ヘッドホンの装着時の周波数特性を計ってみました

以前コラムでにヘッドホンを頭に装着した状態での周波数特性を紹介しました。その方法は実際にヘッドホンを頭に装着した状態で各周波数の音を聞きながらアッテネータで音量を調節して一定音量に聴こえる様に調節し、アッテネーターの減衰値から周波数特性を逆算するというもので、聴感上正確である反面、測定の手間が大変でした。

ネットを見ていたら、もっと手軽に周波数特性を測定出来る、バイノーラル録音用のイヤホンマイクでヘッドホンのしている例があったので、今回これを試してみました。使用するのはこのバイノーラルマイクです。
ローランドのバイノーラル・イヤホンマイク CS-10EM
カナル型のイヤホンの上にマイクがついています。
仕様の説明ではプラグインパワー式マイクのためパソコンでは使用出来ませんとのことでしたが、実際にはRCHのみパソコンでもマイクが使用できました。

今回測定に使用したパソコンはモバイルのラップトップPCで内蔵のサウンド機能を使用しました。ヘッドホンアンプやサウンドカードは使用していません。

測定にはフリーソフトの音源(WaveGene)とスペアナソフト(Wavespectra)を使用しました。
いろいろと改良されていて以前よりも実用性が向上されていました。
FFTの解析点数は  で、100回の平均値を使用しています。最初のATH-A700の周波数特性のみサイン音源で他はホワイトノイズを使用して測定しました。(ホワイトノイズとサイン波の測定結果ははほぼ同じでした)
後でついでにTHDも計ってみたのですがこの時は5KHZのサイン波を使用しています。

測定は簡単なので、手持ちのヘッドホン(PureAudio用ではないものも含み)を片っ端から測定してみました。
結果はこんな感じです。

オーディオテクニカ
ATH-A700

高域がやや高めで聴感上の結果と一致しています。

ゼンハイザー
HD-595

なかなかいい特性です。3-8KHzがやや落ち込んでいますが、逆にこれが聴きやすい音になっているのでしょう

AKG
K-702

これも見事な特性です。高域が微かに落ち込むものの、ピークがほとんどありません。30Hz以下のピークは測定系による乱れでしょう。50Hzのピークも測定系のノイズ(ハム)です。

Sony MDR-XB300

これはほとんどおまけですが、エクストラバスと言っているだけあって低音の持ち上げ方が凄いです。このヘッドホンはパッドの部分に大量の吸音材が詰まっていて本当はエクストラバスではなくミニマム・トレブルなんですけどね。

Ultrazone
Pro750
これも特徴的な特性です。なんといっても15KHzあたりのピークが強烈です。耳に突き刺さる様な音の原因はこれだったのかも。低音域の200-300Hzあたりにやや落ち込みがあります。高域のピークと低域の落ち込みを補正したら、クセが消えて物凄くいい音になりそうな気がします。

以上ヘッドホンの周波数特性をバイノーラルマイクを使用して測定してみました。THDも測定してみましたが長くなりましたので、次のブログで紹介させて頂きます。

尚、今回使用した測定系を5月のヘッドホン祭りに持って行って希望者の方にはその場で測定できるようにしたいと考えています。
興味のある方は是非弊社ブース(905)にお立ち寄りください。

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