秋のヘッドホン祭り2024の試聴レビュー結果をお知らせします

秋のヘッドホン祭り2024が11/2(土)に開催されましたので、報告させていただきます。

当日のブースの様子

今回春に続いての参加となります。HP祭りの参加者の方は以前(10年前位)と比べると少し少ないかも知れません。以前の様に”ごった返す”という様相はなく、混雑時でも通路を歩ける程度に落ち着いています。そんな中当社ブースへもそこそこ試聴して下さる方がいらっしゃいました。

全体的にはヘッドホンからイヤホンに移って行っているのかなという印象も受けました。イヤホンですと当社の様な据え置き型アンプはあまり使用しないのかなとも思います。


試聴アンケートについて

今回、”お客様の動向を知る”、”当社製品の実力を知る”という狙いで、試聴アンケートを行いました。概要は以下のポスターの通りで、ヘッドホンアンプとヘッドホンについて行いました。

当日ブースでも、(力作?の)ポスターを掲示してレビューを募集しました

当社ブースでのアンケートは、用紙に記入またはネット投稿という形でおこないました。

ヘッドホンアンプのレビュー結果について

結果的にはほとんどの方がアンプ試聴について回答頂き、ヘッドホンについては聴き比べされた方が少なかったので、集計はアンプについてのみ行いました。

Roon音源でPCからDACのRME ADI-2 DAC FSに接続し、そのアナログ出力をLuxmanと当社ヘッドホンアンプに接続して試聴してもらいました。

皆さん、RMEに直接挿すよりは、据え置き型のヘッドホンアンプを通した方がずっと良いという事は共通していました。

アンケート数としてはトータル10人程度で少ないのですが、グラフにしてみました。

お断り(アンケートの考え方について)

アンケート結果については、当社アンプが一番良い結果となりましたが、当社ブースに立ち寄られた方の試聴となりますし、当社に対する忖度も多少あると思います。


アンケート集計結果

RME ADI-2 DAC FS (直挿し) (評価数 7)

ADI-2に直挿しして試聴した結果です

スコア 3.3

  • ナチュラルで聴きやすい
  • RMEは普段使っています
  • 解像度は高めだが少しシャリつく
  • モニターより
  • 出力が少し弱く感じた

Luxman P-750uMARKⅡ (評価数7)

Luxmanの試聴結果

スコア 4.0

  • ソースの音を素直に出すアンプだと思うので躍動感はあるが少し荒い
  • 良いが大きさもあって買おうとは思わないかな
  • スピーカーで聴いているような音の生々しさ太さがあった

Audiodesign DCHP-200 (評価数10)

当社HPアンプの試聴結果

スコア 4.7

  • 音源がストレートに出て来て聞いていて気持ちよかったです
  • stax以外のヘッドホンを使うなら使ってみたい
  • 全体的に聴きごこちが良いです。ゆったりと音にひたれると感じます。大きさお値段もちょうどいいです。ボタンがピンだったり、ボリュームの回しが大きいのも好きです。
  • とてもクリアで細かい音もよく聞こえる。瞬発力が素晴らしい。
  • リスニングな音色で楽しかった!
  • P-750umk2と比べると中高域の鮮やかさが良かった
  • 自分で使用しているスタックスの専用アンプより音が太く低音の低いところまで出ている感じがしました
  • 音の力強さが好みで、生々しさがある音が良かった
  • *機能性とフィーリングはとてもよく、様々な感度・インピーダンスのヘッドホンを取り替えて楽しむ使い方に非常に寄り添ってくれていると感じました。ただ、あえて言えばトグルスイッチのガタつきが大きいのは価格からすると残念です。JRサウンドのHPA-203(アキバeイヤに展示品があります)はほぼ同じサイズのトグルが付いていますが、ガタがなくカチッとしていました。スイッチのメーカが違うのでしょうか。 音質面ではDCDAC-180との組み合わせでは高い透明感と端正な空間表現が印象に残りましたが、音源の質を露骨に晒し出してしまうシビアさを感じました。しかしながら、音源をストレートに出している証でもあり、高品質音源を聴いたときの粒立ちの鮮やかさや壮大さにも繋がっているので悩ましいです。ここは好みによって接続するヘッドホンを選ぶかもしれませんね。お勧め頂いたHifiman Anandaは空間表現が広い利点と、DCHP-200のシビアさを中和する個性が絶妙に嵌っていました。HD660S2では660S2のウォームさが消し飛んで非常にスピーディで真面目な鳴り方になったのには驚きました。機会があれば繋げて聴いてみたい機種としては低インピーダンス・低能率で音のバランスがアンプに左右されやすいMoondrop PARAと、非常にフラットで音源にかなりシビアなAustrian Audio The Composer が浮かびました。

