ROON+TidalをminiPCと組み合わせて再生してみました

はじめに

19Vのリニア電源ができたのでminiPCに組み合わせてオーディオ再生をしてみました。ちょっとしたすったもんだの末、今は安定稼働しています。その感想を簡単に紹介します。

Roonとは

Roonという再生ソフトは使用している方には簡単なのですが、まだ使用していない人には分かりづらいと思います。ネットで検索してみても、読めば読むほどわかりなくなります。

Roonとは一言でいうと(統合)再生ソフトです。再生ソフトという点では昔はやった Foobarと同じです。ただ使い勝手が全く違います。Foobarは再生条件が細かく設定できるものの、設定が面倒で、再生するソースの指定など操作が非常に不便でした。Roonは設定が非常に簡単でしかも多機能です。

例えばあるPCとDACをUSBで接続し、その再生操作を室内の(同じLAN内の)PCでから画面を共有して行うこともできます。また再生する曲のフォルダ設定も非常に簡単で、どこかのPCでTidalを開いていると、自動的にTidalの曲も再生できます。

Roonの使用概念図(間違っていたらごめんなさい)

さらに面白い動作としては一つのPCから2つのDACに同時USB出力できることです。

プリアンプ入力に2つのDACを接続しておけば、プリアンプセレクターの切り替えで2つのDACの瞬時比較試聴もできます。

再生システム

前置きが長くなりましたが、こんな構成で再生してみました。

Roon(Core)に使用しているminiPC/モニター/リニア電源19V これをSP/DAC近傍に置いて操作は机のPCで行う

corePC:miniPC

ミニPC 第 11 世代インテル Core i5 11320H 内蔵16GB DDR4 RAM+512GB SSD Windows 11, AskHand Mini PC インテル Iris Xe グラフィックス対応 をサポート二重周波数WiFi 6 / ブルートゥース 5 / 8k@60Hz マルチディスプレイ出力 超小型 PC. (i5-11320H 16G+512G) ~39000円

モニター:Akntzcs 11.6インチタッチパネルポータブルモニター、HD 1366 * 768P タッチパネルでtypeCケーブル接続のみで動作します。

DAC:DCDAC-180

USB・DAコンバーターDCDAC-180/ES9038Pro使用の最高峰DAC

当初この再生システムで音を出すと、時々プツプツとパルス製のノイズが入り悩まされました。

ある時ハット気づいたのが、使用しているDCDAC-180のUSBドライバーをインストールしていませんでした。ドライバーをインストールしてからは、ノイズが全くでなくなりました(当然ですが)。当初ドライバーをインストールしなくても音が出ていたので、ドライバーをインストールするという行為を忘れて使用していたのでした(お恥ずかしい次第です)。

お陰で、不具合が出ている間、接続に関して色々な創意工夫をすることができました。この辺は別途ご報告させていただきます。

Roonを使用してみて

Roonは使い始めると非常に便利なソフトです。通常使用しているメインPCで事務作業をしながら、DAC近くのcorePCを遠隔操作できるのが想像以上に便利です。

またこういったソフトにありがちな設定の面倒臭さもなく、ほぼ自動的にすべて設定できるのもいいところです。

音質

さて肝心の音質ですが、音質そのものがroonソフトを使用してから向上したという実感はあまりありません。このminiPCからTidalを立ち上げてTidalから直接DACにUSB接続しているときと大差はありません。少し良くなったかも?という程度です。

Roonにはサンプリング周波数を上げるという機能もありますが、これも違いがわかりませんでした。DACに使用しているES9038Proは内部で8倍位にオーバーサンプリングしているので、44.1kHzの音源も352.8kHzオーバーサンプリングしているので当然かも知れません。

更にRoonには音場補正する機能もありますが、こちらはまだ使用していません。

ただこのminiPCですが、このminiPCで再生すると音質が良いように感じます。OSとしてwin11がインストールしてありますが他のソフトはほとんど入れていないので、バックグラウンドで動くアプリもまだ少ないのだと思います。小さい筐体ながら結構早いCPU「Core i5 11320H」が入っていて、メモリも16G、SSDモデルですので元々高速というのも貢献しているのかもしれません。個人的感触としては、比較的高性能のPCで最初のうちは特に音質がいいと感じています。

