クラッシック・ブラボーの不思議 -コンサートホールの音質について-

クラシックのコンサートを聴きにいってがっかりする事がたまにあります。聴こえてくる音質が良くないのです。普段聴いているCDの音に負けている場合もありますからしゃれになりません。ここで言う音質とは客席で実際に聞こえてくる音楽の音質の事で、演奏家や奏法、楽器にけちをつけているわけではありません。この原因にはいくつかありますが、まず最初にコンサートホールについてコメントしたいと思います。コンサートホールについて私の勝手な評価は以下の通りです。




コンサートホール評価コメント
ティアラこうとうA江東区にある公営ホールだが音響効果が抜群でホール設計のお手本。ここを設計した人はかなりの工学的センスがあると勝手に思っている。このホールで開催されるというだけで聴きにいく価値がある。特に小編成の音楽、ピアノソロ等は絶品、ホールの真ん中で聞いていてもすぐそばにピアノがあるかのような響いてきこえたのが不思議なくらい。オーケストラくらいの規模になると普通に聴こえるかも。
ミューザ川崎A ここも非常にいいです。反響がいいので楽器の位置が近くに聞こえます。大げさに言うとすり鉢の底で演奏して、周りに客席を配置した形になっています(実際にはそこまで極端ではないが)。耳に心地良い中低音域の反響音が多いような気がします。そのためチェロ、コントラバスなどが良く聴こえるのです。演奏者の高さの壁が円形に近いので、この中低域が良く聴こえる結果になるのかなと思いました。あえてけちをつけるとすると、バイオリン等の高音域がつやがないというか、かさかさした音色になるような気がしました。ただ、オーケストラなども反響効果がよいので大迫力で何を聞いても感動できそうです。駅から近いのもGood。
JTアートホールA先日知り合いがコンサートをするので行く機会がありました。席数256の小さいホールですが、聞いてびっくり、小編成の弦楽器のではこれまで聞いた中では断トツでベストの音質です。響きが豊かで楽器の音が大きく聞こえます。私が聴いたのは全部で12,3人の編成(バイオリン9、ビオラ2、チェロ2、バス1)ですが、サントリーホールで聴くオーケストラよりも全体の音量が大きく聴こえ、一つ一つの楽器の音もきれいです。一つの楽器が普通のホールで4つ分の楽器の音量に聴こえます。ピチカートだけであれだけ迫力を感じたのもこれが初めて。響きが豊かな上に、低音まで反響がきれいに伸びている感じで帯域バランスもすばらしかった。これにはCDは勝てません。バイオリンの高音もミューザ川崎の様に妙に乾いた音にならずにきれいな音でした。ホールは一見何の変哲も無い長方形で、各壁面に申し訳程度に拡散板がついているという感じです。左右の壁の距離が比較的近いので遠くまできれいに残響が届くのかもしれません。ピアノなどはどの様な音になるのかもう一度行って見なければと思っています。
紀尾井ホールB 中くらいのホールです。特に可も無く不可も無くといった普通の音響効果です。
東京芸術劇場Bここも何度か行きましたが、特に音響的な印象派強くありません。普通です。駅から近いのですが池袋の風紀が悪いのでコンサートの余韻も興ざめになるところが欠点といえば欠点でしょうか・・・・。
オペラシティーB入り口あたりのつくりは品がありますが音響的にはここも普通だと思います。
白寿ホールB小規模のホールです。ピアノのコンサート等には丁度良い大きさかもしれません。ピアノソロのコンサートを聴いたのですが、反響音は大きめですが中高音の非常に良く響くのですが、低音域の反響が少なめなためかバランスを欠いている様に聴こえます。音響的に特にお勧めというわけではありませんが、独特の雰囲気を持ったホールです。
サントリーホールC一般にここの音響効果は高く評価されていますが、私としては最低のコンサートホールです。ここでやるというだけで行く気がしなくなります(実際に最近はここには行っていない)。後ろにも席があり反響壁が近くにありません。まわりに壁が無いので音質的には外で演奏している感じに近いです(運動会のブラスバンド思い起こしてください)。中低域が抜けてしまった感じで寂しい音になり、オーケストラといえども音量が小さく迫力がありません。小編成のコンサートを後ろの方で聞いた日には最悪中の最悪、後ろの人の鼻息の方が大きく聴こえるくらいです。何とか方式とか言う流行のホール設計をしているそうですが、工学的センスが無い人が設計すると最新技術も台無しになるといういい見本ではないかと思っています。不思議なのはこのホールの評価が一般には非常に高い事で、多数決で言うと私の(耳の)方がおかしいという事になります。(何もこんな事でどっちが正しいとか言い合う必要はなく好みの問題だといえばその通りですが)
東京フォーラム・AホールC東京フォーラムの一番大きなホール。コンサート専用では無いのかもしれないが、ここはひどかった。聞いたのは女性ジャズボーカルなのでクラシックではないのだが、まず座席が詐欺だ。2F席のチケットだったが実際には6Fか7Fだ(実際に席に入っていくときは6,7Fから入っていく)。音質はマンホールの底で演奏しているのを上から聴く感じで、しかも右側のPA装置の音がまったく出ていなかった。インターナショナルオーディオショーを開催する東京フォーラムの会議室も異常に使いづらいが、ホールのほうもそれに負けないくらいのめちゃくちゃさです。これで東京フォーラム自体に毎年何十億円も税金を運営費としてつぎ込んでいるらしいので2重に頭にくる。「金返せ!」の日本代表として立候補して欲しい。・・・・(って何に?)
つくば市民会館C市民会館に対して音響効果をどうこう言うのもおかしいのですが、C評価の基準として登場してもらいました。以前ここで開催される高嶋ちさ子さんのコンサートチケットを入手したので、東京から聴きに行きました。小さいのでまじかに見えたのは良かったのですが、音響効果は悪いので、良いバイオリンももったいない感じです。ただしこういう悪いホールの方がバイオリンの差が良くわかるから不思議です。それに比べると地元の品川公会堂はまだそこそこまともな音ですね(ティアラこうとうには遠く及びませんが)。

ホールの評価基準(なんかミシュランみたい)
A:良い/ホール音響を聴くためにでも行く価値があります
B:普通/好きな演奏であればどうぞ
C:悪い/料金がただでもお薦めしません

以上が私のホールの音響効果の評価です。世間一般で言われているのとかなり違う(ま逆)のものもありますが、これが正直なところです。最近は演奏者や指揮者、曲よりも会場の事が気になりますし、感動の度合いはホールの影響が一番ではないかと思うようになりました。クラシックの話題から少しそれましたが、また次のブログではクラシックの話に戻りたいと思います。

クラッシック・ブラボーの不思議 -コンサートホールの音質について-」への1件のフィードバック

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