ヘッドホンアンプの試聴アンケート結果(総合)

アンケートの反省点

評価項目を細かく分けすぎました。次回から項目は少なくして、コメントを多く書いてもらうようにしたいと思います。

集計結果は次のとおりです。


ヘッドホンの部

ヘッドホンについては、評価数が少なかったのでコメントのみ紹介します。

HiFiman ANANDA

77,000円

  • 自宅のスタックスの音に近い感じがしました。音場が広く低域不足にもならず良かったと思います。
  • いい音で鳴っていた。あざやか。
  • 掛け心地は悪いくない。
  • *様々な音源によく合う組み合わせだと思いました。アンプのもつ空間表現はしっかりと反映されるとともに、あまり質のよくない音源でも高域がシビアになり過ぎず、ずっと聞いていたくなりました。

ゼンハイザー HD-660S2

77,440円

  • 開放型の良さである音場の広さがよく表現されていたと思います。
  • 少し高音がジャリつく、高音があまり出ていない
  • *以前別の機会でADI-2に繋げて聞いた時の印象と比較すると驚くほどの変化で、ウォームさは一歩引き、スピーディかつフラットな生真面目なモニターサウンドに代わり驚きました。ただ、トーンは元のHD660S2から損なわれているとか、色付けされている印象は受けず、わずかに響くために空間表現に緩さがあった帯域や高域に向かって緩くロールオフしていた感じがスカッと無くなった感じです。HD660S2の個体差も否定できませんが、アンプの駆動力を実感しました。あえて言うならリラックスして聴くにはちょっと良くないかもしれないです。 音波・定位感はANANDAと比較すると上下左右ともに狭く感じましたが、頭を包む球体の上に整然と音の要素が並んだ印象を受けました。もう少し音場が広い方が好みでした。

beyerdynamic DT880Edition2005

32,800円

  • 他の機種と音質の傾向が少し違うような気がしました。しばらくじっくり聞いてみると良さがわかって来るかも知れないです。

オーディオテクニカ ATH-WP900

74,950円

  • 密閉型なので高音は今ひとつかと思いましたが、そのようなことはなくバランスが良かったと思います。

当社について

  • *以前より技術コラムを読んでおりました。特にフォノイコライザのネガティブキャパシタンス回路に関してはとても面白かったです(聴けたことはないですが…)今回、製品を初めて聴く機会に恵まれました。製品の測定器のような整然とした雰囲気を裏切らない、スピーディでカチッと揃った音といった印象でした。様々な音源を幅広く聴く身としてはちょっと扱いづらいと感じるのですが、高音質なソースを用いて嵌った時の透明で整然とした自然さは本当に魅力と感じました。好みのヘッドホンを使いつつ、悪い音源をなんとかいい感じにする方法があれば…と聴きながら悩んでしまいました。

試聴レビューについて、金賞、銀賞をは次のとおり決定させていただきました。

金賞(5000pt) ”ふらっとふぇーず”さん

銀賞(3000pt) ”HM”さん もう1名は該当なし

受賞された方には投稿謝礼に加え、上記アマゾンギフトポイントを差し上げました。

”ふらっとふぇーず”さんからは大変内容の濃い貴重なご感想をいただきました。

貴重なご感想ありがとうございました。(金賞コメントは*で表示しております)。


次回の春のヘッドホン祭り2025でも、何かしら試聴イベントを開催したいと思いますので、よろしくお願いいたします。また、何かご希望の企画などございましたらお知らせ下さい。

普段なら買わないかも?というオーディオ製品を色々と試してみました その1・ヘッドホンアンプ

こんな事情で買ってしまった

6月は当社の決算月で、ここで1年間(令和2年度)の締めとなります。皆さんコロナで家にいる機会が多くなっていることも幸いしてか、お陰様で売り上げはなかなか好調でした。となると利益の34%は法人税として納めることになります(他にも税金はたくさんありますが)。

消費税も考慮すると、何か買うと44%得するので、買うべきものがあったら購入しておいた方がお得です。しかも中小企業は特例で一個33万円(税込)まで、計10個分は資産ではなく消耗品として購入できる(全額経費になる)のです。

ということもあって、買ってもいいかな?(普段なら買わないかも)というオーディオ製品をいくつか購入して試してみました。また、なぜか結果的に、普段の嗜好とむしろ逆の製品も購入していました(なぜかは分からない・・・)。

第一弾 ヘッドホンアンプ

ずいぶん前に聞いたときは、良かったのだが・・・

この機種は聴きたいというよりも、現在の標準機器のレベル・音質を知っておいた方がいいだろうということで買ってみました。30万円クラスのヘッドホンアンプです。業界の標準アンプといっていいい機種かと思います。ずいぶん前ですがこの機種のだいぶ前のモデルを1日聴いている機会があり、なかなかいい音だったとの認識がありました。