例えばメインのデスクトップPC(i7-8700 CPU @ 3.20GHz、16G SSD win10)や、デルのラップトップPC Inspiron 5406(corei71165G7, 16GB、win10)に直接DACを接続してTidalを再生した場合よりも、miniPCに接続して再生したほうが中高域が濁らずきれいに再生されています。

Roonを利用した事による音質差よりもDACを接続しているPCによる音質差の方が大きい感じがします。

それと付属のスイッチング方式のDCアダプターと当社リニア式19VDCアダプターの差も期待したほどではなく、リニア式のほうが少しいいかなと言う程度でした。

今後の予定

この辺の感想は別途改めて報告したいと思います。

miniPCに関してはもう1台購入してあります。こちらはAMDのRyzenというCPUを使用しています。miniPCはどちらも4万円程度です。

ミニPC AMD Ryzen 5 5625U mini pc 16GB 512GB M.2 NVME SSD容量2TBまでサポート NiPoGi 2023新版デスクトップpc 動作より安定高速 最大4.3GHz 2.5Gbps有線LAN 小型pc ゲーミング 4K@60Hz 三画面出力 HDMI/DP/Type-C ミニパソコン 高速熱放散 2.5″SSD増設 小型省スペースpc 高速Wifi5 BT4.2 省スペースpc 省電力 豊富なインターフェース ~42000円

YouTube始めました 初回動画はオーディオ講座(第1回)「SN比って何?、基礎編」です

これまでホームページやブログで様々な情報をお伝えしてきました。より多くの情報を正確にお伝えするためにYoutube動画を始めてみました。

動画の内容は製品紹介・会社紹介などはもちろんですが、技術的な内容をオーディオ講座としてお伝えしていこうと考えています。

最初の動画は、オーディオデザインのオーディオ講座(第一回)「SN比って何?基礎編」です。

オーディオデザインのオーディオ講座

第一回SN比って何?基礎編

SN比についてどこよりも詳しく、しかもわかりやすく紹介していますので、ぜひご覧ください。

コメントもお待ちしております。

低音吸収体(BassTrap)の効果を計ってみました

はじめに

前のブログで低音吸収体(BassTrap)を作ったことを紹介しました。このブログでは低音吸収体の設置後の周波数特性と聴感上の効果についてお話しします。

設置してみました

BassTrapを設置した前後の写真は次の通りです。右側はコーナーに、左はコンクリートの梁に設置しています。

左はBassTrap設置前、右がBassTrap設置後の様子

測定してみました

さて早速周波数特性を測定してみました。マイクの位置は試聴位置(SPから2.7mの距離)で、ちょうど部屋の真ん中の距離になります。

左列が左側、右列が右側SPの周波数特性です。また上段がBassTrap設置前、下段がBassTrapを設置した後の周波数特性になります。

測定はMyspeakerというソフトを使用していますが、縦軸は最大値(40Hz 付近)で自動的に規格化されています。

LEFTRIGHT
Without
Bass Trap
With
BassTrap
BassTrap設置前後の周波数特性比較

40Hzの最大値で規格化されているので、一見すると100Hz 以下の低域レベルは変わっていないように見えます。ただ中高域のレベルはよく見ると下段のBassTrapを設置した後の方が、上昇しているように(つまり低域が下がっている)見えます。

特に左側SPでは設置後方が全体的な帯域バランスが明らかに改善されています。

重ねてみると

さらにわかりやすくするためにBassTrap設置前後のスペクトルを重ねてみました。干渉を受けていなさそうな10-20kHz のレベルでそろえてみたのが下の図です。

右CH、BassTrapp設置前後の周波数特性変化(赤が設置後)

黒線がBassTrap設置前、赤線がBassTrap設置後の特性になります。右側の図を比較すると40-100Hz付近でBassTrap設置後の方がレベルが2,3dB低下していることがわかります。

さらに下の図はLeft側の比較図になります。こちらも40-100HzあたりでBassTrap設置後の方がレベルが3dB程度低下していることがわかります。

左CH、BassTrapp設置前後の周波数特性変化(赤が設置後)

今回BassTrapを設置して100Hz 以下のレベルが3dB程度低下していることが測定から明らかになりました。ただ周波数特性全体から見ると、まだ低域のレベルががかなり高く、もう3dB程度は下げたいところです。

音質はどうか?

