最近のオーディオアンプのカタログをご覧になった方なら、「電流増幅アンプなので周波数特性に優れています・・・」という文言を目にした事があるかと思います。確かにその通りなのですが、その優れているはずの周波数特性もカタログを見ると、せいぜい200~300KHzどまりで、弊社の電圧増幅アンプのわずか数十分の1でしかありません。オーディオ用のアンプは音質を競うもので、周波数特性が良ければいいというものではないかもしれませんが、この事実は以下の様な意味があると思うのです。
・オーディオアンプメーカーに電流増幅アンプのよさを引き出した製品をつくる技術力が本当にあるのか疑問に思える。
・電流増幅アンプ・・云々というのはただの宣伝文句で、実際には性能は良くないことからして、他の部分の技術(音質)優位性に関しても本当かどうかはなはだうかがわしい。
・カタログにうたっているこの様な矛盾を指摘する(できる)人はオーディオ業界にほとんどいない。
もともと電流増幅アンプはOPアンプを特に高ゲインで動作させた時に高域の特性がゲインと反比例して落ちるのを抑制するのに絶大な威力を発揮したのですが、通常のプリアンプなどではゲインはせいぜい20dB程度ですから高域特性がたいして犠牲になっている状況ではないのです。イコライザアンプの様に比較的ゲインの大きいアンプでは有効かもしれませんが、フラットアンプで採用しなければいけない必然性はありません。
オーディオ製品にはこういった能書きだけで実は良くないという事項がたくさんあります。メーカーの能書きにだまされないように、使用者側のレベルももっと向上しなくてはいけないのではないかと思うのです。
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