今回改めて最新型を聴いてみて驚いたのですが、今回はあまりよく感じません。ヘッドホンはAKGのK-701を使用しました。全体の帯域バランスはいいのです。K701はオープン型で、ともすると低域が不足気味になることも多いのですが、低域の量感も十分でいいバランスです。

何がよくないかというと中高域が冴えないというか、濁ります。ヘッドホンというのは普段スピーカーの音を聴いている人が聴くと驚くほど繊細で細かい音が聞こえるはずなのですが、そういうことがなくて逆に驚きます。普段聞いているSPの方がむしろ繊細な音が聞こえるくらいです。大切なものをたくさん失ってしまった様な音です。

音に透明感がないというか、弦の音が濁り、オーケストラがお団子になって聞こえてきます。当社で以前DCHP-100というヘッドホンアンプを出していましたが、こちらの方がヘッドホンの良さを各段に出しているように思います。ただしDCHP-100は低域の量感が出にくいので、組み合わせを選ぶということはあるのですが。

このアンプを聴くと複数の方が当社にヘッドホンアンプを造ってと連絡されてくる理由がわかる気がします。順番があるのですぐにヘッドホンアンプの新製品を出せるわけではないのですが、いつかヘッドホンの良さを最大限に発揮するアンプを造ってみたいと思います。

次はこれらを予定しています。

300Bシングルアンプ

たまには真空管アンプでも聞いてみますか

そして第3弾はスピーカー

とあるスピーカーの名器?

しばらく聞いてみたが今はソファの後ろに

第4弾はサブウーハー

KEFのサブウーハーKC62

ポタ研ご来場ありがとうございました

7/30(土)中野サンプラザでポタ研夏2016が開催されました。当社ブースにも沢山の方にご来場いただきまして誠にありがとうございました。

当社の出展の様子はこんな感じでした。

IMG_20160730_101722[1]

展示の様子、開場前なのでくつろいでいます

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ポタ研開演中の様子

PEHA-100

ポタアンPEHA-100は発売以来1年以上経過しておりますので、すでに皆さんに充分試聴していただいておりますが、それでもいろいろな他社新製品を聞いた後にPEHA-100を聴いてその実力を再確認して行かれる方などが多くいらっしゃったようです。

PEHA-200(新製品デモ機)

PEHA-200はケースが間に合わずスケルトン状態での試聴機となりましたが、かえって中が見えて好評だったかもしれません。

PEHA-200の音質に関しては概ね好評でしたが、USB入力が必要とのご意見を多く頂きました。

PEHA-200#2スライド2次回のヘッドホン祭りまでに製品版を間に合わせたいと思います。

春のヘッドホン祭りで頂戴した意見を反映させてだいぶ仕上げたつもりでしたが、まだ課題は有るようです。秋のヘッドホン祭りでは製品版ができるよう頑張りたいと思います。

今後共よろしくお願いいたします。

PEHA200#2 012_800

見えている大きめのチップがES9018Sです。(DAC周りは基板設計をまだ詰める必要があります。)

p.s. 持って行った著書はおかげ様で全部売れました。

 

photo

スイッチが沢山ついています。

ハイレゾ下さーい! はい、”つゆだく”になりますけどよろしいですか?

最近、ハイレゾ対応のポータブル・デジタル音楽プレーヤー(DAP)を購入してみました。当初、バランス駆動でデジタル出力も出るものを買おうと思ったのですが、現物をみると大きいのと、バッテリーが1日しか持たないそうなので、気持ちが萎えて、結局3万円くらいの安価でバランス対応なし、デジタル出力無しのベーシックなものをかってみました。

ハイレゾを再生してみると、何の問題もなく192Hz,24bitやDSD音源を再生できて、非常に良く出来ている。特性をちょっと調べて見ると(これは私の癖)、面白かったので紹介します。

8je1mp7b

購入したプレーヤーはこれ、プレーヤーとしては良く出来ていて、唯一難点をあげればアルバムの写真をタグ付けするソフトが無いことくらいです(PCソフトが無い)。音質は悪く無いと思います。特に刺激的というわけではなく、また物足りないというわけでもなく、普通に良く出来ています。

ただ、ハイレゾ音源を再生してみるとなんだか大変なことになっている様です。

 

CD音源再生時のスペクトル (0-2Mhzスケール)

CD音源再生時の信号スペクトル
(0-2MHzスケール)

 

これが通常のCD音源再生時の信号波形のスペクトルです。これは何の問題ないのです。

(ポータブルプレーヤーはスペアナ50Ωを充分駆動できるので、スペアナにそのまま直結して測定しています)

