デモ機はどこへ行った -ほんとうにあった怖い話-

弊社の営業形態は主にインターネットを通じた通信販売が中心です。
アンプ類の音質を確認したいという方にはデモ機の貸し出しという方法を取っています。

「お店に置いてないのか?」というお問い合わせもよく頂くのですが、お店を経由するとなるとお店のマージンもありますのでもう少し(というかかなり)価格を上げなくてはいけませんし、またそうなるとお店用のデモ機も何台も用意しなくてはいけません。こうなると現在の規模では結局お客様にとっても、弊社にとってもデメリットの方が多いので、基本的にアンプは直販という形をとっています。

さて、デモ機の貸し出しに戻りますが、最初は無償でやっていました(返送料のみの負担)。この頃は酷かったです。毎週立て続けにデモ機貸し出しの申し込みがあり、ほとんど間髪おかずに貸し出しをしていましたが、期限内に返ってこなかったり、天板が傷でギコギコになっていたり、何かの実験に使う人、はたまた分解する人まで出てきて・・・。そもそも無料とするとさして興味のない人も土日の暇つぶしに借りに来るので割に合いませんでした。
有償にしてから、申し込みも減りましたが、そもそも買う気のない方は申し込みされないのでまっとうな貸し出しになりました。

<返って来~いよ編>
そうはいっても、なかにはすごい事になったこともあります。今回は強烈な事件を紹介します。

ある日デモ機の申し込みの電話がありました。プリとパワーの両方です。何でも大型テレビにつなぐそうです。テレビにつないで悪いという事はありませんが、どちらかというとAV志向の方が弊社のアンプに興味を示されるのは珍しいのです。ほとんどはピュアオーディオの方なのですが。メールは使用しない(できない)という事なのでFAXでデモ機貸し出しの案内を差し上げました。直ぐに貸出料金を振り込まれてこられたので、プリアンプとパワーアンプをお送りしました。

ところが、返却期限を過ぎてもデモ機が返ってきません。連絡を取ろうとしてみましたが、電話をしてみましたが「電話が接続されていません」とのメッセージが。こうなると連絡のしようがありません。地元の警察にも相談し、内容証明でデモ機を返却するように文書を送付しました。この内容証明についても受取人不在とのことで、返送されてきました。
 
こうなるともうどうにもなりません。再度警察に相談したところ、現地に行って状況を確認して下さいとのこと(警察官の方は公務員様なのでなるべく自分では動かない様にもっていくのです)。また不在の場合、現地のアパートの管理会社に連絡して状況を確認した方が良いとのアドバイスもいただきました。早速現地へ行ってみた所、一応住居は実在したものの、もちろん不在、そもそも住んでいる気配がありません。(たまたま近県だから良かったようなものの、遠いところだったらどうすんだ)。隣の人に話を聞いたところ(こうなるともう刑事気分)、もともと時々しか帰って来ないがここのところ見ていないとのこと。

<返って来たよ編>
 ありゃりゃと思って住宅の管理会社に連絡してみた所、なんとその方”今、警察におつかまりになっていらっしゃる”とのことでした。なんでも同様の電話がその管理会社にひっきりなしにかかってきてうんざりしているとも言われました(そんな事いわれてもね~、こちらも被害者なんだから)。その逮捕されている警察というのは同県の少し離れたところにある警察でした。なんでもその方ゴルフ練習場の試打クラブなどを偽名で借りては転売する様な事をさんざん繰り返して、ついに”窃盗罪”の容疑で御用になられたとのことでした。
 警察の方がご本人に確認したところ、デモ機は確かに住居にあるとのことでした。本人は配送時にすでに逮捕されていたのですが、知り合いの人が変わりに受領していたとの事。こちらの製品と言えども、本人の了解なしに取り返せないそうで、警察の方から本人にデモ機を返送してよいかどうか確認していもらい(この確認だけで数日かかった)、最終的にその知り合いの方が弊社まで返送してくれました。文章にすると数行ですが、デモ機が返ってくるまでに結局1ヶ月かかりました。そもそもこの方が何の目的でデモ機を借りたのか、今でもよくわかりません。オーディオに特に興味がある風でもなく、かといって弊社の製品は転売しやすいものでもありません。

こういう例は特別でめったにある事ではないと思いますが、この事件の印象は強烈でした。100回に1回の話かもしれません。ただ機器貸し出しのルールは最悪の場合を想定して作らなければならないと思います。ほとんどの良識ある皆さんは迷惑になってしまうのですが、申し込みフォームに諸情報を記入いただいて、それ以外の貸し出し要望(例えば電話による申し込み)はお断りする事にしました。
将来的に常設の試聴室、ショールームなどを用意したいとは思っていますが、それまではご辛抱をお願いいたします。

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