います。また前半のバリトンも本来なら(黄金ホールの様な良いホールなら)図太く聞こえる声なのだと思うのですが、低域が抜けてしまって今ひとつ迫力が出ていませんでした。

このホールの音響が何故良くないのかは(形からだけでは)わからないのですが、小規模のホールでもティアラ江東の様な音響の良いホールでやれば、より素晴らしいコンサートになったと思います。

最後に

原田さん指揮・東京フィルハーモニーは非常に音がいいので、他のホールで他の曲も聴いてみたいと思いました。

コットンクラブでテレンス・ブランチャードを聴いて来た -正直がっかりした-

テレンス・ブランチャードとの出会い

テレンス・ブランチャードさんは昔、CDをCDショップで買って知っていました。そのCDはこの「ニューヨークセカンドライン」というものです。

その後だいぶ立って出たこの「Tale of God’s Will」もとてもいい音でした。

今回、そのテレンス・ブランチャードさんが来日するということで聞きに行きました。お気に入りのブルーノート東京でも演奏があったのですが、系列のコットン・クラブでもやるということで、今回はコットンクラブに行ってみました。

コットンクラブはとても場所がいい

KITTEビル 旧郵便局の面影を残してきれいになっている
KITTEビル 旧郵便局の面影を残してきれいになっている

ブルーノート東京は青山にあるのですが、駅からはちょっと遠いです。コットンクラブは東京駅の真ん前のKITTEビルの隣のビルにあってめちゃくちゃアクセスがいいです、しかも場所がおしゃれ。

その代わりコットンクラブは席が狭い

ただ中はブルーノート東京の半分くらいの大きさで、しかも席が狭いです。よくこんな椅子を探したなというくらい狭い椅子(幅40cm位)。

コットンクラブの内部の様子
コットンクラブの内部の様子

肝心の演奏ですが、期待していたのと違いました。

ただ残念ながら音が悪かったです。ブルーノート東京はかなり音質が良く、ピュアオーディオの人が聴いても満足できるPA装置でした。コットンクラブの音質はそれと逆に、場末のディスコの様な音質です。エレキベースとバスドラムの低音だけ異常にドンドコドンドコと鳴っていて、エレキギターやトランペットの音はほとんど聞こえないくらいです。PAのミキシングのバランスが異常です。テレンス・ブランチャードではなくて、バランス・ブレチャッタードって感じです。

演奏にはピアノ、バイオリン、チェロ、ビオラなどの楽器も参加していましたが、弦楽器の音はほぼ聞こえず(低音のドンドコのせいで)、しかもトランペットの音もスピーカーやっと聞こえる程度でした。

ここは100人くらいのホールなので、本来PAを使わなくても十分なくらいなのですが、低音が過剰なPAの音だけが聞こえてくるという、非常に残念な音響でした。

今回のPAはコットンクラブの設定か、奏者テレンス本人の設定かわかりませんが、結果が残念だったことに変わりありません。

CDの録音はとっても良かっただけに、残念でした。これなら家でCDを聴いていたほうがよっぽど良かったです。

今回パスタコースを注文しておきましたが、料理も前菜・パスタ・メインなどとは書いてあるものの、メインの肉が何なのかも予約時にはわかりません。鴨肉だったのでがっかりです。ただパスタは麺がもちもちしていて非常に美味しかった(普通のイタリアンレストランよりおいしい)。

次はやっぱりブルーノート東京に行こうと思います。

新リニア電源19V3AをminiPCに繋いでみたら、結構すごい結果になりました

はじめに

久しぶりにテクニカルな内容を投稿させていただきます。

以前ラズパイ(Linux)に音楽用OSのVolumioを組み合わせたミュージックサーバーで、この電源をリニア電源(5V3A)にしたら音質が抜群に良くなりました。今回はwindowsPCに開発した19V3Aリニア電源を組み合わせてテストしてみました。

最近は19V3A位で動くwindows用miniPCが安価に市販されていて、音楽用にも十分な性能を持っています。今回試したのは下のminiPCで、アマゾンで39000円で売られていました。2世代前のcorei5ながら、相当の高性能で5年前に私がメインPC用に25万円で購入した最高級デスクトップPC(corei7)よりも、なんと性能面で優れています。足りない機能は当然のことながら外部グラフィックボードを搭載できないことぐらいです。このPCで4kモニターを2台接続できるので、通常の使用でなんの不足もありません。恐ろしい世の中になったものです。

ミニPC 第 11 世代インテル Core i5 11320H 内蔵16GB DDR4 RAM+512GB SSD Windows 11(Askhand製)

wav信号を再生してみた

miniPC本体でwav信号を再生(DA変換)した際の信号スペクトルを解析してみました。

1kHz0dB(44.1kz,16bit)のwav音源のminiPCでの再生信号

これはwav音源をUSBメモリーに入れて、miniPC内でアナログ信号に変換し、miniPC本体のヘッドホン出力から取ったアナログ信号をオーディオアナライザーで解析したスペクトルです。まるで違う信号を再生しているかのような、スペクトルの違いです。付属のスイッチング式DCアダプター(19V5A)ではベースラインのノイズが30dB位多いことがわかります。特に30kHzと110kHz近辺のノイズが凄いです。

PCのCPUは1-3V程度の電圧で駆動されていると思います。当然PC内部のスイッチング電源で電圧が変更されていると思います。にも関わらず、良質な電源に変更することで、ここまで雑音レベルの差が出るとは驚きです。

