コロナ感染者数の対数グラフは語る   -爆発的増加ではなく、一定の倍率で増減してるだけ-

オーディオには関係ないのですが、最近気になることがあるので書いてみました。

コロナの感染者数が増えています。ニュースなどでは爆発的に増加しているので云々と連日報道されています。増えているのは間違いないのですが、ただ爆発的かというとそうではないと思うのです。

下のグラフは厚労省が発表している日本のコロナ感染者数の推移です。通常と異なるところは縦軸を対数スケールにしていることです。対数を取るということは何倍になっているかというスケールで示していることを意味します。また対数を取るという作業は工学では極めて一般的な手法です。

グラフは散布図でプロットし、近似線は指数関数です。第一波の場合1日で1.076倍(=e0.0733)に増えています。これは1週間で1.67倍、1か月で9倍に相当します。ちなみに現在の第3波では1日当たり1.039倍(=e0.0265)、1週間で1.3倍、1か月で3.1倍に増えています。緊急事態宣言などの事象は適当に過去の記事から拾って追加していますので、多少の間違いがあるかもしれません。
    (グラフは自由に(勝手に)引用していただいて構いません。)

グラフ化してみると明確なのですが、結果として対数を取ると感染者数の推移が増加の場合も減少の場合も直線になっているということです。これは感染者数の推移が常に一定の倍率で増減しているということを意味しています。

直線で表現されるということは、つまり今後の予想も簡単にできるということです。年末年始に特に増えたという報道がされていますが、そうでもないのです。直線より少し上に来ている部分もあるのでそういう要素も全くないわけではないのですが、全体から見れば一定の割合で増えているだけです。

また第1波と第2波の増加率(傾き)はほぼ同じなのに対して、第3波の傾きは半減しています。つまり増加率は半分なのです。絶対数が多いのでリニアのグラフでは爆発的という感じに見えますが、実際には従来の半分のスピードです。複利で増加するので急激に見えますが、あくまで一定の倍率で増加ということです。

第3波の傾きが半減している理由ですが、実際にコロナの感染スピードが落ちることはないので、おそらく全国に分散して時間的に離散的に発生しているので見かけ上傾きが半減しているだけだと思います。

さらに、感染者数が減少している期間がありましたので、この期間をもう少し長くすればもっと下のところ(例えば一桁下)で推移させることもできました。一言でいうと減少している抑制期間が短すぎるために増加を抑制できていないのです。対数グラフで見れば、抑制の期間と減少幅も明らかなので、是非この手法を活用してほしいと思います。

医療の専門家も意外と工学的な処理に疎いのかもしれません。こういった対数グラフを使えば今後の予想も、傾向の分析ももっと的確にできますし、対策の説得力も出てくると思います。報道なども単に煽るのではなく、工学的にまともな報道をして欲しいと感じでいます。

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