オーディオ製品の組み合わせのコツ

オーディオ製品の組み合わせによって同じ製品でもまったく違う聴こえ方・評価になる事があると思う。特にCDの時代になってその組み合わせの影響が顕著になってきたように思う。
ここではどういう組み合わせが良いのか、弊社のアンプの活かし方の説明の意味も含めて述べてみたい。

一部は他のところで述べており重複しているところがあるかもしれないが、その辺は大目に見て欲しい。
現代オーディオの組み合わせのコツはこういうことではないだろうか。

CDの再生を中心とした場合、高性能・高解像度一辺倒はだめ、どこかにワンクッション入れる事。

信号ソースがアナログレコードとかFMチューナーだったら問題ないのだけれど、CDを主に聞かれる場合(ほとんどの人がそうだと思うが)、CDの癖があるがためにそれをまともに高性能機器で再生するとぼろが出すぎて最終的な音が良くならないことも多いという事。

何じゃそりゃと思うでしょうが・・・

一般にCD(CDP)の音はバランスが悪い
CDプレーヤー(CDP)の音質は良くできたアナログレコード等に比べると帯域バランスがまったく異なる。例えば同じシステムでアナログレコードを聴くと低音域がどっしりしていて、高音もきれいな音、全体的にピラミッド型のバランスというのでしょうか、厚みのある心地よい音になります。ところが同じシステムでCDを再生すると(当然CDPを使用するのだが)、CDPにも依存するのですが高音域は少しキンキンして、低音も物足りない、高解像といえば聞こえがいいが全体の帯域バランスも悪く薄っぺらでちょっと不快な音になりやすい。

どちらのせいかと言うとレコードに特徴があって音が良くなっているのではなく、CDPの完成度(あるいはCD方式ののフォーマットのせいも含めて)が足りないと思っている。なぜそんな事がいえるのかというとFMチューナーの音質もレコードと同じ様なバランスでCDだけが特異なバランスだからである。FMといってもNHKの事で、民放FMの音質は悪い。不思議なのはNHKのFMから聴こえるCDの音はこちらで所有しているCDPからの音よりも良く聴こえるものが多い。放送局で使用しているCDPの性能がよっぽどいいのかもしれない。

CDPの性能と音質差について
CDPはスペック上の性能はものすごく良くて、音質に与える影響は比較的少ないと思っている人もいるようですが、結構全体の音質に影響を与えている場合が多いと思う。ややこしいのが高額(一般に高評価)のものが必ずしも良い音質とはいえないことだ。同じメーカーのものでも高額のものになるとかえって良さがなくなっているんじゃないかと思えるメーカーもあるし、音質上ある特定の癖があるメーカーもある。私もCDPだけで5台持っていた。最も高額なのが定価50万円(ほぼその値段で新品で購入した)だが、これは音質が悪いのでほとんど使用してない。弊社のアンプを検討しているお客様で、「高音がきつい」といってくる人がいるのだが、決まってある国産メーカーのCDPを所有している。そういう場合は弊社アンプに入れ替えても効果は無いので(むしろその癖がよりはっきりしてしまう)、CDPの変更あるいはDACの追加の検討をお薦めする事がよくあるのである。
CDPによって(スペック上はそんなに差はないのに)音質が変わるのか、あるいは高額のCDPがなぜ逆に音質が悪くなったりする場合があるのかについては、電子工学的にそうなってしまう理由もあり、原因のいくつかはわかっているつもりだが、重要なノウハウなので、現時点で詳しく解説はしない。調べてみると基本的な性能が結構悪いとだけ言っておこう。

音質の悪い(特定の癖のある)CDPを使用してオーディオ再生装置を組み合わせていくと(本人はそうは思っていないのだが)、ドツボにはまると思うので、まずこの辺から気をつけた方がよいのである。

オーディオ装置で意識/無意識に行われている対策
上記CDPの音質の傾向を踏まえて、現状オーディオ装置の組み合わせで行われているのは、本人はそうとは気づかず結果的にそうなっている場合も多いと思うが、どれか一つに高域阻止フィルター(あるいはローパスフィルター)を入れることだ。CDの出始めのころ、ほとんどすべてのCDPの音質が硬いとか厚みがないと言われ、出力にトランスを入れる事等がはやったがそれである。今では比較となるレコードがすたれたので、そもそもそういう事を言う人が少なくなったがこの傾向は今でも同じだと思う。トランスを入れると音質が良くなる事は知られていたが、理由としてアースが分離されるからという人もいたが、なぜ特性が悪くなるはずのトランスを入れてよくなるかは明確な説明は見た事がなかった。私の勝手な想像では高域の阻止効果もあると思う。(この辺の事情は弊社がDACを出したあたりで解説したい・・・・いつかはわからないが)

私はそんなものは入れていないというかもしれないが以下の事項は同じ効果がある。

・トランス式のパッシブプリを使用する
・ソフトドーム系のSPシステムを使用する
さらに
・デジタル式のパワーアンプを使用する(最後にフィルターが入っているので)
・パワーアンプの出力トランジスタをやたらと並列接続にする(特に大出力時の高域は落ちるので)
・無帰還アンプを使用する(もともと高域の帯域はやっとなので)
・プリアンプの代わりにミキサーを使う(反転アンプを使用するので帯域が狭い)

だんだん雰囲気が出てきたでしょ。結構いるでしょこういう組み合わせ方をしている人。もちろん前に述べた理由だけが原因ではないし、それだけの議論は乱暴といえば乱暴だが。結果的に音が良くなればいいので、結果よければそれで良しといえない事もないが。ただ原因くらいわからないともうそこでおしまいとなる。

ここまで極端でなくても再生系のどこかにわざとというか(無意識に入れている場合もあるが)帯域を制限するものを使用するというのは結構重要な事項だと思っている。

ある人はスピーカーでやる。ディナウディオのSPなんてそうだと思う。不要な20KHz以上は聴感上悪影響を与えるのでスピーカを工夫してカットしていますと、わざわざカタログにも書いてあるくらいだ。

ある人はアンプをとっかえひっかえしてよい組み合わせを探る。何でも弊社のプリアンプと某国産パワーアンプを組み合わせると非常にいい音がするという事をいう人もいるのだが、私から見ると「ハハーンこの事だな」と思ってしまう。
弊社のアンプは広帯域なのでうるさいCDPとうるさいSP(例えば昔のB&Wとか)を組み合わせたら、それだけだと最悪の組み合わせになってしまうこともありうる。どこか一つ音を柔らかくするところをいれておくと非常に良くなるはずである。
ならば最初から帯域の狭いアンプにすればいいではないかと思うかもしれないが、可聴帯域ぎりぎりのアンプは何か音が詰まった様に聞こえてやっぱりよくないのである。

全体のバランス的にはどこか一つ狭帯域のものを入れるか、完璧なCDPを使用することが重要な気がする。

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