ハイエンド・インターナショナル・オーディオショー -アンプの統計解析-

先日インターナショナルオーディオショーに行って来ました。ショーのレビューは他にもたくさんあると思いますので、ここではちょっと違った観点からショーを分析してみましょう。
実は各ブースからパワーアンプのカタログをいろいろともらって来ました。集めたのはすべて半導体式で真空管式は含まれていません。ここではあるスペックに注目して比較してみたいと思います。
パワーアンプにおいて現在でも難しいのは、高域の歪を抑制することです。パワーアンプでは比較的寄生容量の大きいパワーデバイスを使って、しかも放熱器に並べるので、高域のゲインを稼ぎにくく、高域のNEB量が減ります。加えてパワーデバイスのクロスオーバー歪があるため、結果として歪率がかなり悪化します。各社の代表的なパワーアンプの歪率を価格を横軸としてプロットしてみたのが次のグラフです。
プロットの条件としては、最大出力、20-20KHz表示の歪率をプロットしています。結果はこの様になりました。
アンプの歪率と価格の関係
ピンクが海外製、青丸が国産です。思いのほか傾向がきれいに出てきました。全体的に価格高いのは置いといて、やはり価格が高い方が歪率が低いというはっきりとした相関があります。これだけのデータだけで、「価格が高い方が歪率が低く、したがって音がいい」というのは早計ですが、こういう言い方はできると思います「高価格なパワーアンプは高域の歪率低減に十分な対策を施されている」。カタログスペックが悪いのに数百万円という価格はつけられないでしょうし、ユーザーが購入する際にカタログスペックを比較して機種を決定するので、市場の原理から結果的にこうなっているのかもしれません。
さて、グラフを注意してみると2つのグループに分かれていることがわかります。一言で言うと高額グループ(ピンク線)とお手頃グループ(青線)です。
アンプと価格の相関図2

青線に乗っている青丸を見ると国産のアンプは性能の割りに、低価格な値付けをしていることがわかります。海外製でもブランドネームの低いものは、比較的低価格戦略(といっても高いが)をしているものも一個見えています。国産(青丸)のものも2個がピンク線上に乗っていますが、これは非常に人気のあるブランドなので、この価格で勝負できるのでしょう。いい忘れましたが、カタログの一部は手持ちのものを加えています(カタログを置いていないメーカーもあったので)。

ざっとプロットしてみただけで抜けているものもたくさんありますので、あまり詳細に議論しても仕方ありませんが、ざっと見た割にははっきりした傾向がでて、自分でも驚きました。

さて、弊社から出すパワーアンプですが、あえてこの図にプロットするとこの辺に来ます。(水色でプロットした所)
アンプの歪率と価格の関係3

無名のメーカーなので当然国産品よりも高性能で低価格になります。(そうでないと存在価値がありません)。一番の関心は音質だと思いますが、これは相当いいです。既に試作機を何度か作っているのですが、その最新版の一台は毎日聴いていますが、聴けば聴くほど良さが出てきます。デモ用の製品版を今作っていますのでもうしばらくお待ち下さい。

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