オーディオ養生所 -JBL43xxを聴き易くしたい-

3番目のケースはもう少し一般的なケースです。

ケース3:「JBL4343を使用しているが音がきついので柔らかくしたいのだが、お宅のアンプはそういう効果はないか?」。

-うちのアンプは逆効果です-

こういったお問い合わせも結構な頻度でいただくのです。まず最初に弊社のアンプはどちらかというと解像度が高く、音ががんがん前に出てくる傾向があります(他のアンプと比較してですが)。パッシブプリもその方向で、決してきつい音、硬い音ではないのですが、音が柔らかくなるわけでもありません。強引にそういう方向(柔らかくする方向)にするなら、トランスを入れるとか、真空管アンプあたりを当たってみるしかないと思います。というわけでこういったお問い合わせをいただいた際は「うちのアンプは逆効果です」とお断りしています。

-レコードとCDでは出てくる音が結構違います-
注意していただきたいのはレコードとCDでは出てくる音の傾向が異なり、極端にいうと逆になります。レコードを再生すると自然と音に厚みがあり、重心が低音域にあって自然と心地よい音になります。アンプにしてもスピーカーにしても高性能・高解像度にすればするほど音は良くなります。こういった場合は弊社のアンプは何もしなくても威力を発揮します。
CDの場合は一般にどちらかというと中高音が目立ってしまうことが多いのです。私の場合レコードはほとんど聴きませんが、プリアンプのイコライザアンプのチェック時に実際にレコードかけるのですが、そのたびにレコードの方が音質そのものは数段上だなあーと思ってしまいます。CDの場合はセッティングにコツがあるのです。

-レコード時代のオーディオ製品を使用する際は注意しましょう-
(その1:SP編)

JBL4343はまさにレコードの時代のスピーカーです。レコードを聴く分には丁度よくても(というよりだからこそ)、これでCDを聞いたら中高音がきつくてどうにもならなくなっても当たり前です。昔聞いた4343の音がよかったからといって、何十年も前のスピーカーで(仮に初期の性能を維持していたとしても)、今CDを聞いたらどうにもならないことがあっても不思議ではありません。JBLの今のSPはホーン型という形式こそ同じでも、その素材はダンプされたものに変わってますし、全体の音質もCDにあわせて聞きやすくなっていると思います。スピーカー全体の傾向もホーン型やハード系のツイーターよりも、シルク系のソフトドーム型が増えているのも、ソースがCDになったからだと思います。

(その2:アンプ編)
アンプの方はどうかというと、これも実は内容的には音がソフトになるように若干味付けは変わっていると思います。たとえば抵抗は、昔の高級機ではは解像度が高い金属皮膜抵抗を使用していましたが、今はオーディオ用のカーボン抵抗を使用することが多いと思います。電解コンデンサも今は”シルミック”の様に電解コンデンサにシルクをわざわざダンプ剤として入れて音を落ち着かせるものが、高級機では多く使用されています。
ただ昔のアンプは20-30年も経つと音がだんだんと精細さを欠いて、情報量が落ちた(つまらない音)に変化していく傾向があるので、結果的にCDを聞くと丁度良かったりする事はあると思いますが・・・・。
(その3:組み合わせ編)
ですので大昔のSPと大昔のアンプで組み合わせた場合、SPだけ古いよりはひょっとしたらバランス的にまとまるかもしれません。ただこの状態で新しいアンプと入れ替えると、どれを試しても「今のアンプの音質は良くない」ということになってしまうと思います。こうなるともう悲劇でどんどん極端に狭い楽しみしかできなくなっていってしまうと思います。

-今の機器でCDを心地よく聞くコツ-

CD時代にバランスの取れた音質にするコツはまずスピーカーの低音域がたっぷりと出る設定にすることです。小型のスピーカーを壁、床から中途半端に離して置く設定が最悪で(こういうセッティングは実は多い)、もうどうにもなりません。CDは中高音がきついので、それ負けないくらいの低音をどーんと出してあげないと帯域のバランスが取れないのです。

今回、ちょっと話があちこちに飛びましたが、レコードとCDでは実際の音の聞こえ方が結構違う事、したがってその時代の機器の音も結構傾向が違う事、アンプの音質も劣化すること、CDは普通に聞くと結構聞けない音になってしまうことなどを知っておくと機器選定にも少し役立つのではないでしょうか?

なまじ昔の高級SPを安く購入して、それにアンプ類を合わせていくと、結局高くついて、しかもにっちもさっちも行かなくなってしまったという人が多いように思えるのは気のせいでしょうか?

<追伸>JBLの43XXと書きましたが、4338の様な現代(CDの時代)に設計されたSPであれば上記の様な事はなく、弊社アンプともよく合う事は言うまでもありません。

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