最近行ったコンサート -ジョーサンプルとランディークロフォード-

最近行ったコンサートといえばJoe SampleトリオとRandy Crawfordのコンサートです。

 パンフレットはこれ

Joe Sampleさんは古くはクルセーダーズで演奏していましたが、むしろ最近は上手な歌手と一緒に非常に録音の良いCDを出しているので気になっていたのです。Jazz系のCDだと音質が良くても当たり前ですが、このCDの録音はCDの持っている癖を上手に利用した優れものと思っているからです。実際に録音にたずさわった人はかなりの達人だと勝手に判断しています。単にその方が心地よく聞こえるからという理由でそういう録音になっているのか、あるいはCDの特性を技術的に熟知していてわざとそういう録音をしているのかまではわかりませんが結果的にすごいと思います。
  録音の良いCD「Feeling Good」
以前にこのCDのDVD-AudioフォーマットをPCで作成した時に気づいたのですが、音楽信号のレベルがほとんど-3dBくらいに張り付いていました。-3dBというのは最大振幅の70%で、普通だったら時々クリップして耳障りな歪を発生するはずですが、このCDはそういった不快な音はしません。想像するには、わざと録音レベルを通常の2倍くらいにあげて、ひずみそうなところは上手にリミッターがかかっているいるのではないかと思います。昔カセットで録音した人には身に覚えがあると思いますが、録音レベルを下げすぎるとSNも悪く、迫力のない音になりますし、レベルを上げすぎると音が詰まってしまい、結構録音レベルの調整には苦労したはずです。CDのダイナミックレンジは大きいので、そんなにシビアではないのでは?と思われるかもしれませんが、CDの実力は16bit分無い様に思います。低位bit当たりなどは不快なデジタルノイズにまみれていて、その辺から如何に遠ざかるかが(録音レベルを上げられるかが)実際のCD録音・再生のコツだと思っているのです。で、このCDはそういった音をまるめてでも最高位ビットに近いあたりを使用しているので、非常に元気の良い、心地よいサウンドになっているのでは?と思っていたのです。

前置きが長くなりましたが、Joe Sampleさんの最近のCD録音が良かったので、ひょっとしてこの人はこの辺の録音にこだわっている人なのではないか?とずっと思っていたので、実際にコンサートをきいたらもっといいのではないかと思っていたら、丁度東京でコンサートがあるので行ってみたのでした。

そのコンサートはどうだったかというと内容はすばらしかったのですが、Joe Sampleさんが特に音質にこだわりがある訳ではないようです。
まず歌のほうですが、実際に聞いてみるとランディーの歌声というのは自然なのに凄いという感じです。マイクを通しているので生とういう訳ではないのですが、スーと高域まで延びた声が普通に出ているというか、聴いていて心地よいのです。一緒に行った妻も(下手の横好きでJazzボーカルを習っている)今まで聞いたボーカルの中で断トツに一番上手だと言っていました。
演奏の方はどうかというと、演奏そのものはいいのですが音質は残念ながら並でした。普通のPA装置のスピーカーから出てきている音を聞いているので、むしろ家で聴くCDの音質よりも悪いのです。PA装置やマイクセッティングにも特にこだわった点はなく、音質自体はハイエンド機器に比べるとかなり悪いです。

ということで、Joe SampleさんのCDの音質が良かったのは彼が音質にこだわっていたわけではなく、録音したスタッフが優れていたからだということになりそうです。そういった良いエンジニアが録音に携わるという事自体も彼の実力と実績によるものといえば言えなくもないのですが。

こういったJazzのトリオ(+ボーカル)の大物のコンサートはどうしても大きなホールでPA装置を通して聞くことになるので、音質的には家のCDより悪くなります。生演奏を聴きに行っているはずなのに普段聴いている音質より悪いので、この点はトホホです。

クラッシックも小編成の弦楽器などでは同様の事が起こります。大きなホールだと音量も足りず、近くで聞いていても、普段聞いているCDの音質よりも悪く聞こえてしまうことすらあります。Jazzのトリオにしろ、小編成の弦楽器にしろ、本来大きなホールで演奏するものではなく、小さい部屋で演奏するのが自然なので、仕方ないといえば仕方ないのですが・・・。

クラッシックでもJazzでもそうですが、聴衆に実際に聞こえている音の質に気をくばったコンサートというものはできないものでしょうか?

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