肝心の音質ですが、だいぶ良くなりました。以前は明らかに低音過剰だったのですが、BassTrapp設置後は低音はかなり豊かな方ですが、このままでも結構聴ける感じになりました。

BassTrapの効果はこういうこと

BassTrappを2個設置しましたが、在波効果の影響は多少緩和された程度で、解消とまでは行きませんでした。考えてみれば当然のことで、いくら効果的といえどもコーナーに2個設置した程度では、まだ吸音していない壁やコーナーの方が多いので、低域が3dB下がっただけでも効果絶大といえるでしょうか(何しろ半減しているのですから)。

終わりに

BassTrappを設置していないと、低音域がほとんど吸収されない状態で、音が出っぱなしになっていることになります。これはたとえてみるとブレーキの無いスポーツカーみたいなもので、速く走ることはできません。スピーカーも同じで適切な低音吸収があってまともな環境になるということを、きっちりと低音を出すスピーカーを導入して初めて気づきました。

今後はさらにBassTrap を増やしてまともな低音環境を作っていきたいと思っています。

低音吸収体BassTrapを作ってみました

リスニングルームの吸音について

WilsonAudioのSabrinaを導入したものの低域の定在波が物凄くなり、とても聴けるバランスではないことは前に話しました。

単に低域が出過ぎではなく定在波効果の悪影響と判断したのは、低域が多すぎる場所が周期的に表れていたからです。部屋のSP設置側の壁、それと反対側の壁、そして部屋の中央(残念ながらここが試聴位置)で低音がブーミーになっていました。

そしてその定在波の周波数は一番極端なのが35Hz あたりです。この領域の吸音体というのは、調べてみると日本ではほとんど売ってません。そもそも100Hz以下の吸音率自体測定されていないものがほとんどです。

ちなみにBassTrapとしてよく見かけるウレタンのギザギザしたものは低音域では全く効果がありません。

低音吸収体には何種類かあるようで

調べてみると100Hz以下の低音を吸音するには

1.高密度グラスウール数十cm(できれば+空気層)

2.ヘルムホルツ共鳴型

3.メンブレン型

の3種類があるようです。

作ったのはメンブレン型の低音吸収体

メンブレン型BassTrapは例えば非常に重い鉛入りゴムシートを張って、その後方に空気層を作ってばねとして働かせ、シートの直後にグラスウール(GW)で音響抵抗を負荷して制動するという原理だそうです。

GWで低域が吸音されないのはGWを音が通過するからなので、いったん膜で音を受け止めて、それを制動するというイメージでしょうか。また、制動がなければパッシブラジエーターと同じ原理だそうです。

海外では結構売っています。例えばこんな感じです。

https://perfectacoustic.co.uk/product/bass-absorber/

性能も、100Hz 以下で吸収率1と驚異的です。作るのは大変なので輸入しようかと思いましたが、輸送代が相当高くなるので諦めました。

設計するにはこんなサイトが参考になります。

吸音体の原理を説明しているサイト

メンブレン型吸音体のシミュレーションサイト

メンブレンシート1枚張り(青)と2枚張り(緑)のシミュレーション結果例

実際に作ったのはこんな感じのもの

短辺67cm長辺1mの3角コーナー型BassTrap

ゴムシートは面密度4.2kg/m2という非常に重たいゴムシート2.8mm厚です。持ってみるとずっしりと想像より重いです。何しろ1m2で4kgというのは一昔前の重めのラップトッより重いくらいで、それがぶる下がっているというようなものですから。

メンブレンの重量ゴムシートと布地を張ったところ

音響抵抗としてGWを挿入

3.2kg/m3 5㎝厚を2枚

部屋のコーナー(右)と梁の部分の隅(左)においてみる

DSC_1402

スピーカーの後ろの隅に置いてみたのがこちらです。さて、どんな結果になったでしょうか?

