AC電源のノイズ対策をしてみたら、意外な結果に

初めに

EMIメーターで事務所のノイズを測った結果を前回報告しました。

今回いろいろな対策をしてみた結果を報告します。

前回測定した結果はこちらです。

HPのデスクトップパソコンがノイズ源として大きく観測されました。

ノイズの除去デバイス

そして試したデバイスがこれです。

ノイズの除去効果

結果がこちらです。

意外な事にノイズカットトランスでノイズは激減し、高周波フィルタータイプのものはほとんど効果がありませんでした。

ノイズの成分

ノイズ波形を観測したものがこちらです。

通常のスペクトルアナライザーではほとんどノイズの観測はできませんでした。オシロでAC電源の50Hzを除去した波形を見ると、ほとんどが数十kHz帯のノイズでした。高周波ノイズではなく、低周波ノイズだったという事だったのです。

低周波ノイズの有無しでは音質にはほとんど違いがありませんでした。この辺は住宅地でノイズがもともと少ないことが原因かもしれません。秋葉原の様な電気街に行けば、高周波ノイズが支配的になるかもしれません。

まとめ

1. EMIノイズメーターでノイズ低減効果を調べた

2. クリーン電源、フィルタータイプは効果無かった

3. 絶縁トランスでノイズは激減

4. ショーティング型も効果大

5. ただし、音質への影響はなし

6. 主に低周波ノイズだったから?(数十kHz)

本ブログの内容はYoutube動画で詳しく解説しています。

会社事務所のEMIノイズを測ってみた

前回EMIメーターを買ったことを紹介しました。事務所のコンセントでノイズの量を測ってみたのがこちらです。

中央下段のノイズが大きめなのは、この辺にNAS、ルーターが集中しているからだと思います。それ以外はおよそ同じ数値ですね。

単位はmVで大体200mV前後の値が出ています。矢印は時々数値が跳ね上がるのでmaxの状態を右に示しています。

上図で「ノイズ源無し」というのは、実はある物のスイッチを入れると数値が跳ね上がるのです。そのノイズ源とは、ズバリ、私がメインで使用しているデスクトップPCです。

HPのpavilionシリーズのそこそこ上級モデルcorei7、RTX4060グラフィックボード、電源500Wの構成のPC電源を入れるとこのように一桁数値が上がります。PCのスイッチング電源がノイズをまき散らしているのです。

他のもう少しスペックの低いPCでは数値が上がることはありませんでした。

音質への影響は

肝心の音質への影響ですが、実は上記の高周波ノイズ数値と音質の相関はというと、

・・・・・・・

聞き取れませんでした。少なくとも私の耳では。

ある方法でこれらのノイズを50mV程度にしても、特に音質変化は感じられなかったのです。

それじゃダメじゃん。

もっとノイズの大きなところへ行けば音質変化に気づくかもしれません。

次回はノイズの低減方法について報告します。

AC電源のノイズメーター買ってみました -電源の品質調査に結構使えるかも-

はじめに

AC電源に含まれている高周波ノイズはオーディオの音質に影響を及ぼすことがあります。

電源の高周波ノイズはスペアナなどを使用して測定することができますが、スペアナは(私の持っているものは)非常に大きく、おいそれと動かせるものではありません。そこでもっと手軽に測定できるのがこのEMIノイズメーターです。

仕様は明らかではないのですが、なんでも10kHz-10MHzまでの帯域のノイズを表示するそうです。今回試しに買ってみたら、結構はまってしまったので簡単に紹介します。

買ったのはこれ

LHYオーディオのLine EMI Meterというもの、13000円位でした。

高周波ノイズの振幅に合わせてジーと音がします。

測定例はこちら

通常数百mV程度なのですが、ある特定の電気製品の電源を入れると跳ね上がります。1900mVというのはほぼ振り切れていいる感じでしょうか?いろいろ測定すると面白いので結構はまってしまいます。

購入したわけ(実は…)

