新型コロナウイルスの感染者数を対数グラフを描くとわかること

最近はテレビをつけると新コロナウイルスのニュースが盛んに流れています。

日テレnewsのHPよりダウンロード(https://www.news24.jp/archives/corona_map/index2.html)

緊急事態宣言についても、いろいろな意見が飛び交っています。特に出すのが遅いとか、外出禁止にすべきなどの意見も聞かれます。はたしてどうなのでしょうか?

ニュースなどで出される感染者数のグラフはリニア目盛りで、増加しているということを強調するにはいいのですが(素人だましとして)、こういった現象を議論するには違和感があります。理系の人間であれば対数のグラフをまず見たいものです。

そこで、上記日テレnwewsで発表されているデータを対数グラフにプロットしてみました。対数グラフというのは何倍になっているかを議論するときに見やすいグラフで(直線になるので)、増加率を見る際にはこれを使うのが工学では一般的です。

これは東京都の累積の感染者数と死者数の推移です。これを見ると感染者数はほぼ直線的に増加しているのですが、3つの領域に分かれているように見えます。2/24までの急激な増加と、3/25くらいまでの緩やかな傾斜、そしてその後の更に急な傾斜です。

そこで3つの領域に分けてその傾きを調べてみたのがこちらです。

縦軸に対数を取っているので指数関数で近似すると直線になります。エクセルの計算上の都合から横軸は発生日数(2/13起点)に変更しています。この図からわかるように3つの領域に分けると見事に直線に乗ります。Phase2,Phase3などは相関係数が0.98以上と相当な相関を示しています(得られた近似曲線から計算した増加率は式の一番下に示しています)。指数関数 exxx はわかりにくいかと思いますが、この場合1日複利で、xxxのところが利率と考えてもらえばいいでしょう(実際の利率はexxxとなります)。

Pahse1 特に何も対策をしなかった時期

この時期は一日に30%(年利1万%)の感染者数の増加がみられます。爆発的な増加につながる非常に危険な状態です。

Phase2 休校措置をとり、外出の自粛などを促した時期

学校を早めに休校とし、同時に不要不急な外出は控えるように訴えた時期です。この訴えと処置は功を奏したのか、増加率は5分の1の+6%/dayに減少しています。これは非常に優秀な値で、十分とは言えませんがもうちょっと頑張ればコロナ消滅も可能では?と思える値です。

Phase3 3連休以降

外出自粛要請は当初2-3週間の要請でした。3連休もあり桜も咲き始めたのでこのころから皆さんが少しずつ動き出しました。そのせいでしょうか?また増加し始めました。増加率は+13%/dayです。以前の2倍になってしまいました。これはちょっとまずい状況といえるでしょう。ここで非常事態宣言が出されましたので、これから傾斜が緩くなるかと思います。

これらの数値は累積の感染者数ですので減ることはありません。本来は感染者数から治癒した患者の数を引いて計算した方が有益かもしれません。ただ、とりあえずこの対数表示グラフを見るだけでも、定量的な考察の参考になると思います。

報道機関もリニアグラフを示してただただ不安をあおるのではなく、対数グラフと増加率を示して、今後どういった対策をとればいいか議論してもらえると、もうちょっと的確な意見も増えるかと思います。

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