B&W 804D3を導入しました それでどうなの?

DynaudioのC4を手放して、B&Wの804D3を導入しました。大きさ的にずいぶんと小さくなりましたが、それが目的ですので・・・。C4の音は良かったのですが、自分で鑑賞するにはいいものの、展示会に持っていくとなるとえらいことになるということと、出た音がアンプのせいかSPのせいか聴いている人に良くわからないということで手放したのでした。

あたらしく導入するSPは、一人で持てる(30kGくらいまで)で、皆さんが(一番)良く知っているSPということになります。となると自動的にこれになります。アンプ製作のレファレンスSPという観点からは役不足と思う方もいらっしゃるかもしれませんが(私はそうは考えていませんが)、置く場所も限られれていますので・・・。

聴いてみた感想

まだ新品で鳴らし始めたばかりなので断定はできないのですが、現時点でのおよその感想を綴ってみます。

D3シリーズは出版社の試聴室や他の方のオーディオルームで800D3、802D3などを聞く機会は結構ありました。そこに設置されているアンプ類と弊社のアンプを入れ替えて試聴しますので、大体の傾向は把握しているつもりでした。その際はこのシリーズは(以前もそうですが)優等生的で癖のない音と感じでいました。ただ(小型ながら)このシリーズを事務所で聞いてみると結構印象が異なります。

804D3の中高域

このSP、一見癖が無いように見えて中高域に結構色付けしているなーと感じます。高域がほんの少しですがエッジを効かせてコントラストを強くしているような感じです。大きいSP(800,802)の時はあまり感じなかったのですがこのクラスだと低域の主張がないので、余計にそう感じられます。弦楽器の音がはっきりしていて、非常に乾いたような、粒立ち感の強い音です。ただ嫌味な感じではなく、あ、いいかもというところでとどまっているので非常に良い表現力とも言えます。写真でいえば、コントラストをフォトショップで嫌味の無い程度に強調して、きれいな写真に仕上がっているという感じです。時々聞きなれた楽曲でもハッとするほど(ちょっと色付けされてはいますが)リアル感があって、これは!と思う時があります。それと高域が解像度があるにもかかわらず、重みの様なものも感じられてハイハット?がチンチンではなくジンジンという感じで厚みのある点も美点です。高域の繊細さだけでいえばPL-200のハイルドライバーの方が上だと思いますが、PL-200の高域はいかにも薄い膜が振動しているという感じが否めないのです。

低域

低域は非常に過度特性が良く、たるみとかゆるみというものが全くありません。C4では低域は小気味よくスポンスポン出ていて、それが気持ち良かったのですが、こちらの低域は出ているんだけど、過度特性が良すぎて、まるで出ていないように感じる低域です。これはこれで気持ちいいのですが、いかんせん現時点では量と超低域への伸びが足りていません。聴感上40Hzでスパっと切れているような感じです。PL-200の方は低域の伸びは同程度でも、バスレフを結構効かせてパンチを入れているのでバランスが取れているのですが、こちらの804は低域が単になくなっちゃったという感じです。カタログスペックでは24Hz まで+-3dBといっていますが、ちょっとそれはどうかと思います。バスレフポートを2本にして、もっと低域の量感を増した方が良かったのではと思います。こちらの試聴スペースは18畳くらいのスペースですが、6-12畳程度の部屋なら丁度良いかもしれません。しばらくはツイーターのレベルを1-2dB落として使用してみようかと考えています。

フレーム

こちらではSPをちょくちょく移動する必要があるので、現時点ではスパイクを使用していません。付属スパイクにゴム状のものがあったのでとりあえずこれを使用しています。底面積が小さく足の取り付け部が内側にあるので現状非常に不安定です。PL-200は立派なフレームが付いているので安定しているのですが、804D3はフラフラです。150万円という価格を考えると、フレームが無いのはどうかと思います。そのうちに自分でフレームを作ろうかと思います。

最後に

難癖は付けましたが、最初からこの音というのは立派で、人気があるのもわかります。

展示会には(いつになるかわかりませんが)こちらを使用する予定ですので、その時に聴いていただければと思います。

その後の感想(2/6/21追記)

以上の話は導入直後の感想でした。その後強制的なエージングを行ったら印象が変わりましたので報告します。

エージングの方法

B&Wのスピーカーはこれが3台目です。エージングは普通に音楽を聴いているだけでは非常に時間がかかるので(10年かかることもある)、強制的にエージングしました。とはいえ大音量で行うと苦情が来るといけないので、ツイーターのエージングが肝心と狙いを定めて高域だけ頂戴音量にしました。スピーカー端子のHIGHだけつないでもいいのですが、それも面倒なので再生ソフトのAudirvanaのパラメトリックイコライザを使用して3kHz以上だけ再生して、通常の大音量試聴のさらに2-4倍の音量で音楽を1日かけ続けました。また高域の音量を下げるためにSPにクッションを被せておきました。

エージング後の感想

昼間1日ループで再生しておいてから普通に試聴状態に戻しました。するとだいぶ印象が変わりました。このスピーカーの固有音というか独特の硬質な癖が消えて、良いところだけが残った様に聞こえます。同時に高域の癖が取れたせいか、低域の量感も豊かに聴こえます。

このSPの高域はきちんと正確になる上に、楽器の鳴り物の厚みまで再現するような素晴らしさがあります。普通はチンチンと聞こえる音がジンジンと鳴っている真鍮の厚さがわかるような鳴り方です。繊細さ、強さ、清涼感といったものが両立(三立?)していて、これまでのドームスピーカーとは次元の違いを見せつけます。ダイヤモンドというのは伊達ではないかもしれません。ダイヤモンドといってもどうせなんちゃってダイヤと思っていましたが、調べてみるとCVDダイヤというのは共有結合のカーボンで天然ダイヤと同じ性質でした。ただ成膜速度が遅いので宝石などには向かない製法というだけでした。

ダイヤのツイーターとしては他にライド―の数百万円のスピーカーを聴かせてもらったことがありますが、こちらの音も高次元の音で類似していたかもしれません。

ということで、804D3は音質的には素晴らしいといえそうです。ただこの値段はそれでも高価ですし、台座が付属していないという欠点はありますが・・・。

また、状況・感想が変わりましたら報告させていただきます。

再度その後の感想 

フレームとして12mm厚アルミ板を底に固定してスパイクを設置したら見違えりました(3/29/21)

その後アルミ板をボルトで底に固定してスパイクで設置したところ、音が激変しました。低域が豊かになりその結果、高域の強い癖”あくが”目立たなくなった気がします。低域不足で迫力がなかったのが、それが全く気にならなくなり、鳴りっぷりも立派なものになりました。はきはきとした傾向はありますが、それはいい意味での癖となり、立派なバランス・音質になりました。今では低音の量感はむしろ十分すぎます。

ただ30Hz近辺の最低域が出ているかというと、そんなことはな

く、この辺を求めるには大型の機種が必要でしょう。

コメントを残す