 

 

 

ハイレゾ再生時の信号スペクトル(0-2MHzスケール)

ハイレゾ再生時の信号スペクトル(0-2MHzスケール)

 

ところが、ハイレゾ音源を再生すると(96Khzでも192Khzでも)ものすごい高周波ノイズを発生しています。その高周波ノイズの周波数帯はMHz帯です。

 

 

加えて時々発振しているようで、発振波形の振幅は信号波形の振幅よりも大きいくらいです。(トーンバースト波形の様に時々出ているのが発振波形です)

やはり小さい筐体に機能を盛り込んでいるので、いろいろなことが起きているようです。この辺の対策を施したら良くなるんでしょうか?ということで、逆にいろいろと興味が湧いてきました。それに、デジタル出力やバランス駆動に改造してみるのもいいかなと、思っています。

またこのポータブルプレーヤーだけが多量の高周波ノイズを出しているわけではなく、ほとんどの機種で似たような状況になっているのではないかと考えています。

そういえば、弊社のポタアンPEHA-100はノイズのまったく無いアナログアンプですが、展示会などで聴いてもらっていると、まれにノイズが出ているという人がいました。各自のデジタル音源+DACなどを接続するので、凄い高周波ノイズが出ている場合にアナログアンプを通して可聴帯域にノイズが降りてきているのではないかと思います。これだけ、あるいはこれ以上にRFノイズが出ているとそういうことが起きても不思議はありません。

ということで、ハイレゾにすると高周波ノイズがつゆだくで(ごはんの量よりつゆが多いくらいに)付いてきますというお話でした。

 

(おそらく)嵐をよぶ、バランス・ヘッドホンアンプTempoを発売します

新しいイヤホン、ヘッドホンアンプを発売します。
賛否両論が予想されるので(否否片論だったらどうしよう)、「嵐をよぶヘッドホンアンプ」と名乗っておきます。

その製品はこちら

tempo2 005rev

tempo2 010rev

tempo 034_800

tempo 005_800
一見何の変哲もないバランス入力のヘッドホンアンプですが、何が変わっているのか・・・・。

それはリケーブルなしにすべての3線式イヤホン・ヘッドホンをバランス駆動するからです。
それって当たり前・・・、え?

そんなことできるわけ無いだろ、と。
でも、できるんです。
それは本当にバランス駆動か?
ここが嵐を呼ぶ理由です。
(すでにそういうものが過去にあったらごめんなさい。)

本当にこれでいいと言えるのかわからないので”Temporary”からとって「Tempo」と名付けました。

もひとつおまけに、バランス用にリケーブルした左右独立アースの4線式イヤホン、ヘッドホン(2.5mm4極AK/ 3.5mm4極Sony)も普通にバランス駆動もできます。

入力はXLRバランスのみです。

電源は外部供給となっておりDC12V電源を別途必要とします。

オーディオデザインのDCA-12Vとのお得なセット価格も設定いたします。

内部はこんな感じです。OPアンプLME49860とバッファアンプLME49600という組み合わせで、半導体自体はある種一般的かもしれません。

12Vを分圧して+-6Vの正負電源化して駆動しています。
Tempoの仕様はこのとおりです。tempoSpecrev1R3

その動作原理、音は次のお楽しみです。10月のヘッドホン祭りで製品紹介予定です。
またNetAudio誌でポタアンPEHA-100と合わせて商品紹介の予定です。

Tempoで使用した3線バランス駆動についてFAQを作ってみました。

 

 

3線バランス駆動のFAQ

Q1: 3線バランス駆動はバランス駆動といえるのでしょうか?

A1: 平衡信号(逆相信号)を利用していると言う点ではバランス駆動です。通常の平衡信号に不平衡信号(同相成分)が重畳しているだけでバランス駆動の一種です。

Q2: 3線バランス駆動は通常のステレオアンプ(ヘッドホンアンプ以外)に使用できますか?

A2: 出来ません、そもそも通常のステレオでは3線バランスを利用する必要がありません。

Q3: 3線バランス駆動は通常よりも増幅段が増えるのでしょうか?増幅段が多い場合、それによる音質劣化は考えられますか?

A3: 増幅段を増やさずに処理が可能ですので、原理的に音質劣化の要因はありません。

Q4: 3線バランス駆動は通常のアンバランス駆動に比較して欠点はありますか?

A4: 技術的に設計が難しいこと、これを利用したアンプが限られていることです(現在Tempoのみ)。

Q5: 3線バランスは通常のバランス駆動よりも音質は劣ると考えていいのでしょうか?

A5: 3線である以上クロストーク成分が存在しますが、音質が悪くなるとは限りません。是非、実際に試聴して確認してください。