普段AC電源周りに凝らない私が、電源環境に興味を持った理由は、実は秋葉原の展示会場での困った経験なのです。

通常の住宅地ではあまり神経質になる必要もないかもしれません。ただ秋葉原などの展示会・会場で(例えばアナログフェアを開催している損保会館で)大幅に音質が劣化して困っているのです。

なぜ(部屋の影響ではなく)電源の影響と考えるかというと、土曜は悪く、日曜になると少しだけ改善されるからです。ただ状況は結構複雑で(イベントをやるような)大部屋では問題なく、(当社が出展している)中部屋では特に悪いのです。

原因の仮説はいくつか立てていますが、そもそも対策を検討する必要があります。

今後これを使って、本当に有効な高周波ノイズ対策をしていこうかと考えています。

今後の予定

色々と調べてからまた報告したいと思います。

【オーディオバカ100】プリアンプ不要論の罠!パッシブプリで音が悪くなる本当の理由


YOUTUBEの「オーディオバカ100」の内容を要約して紹介してみたいと思います。 今回のテーマは、ズバリ**「プリアンプの存在意義に気づかないバカ」**です。

(※例によって「オーディオバカ100」というのは、高城重躬先生の「オーディオ100バカ」にあやかってつけており、特定の個人・団体をバカにするものではありませんのであしからず。)

先日、ある知人の方から「パッシブプリとプリアンプ、その考え方について深掘りしてほしい」というリクエストを頂きました。 電源や増幅回路を持たない「パッシブプリ」の方がシンプルで音が良いのか?それとも「アクティブなプリアンプ」が必要なのか? これは現代オーディオにおいて非常に良いテーマですので、詳しくお話ししてみたいと思います。

かつてプリアンプが「必須」だった理由

そもそも50年ほど前、ステレオ再生においてプリアンプには多くの「必然性のある機能」が盛り込まれていました。整理すると、主に以下の6つです。

  1. 電圧増幅:当時の主力音源であるレコード(フォノ)やチューナーの出力は電圧が低く(0.5V程度)、パワーアンプを駆動するために増幅が必要でした。特に真空管時代はゲイン(増幅率)が稼げないため、プリでしっかり増幅する必要があったのです。
  2. フォノイコライザー:音源といえばレコードでしたから、フォノイコライザー機能は必須でした。
  3. 入力切替:レコード、チューナー、テープなどの切り替えです。
  4. テープデッキ用回路:昔はエアチェック(FM録音)やレコードのダビングのために、録音出力やテープモニタースイッチが重要でした。
  5. トーンコントロール:録音状態の悪いソースも多かったため、バス・トレブルの調整機能が「絶対」についていました。
  6. 音量調整:ボリューム機能です。

現代のデジタルソース環境における変化

ところが現代、CDプレーヤーやDAC、ストリーミングが主流の時代になり、事情は変わりました。

  • 出力電圧:CDやDACは2V〜4Vもの高出力があり、電圧増幅は不要になりました。
  • フォノイコ:単体機やレコードプレーヤー内蔵が主流になり、プリに必須ではなくなりました。
  • テープ・トーンコン:テープは使われなくなり、ソースの質も向上したためトーンコントロールも省かれる傾向にあります。

こうして引き算していくと、現代に残った必要な機能は**「入力切替」「音量調整」**だけということになります。

「それならパッシブプリでいいのでは?」という理論

ここで登場するのが**「パッシブプリ」**です。 電源もアンプ回路も持たず、単に入力切替スイッチとアッテネーター(ボリューム)だけで構成された箱です。

「アンプ(増幅回路)を通さないのだから、音質劣化がなくて一番ピュアな音がするはずだ」 「理論的にこれこそ理想だ」

そう考えてパッシブプリを導入される方がいらっしゃいます。 実は弊社でもかつて、最高級のアッテネーターを使ったパッシブプリを製品化していたことがありました。

しかし、多くのお客様の反応や実体験から導き出された結論は、**「普通のプリアンプの方が音が良い」**というものでした。

パッシブプリの音質的欠点と「雑味」

パッシブプリを使うと、多くの方が共通して次のような感想を持たれます。

  • 音がギラギラする
  • 高域(特にサ行)がきつく、耳につく
  • 中高域に独特の「雑味」が乗る
  • なんとなく安物のデジタル機器を聴いた時のような刺激的な音がする