1kHz-60dB(44.1kz,16bit)のwav音源のminiPCでの再生信号

さらにこちらは信号レベルを0dBから-60dBに落とした際のスペクトル信号です。このレベルでは付属電源ではだいぶノイズにまぎれてしまっています。

アナライザーの総合画面で信号レベルを見てみると

信号レベルを見てみると、付属電源では入力電圧が8mVになってしまっています。本来は-60dBの信号再生なので1mV程度のはずなのですが、ノイズが多過ぎて8倍に計測されていることがわかります。また高周波ノイズの影響で、アナライザーでは119kHzの信号と認識されています。

miniPCはDCアダプターと同じ幅で、ちょうど半分のサイズ

使用した19V3A試作電源

使用した19V3ADCアダプターの内部、これまでのDCアダプターよりもかなりゴツくなっています。

終わりに

オーディオ用としてこのPCのからのアナログ信号を直接聴くということを考えているわけではないのですが、USB-DACを接続した際にジッターを低減して音質も良くなるのではと考えています。デジタル信号も元を正せばアナログ信号なので・・・・。またこのminPC+リニア電源の構成でRoonなどを導入してTidalを再生すれば最高の音質が狙えるかもしれないと考えています。

この19V3A電源は従来のDCアダプターと同じサイズになんとか収めました。違うカテゴリーの直流電源なので新たにJETの試験を受けて、通った際は市販しようと考えています。年末くらいまでには間に合わせたいと思います。

ミュージックサーバー発売のお知らせ

ミュージックサーバーMS-100を発売します。

ラインナップは次の通りです

型式   仕様      価格(税込)

MS-100L(ボード無)     99,000円
MS-100T(TinkerBoard)   121,000円
MS-100R (RaspberyPi)  121,000円 (ラズパイボード入手困難のため当面販売無)

コンピュータ・ボード付きのものは音楽再生OS「Volumio」をプリインストール済みです。

受注開始:4月18日

注文はこちらのオンラインショップからお願いします。

発送:4月末頃より順次発送の予定です。

MS-100でできること

入力ソースとしてはUSBメモリ、USBハードディスク、ネットワーク上のNAS(Soundgenic等)などの音源をUSB-DACなどで再生することができます。

音源のデバイスを選び、アルバムを選んでから曲の再生が行えます。

操作に関しては本体のタッチパネルでも可能ですが、タブレット、PCなどからも遠隔操作可能です。

詳細は製品ホームページをご覧ください。

ご注意

操作自体は簡単ですが、セッティングなどにある程度のコンピュータの知識が必要になることがあります。ラズパイなどを自分でいじくる人向けの製品で、コンピュータは全くできないという人には向きません。

また使用している音楽用OS「Volumio」には多少のバグがあります。この点は免責とさせていただきます。製品保証も通常の製品と異なり、コンピュータ部は初期動作のみとなりますのでご了承ください。

ジッター特性を実測してみました その2 PC出力のジッターは?

はじめに

前ブログではCDプレーヤーのSPDIF信号についてジッターを測定してみました。今回はパソコンとSPDIFアダプターの組み合わせについて調べてみました。

使用装置

使用したのはこのHifaceではDellのラップトップInspiron14(corei7,win10)の組み合わせです。

Hiface

測定結果

話が前後しますがオーディオアナライザーSYS-2722ではまずデジタルオシロの様に波形観測ができます。これは実際にSPDIF信号(44.1kHz)の出力波形を測定したもので44.1kHzの64倍の2.82MHzをベースに1、0の信号が出ていることがわかります。

ジッター信号のヒストグラム

この信号の本来の周期からのずれを測定したものがジッターとなります。その時間誤差の値を頻度で表示したものがこちらのヒストグラムです。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-18-1024x908.png
Hifaceのジッターヒストグラム

前ブログのCDプレーヤのもの(下図)と比較するとほぼ同じ形に見えますが、実は縦軸がこちらは10%と2倍になっていますので、誤差の頻度は2倍に大きくなっています。時間の誤差(横軸)は+-1nsで、SD-9500のジッターと同程度であることがわかります。

CDプレーヤーのジッターヒストグラム

PC+Hifaceのジッターは安価なCDプレーヤーよりはよいものの、最上位機種のプレーヤーには劣っています。

ジッター信号のFFTスペクトル

こちらはHiface出力のジッターのFFTスペクトルです。その下のCDプレーヤーのジッター値と比較すると、ほぼSD-9500(ピンク)と同じであることがわかります。ただkHz帯にSD-9500では見られないピークが多数出現していてこれらがジッター値悪化の原因になっているのかもしれません。kHz帯のピークはPC由来のノイズかもしれません。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-16-1024x723.png
Hifaceのジッタースペクトル
CDプレーヤーのジッタースペクトル

終わりに

ということで、PC+デジタルインターフェースの組み合わせについてジッター特性を測定してみましたが、単純に機器の形態(プレーヤーかPCか)ということではなく、その機器の品質・性能に左右されているのかなと感じました。

また、再度お断りしておきますが、一般にジッター特性は機器の再生音質を左右する重要な要素ではありますが、今回の機種に関しては再生音質とジッター性能にあまり相関が無いように思います。
この辺がオーディオの奥が深いところで、常に模索する日々が続いています。