長くなったので結果の続きは次回に

Wilson Audio Sabrina を導入しました

WIison Audioを聴いてみて

最近Wilson Audio のSASHAという機種を聴く機会がありました。聴いた感想ですが低域が分厚くしかも低温でも音階を正確に刻むという、これまで他のSPでは聞いたことが無い音質でした。その結果オーケストラではごく普通の曲でも、聴き惚れていられるくらい良かったのです。最も聴いた場所は部屋に音響処理がされていて、普通の部屋で聞くよりももずっとよく聞こえるのですが、それを差っ引いても魅力的な音でした。高域もぎらぎらとせず、しっかりと細かいニュアンスまで再現され全体の帯域バランスも素晴らしいものでした。

聴いたのはこの機種
WilsonAudioのミドルレンジに位置するSASHAというモデルは3wayで、ツイーターが昔の逆チタンドームからソフトドームに変わっています。ウーハーは20cm2本でコーン紙はパルプの普通な感じで、ぱっと見現代風ではない感じです。Wilson Audio はウーハーが同口径のB&W802と比較しても値段が倍ぐらいする高級機で、価格的には車でいうとB&Wの5シリーズ、ベンツのEシリーズといったところでしょうか。

導入したのはSabrina

その後いろいろ検討したのですが、結果として一つ下のモデルSabrinaを導入しました。聴いたSASHAはウーハー2本で高域が別箱の構成ですが、Sabrinaは20cmウーハーが一本で、一体型キャビネットになります。現行モデルはSabrina Xですが、導入したのはひとつ前のただのSabrinaというモデルになります。

困ったのは国内でこの辺のモデルに関する試聴記事がほとんどないことで、最終的には海外のレビューを参考にして導入を決めました。

ほんとうは実際に聴いたSASHAを導入できればよかったのですが、買えたとしても重量が100kg位あります。当社には男手は一人しかなく展示会に持っていくのは不可能です。当社の場合個人で楽しむという観点から機種を選択するのではなく、展示会でどう活かすかということも考慮しなければいけません。その点Sabrinaは42kgで、しかも段ボール梱包、何とか一人でも運べますので展示会でも活用できそうです。

導入したSabrinaの音

そして今回Sabrinaを導入した第一印象ですが、ちょっと問題がありました。最近事務所のレイアウトを変えたせいで、かなり定在波の影響を受ける配置になっていました。B&’W804D3ではそれほどでもなかったのですが、Sabrinaでは低域が出過ぎてとても聴ける状態ではありませんでした。40Hzあたりがボワンボワンと盛大になって、中高域にかぶります。804D3ではそのような現象はなく、むしろ中高域がうるさいくらいで反対ですので、これはSPのせいか・・・導入は失敗だったのか・・・。

Wilson Audio のSabrinaを設置したところ

特性を計ってみると

そして試しに周波数特性を計ってみると驚きの結果となりました。

試聴位置2.7mのところで計測すると聞いた通りで、低音域が古墳の様に盛り上がりまくりです。40Hzでは12dB(16倍の音量)位上昇しておりこれでは聴ける音ではないのも納得です。「これ低音出過ぎじゃね」と思いながらも試しにSP近傍で測定してみました。

試聴位置SPから2.7mでの周波数特性

これがもう再度びっくりで、ほぼ完全にフラット、これほど平坦な周波数特性は見たことがないくらいです(普通の部屋で測定したには)。要するにSabrinaが悪かったのではなく、部屋の特性(特に定在波効果)がひどかっただけなのです。

0.5mでの周波数特性

この定在波による悪影響を除くには50Hz 近辺を吸収するしかありません。ところが市販の吸音体はこの辺の周波数に効くものがありません。以前にギザギザしたコーナー用ウレタン吸音体を試したことがありますが、低音には(というか全体域で)全く効果がありませんでした。

いろいろ調べてみると海外には100Hz以下を吸音する吸音体が市販されている様ですが、日本には発送できない様です(大きいので)。仕方がないので作ることにしました。この効果やいかに。長くなりましたので結果は次回にお話ししたいと思います。

こんなことをしていてラズパイミュージックサーバーの方が若干遅れていましたが、もうほとんど仕様も固まっていますのでもうすぐ、出ます(お蕎麦屋?)。