逆に、良質なアクティブ回路の入ったプリアンプを通すと、音が落ち着き、子音のきつさが取れ、さらに**「低域の押し出し」「ダイナミックさ」**が加わります。

理論的には説明が難しい部分です(強いて言えば、ボリュームを通ることで出力インピーダンスが数kΩに上がり、ノイズの影響を受けやすくなる可能性などは考えられますが)。 理屈はどうあれ、現実に聴き比べると、アンプを通した方が圧倒的に音楽としてまともな音になるのです。

パッシブプリを基準にするリスク

私が一番懸念しているのは、**「頭で考えてパッシブプリが良いと思い込み、それを基準にシステムを構築してしまうこと」**です。

パッシブプリ特有の「ギラつき」や「音の細さ」を解消しようとして、 「ケーブルを変えてみよう」 「スピーカーのセッティングを変えよう」 「DACを変えよう」 と調整していくとどうなるか。

パッシブプリの**「癖」を打ち消す方向にシステム全体を歪めて整えてしまう**ことになります。 そうなった状態で、後からまともなプリアンプを導入すると、今度は「音が大人しすぎる」「物足りない」と感じてしまい、何が正解かわからなくなってしまいます。

まとめ

オーディオは理論や数値だけでは表せない部分がたくさんあります。 「回路がない方がピュアなはず」という理屈だけで走ると、落とし穴にはまることがあります。

一時的に実験としてパッシブプリを使うのは面白いですが、それが持つ「雑味を乗せてしまう性質」や「リスク」を認識した上で扱ってください。 長く良い音で楽しむためには、やはり良質なプリアンプをシステムに入れることを強くお勧めします。


(※この内容はYouTube動画でも詳しくお話ししています。)

本内容はYouTube動画の下記内容をAIで文章化し修正したものです。

間違いだらけのスピーカーセッティング(4) 周波数補正の結果、音はどうなったか?!

前回まででREWで周波数補正フィルターを制作しました。今回はいよいよ音楽再生ソフトRoonに導入して試聴した結果を報告します。

Roonへの補正フィルター導入方法

スピーカーのアイコンをクリックして、ポップアップした画面のくねくねしたマークをクリックすると下の様な補正画面が開きます。

この中で畳み込みフィルター(Convolution Filter)を有効にしてREWで作ったインパルス応答波形を読み込ませます。(畳み込みフィルターが表示されていない場合は追加します。)

補正の有無による特性の変化

周波数補正の有無による周波数特性

補正をすると特に低域の定在波によるピークが平坦化されていることがわかります。谷は補正できません。

周波数補正の有無による累積スペクトル特性

100Hz 以下の定在波によるピークが無くなることで、秒で残る余計な音はなくなりました。

試聴した結果

補正した音は確かにすっきりするのですが、低域の迫力が無くなって寂しい音でした。定在波の悪影響が無くなったかわりに、大事なものも失ってしまったのです。

そこで一工夫

そこで周波数補正をした状態で、低域を持ち上げてみました。

Roonのパラメトリックイコライザーで100Hz以下を3,4dB持ち上げてみました。

すると失われていた低域の押し出しの気持ちよさが戻ってきました。周波数補正をしているため、低域の特定のピークが無くなったため、ブーストしても違和感がありません。

終わりに

結論として、周波数補正で定在波の影響が出ないようにしたうえで、寂しくなった分をブーストすると、低域の歯切れの悪さを感じることなく、迫力が出て総合的に良くなりました。

周波数補正もただフラットにすればいいというわけではなく、総合的な試聴上のバランスを保ちながら行うことが大事だという事がわかりました。