いきなり変なタイトルで、何のことかと思われるかも知れませんが、実はトランジスタといえば「これ」という物が廃盤になりました(アナウンスされたのは昨年くらいで今年いっぱいの受注と思います)。
それはこれ
2SC1815
小信号用のNPN型といえばこれで、とりあえずトランジスタが必要なときはこれを使うのが常識でした。特性も素晴らしく、例えばHfeのリニアリティーも理想的で,耐圧や電流に問題がなければこれを使うのが当たり前でした。
東芝製ですが、代替品として指定されているのが表面実装のトランジスタですから、そもそも代替できません。
考えてみれば今の家電製品はすべて表面実装ですから、今時儲からない商品を作る余裕など無いでしょうから、しょうがないのかも知れませんが、それでもこれ、これまで使ってきたというか、電子回路を作ってきた人にはかなりの衝撃でしょう。どのくらいかというと
・居酒屋にいって生ビールを頼んだらビールは有りませんと言われた
・自販機にコーラがなくなった
・スターバックスに入ったらコーヒーは無いといわれた
と言った感じでしょうか(あくまでも例えの話ですよ)。
廃品種はこれだけでなく、挿入型のモールド品全般というかなりの規模に渡っています。他のトランジスタ品種とか3端子レギュレーターとかも表面実装以外のかなりの品種が廃盤になっています。まあメーカーの方で時代に沿った新しい型の品種をガンガン出しているわけですから、その一方でガンガンなくなるものもあるのが当然ですけどね、理屈としては・・・。
2sc1815は袋で買うと1個3円位でほとんどただみたいなものです。
ただこれを実装するとなると1個あたり数十円かかるので実装費用の方がはるかに高いのです(手動実装の場合)。そもそも挿入部品は量産品には向かないのでなくなるのが宿命なのでしょう。
オーディオ製品にとってはこの辺に良いニュースはほとんどありません。
逆に表面実装の部品が安価で種類も増えているので、これらを上手に使っていくことになるのでしょうね。
表面実装だと試作や回路の変更が大変なので、製品の性能といういみでは質は今後落ちて行くんじゃないかなーと思います(一般論として)。
大袈裟と思われるかも知れませんが、私としてはそのくらいインパクトがあったのです。
自作する人にとっては環境は最悪だと思います。今秋葉原にいっても汎用品の一部しか手に入りませんから。
ネットが発達して便利になった反面、普通の店がなくなって不便になってきています。
確かに表面実装は試作だけでなく、自作にも向いていないですね。
そのうち増えると思いますが、表面実装の部品は取り扱いが少ないですね。1リール単位で仕入れなければいけないのでお店としては在庫を持ちにくいのだと思います。
表面実装時代になっていいことといえば(あまりないのですが)、
タンタルコンデンサが安くなったことくらいでしょうか(タンタルの使用量が少ないので)。
表面実装も慣れればやりやすい面もあると思いますので、自作環境も含めて移行して行って欲しいと思います。
始めて投稿いたします。
今迄、アナログ回路を自作していた立場で申し上げますと、
表面実装部品だけの環境は、正直なところ悲しい状況です。
実際、パーツショップ購入できた部品が入手困難となっており、
部品を扱う店舗が減った事実は、寂しいものです。
時代の流れと言えばそれまでですが、
技術の進歩で回路設計方法もディスクリート回路試験から、
シュミレーションソフトを使った擬似試験へ移行して、
製作コストを抑える様にしている事実とか、
回路パターンも、
E-CADによる自動作成となっている実情を加味すると、
製品に対するメーカーのこだわり、アイデンティティーが薄れ、
技術進歩に名を借りた、見せかけ、見掛け倒しの工業製品が増えてしまっていることは事実でしょう。
併せて、回路をアマチュアの手で部品調達して、
トレースする面白みが薄れてきている点も事実だと考えます。
飛躍して考えると、自作する方は、半導体固体素子の回路設計からレトロ志向(嗜好)の真空管回路設計へ
移行しないと回路が組めない極端な事態が起こっていることも実感しています。
30年以上にわたって愛用されてきた製品ですね。
残念です。