オーディオ評論家の先生に装置を評価してもらう様になって -(その一)トラウマ編-

今年の弊社の大きなトピックとしては製品をオーディオ雑誌の編集部に持ち込んで記事にしていただく機会があったことだろう。普通の会社であれば当たり前のことかもしれないが、弊社規模の会社が製品を編集部に持ち込むのにはちょっと勇気がいる。お蔭様で何人かのオーディオ評論家の方に製品を評価してもらえた。実際に自社の製品の評価をお願いしてみて(実際にお願いするのは編集部にだが)、オーディオ評論家の方々への認識を新たにした部分があるので紹介したい。

その前にオーディオ雑誌記事のトラウマについて紹介したい。弊社の製品が一番最初に雑誌に紹介されたのは、ある真空管アンプの雑誌である。弊社では真空管アンプはやっていないので、パッシブプリアンプのPPA-1を取り上げていただいた。後でわかったのだがパッシブアンプ特集とかで数十台のパッシブプリを集め一気に評価するという企画だ。編集者の方は「デモ機を出せるなら記事にするので送って欲しい」くらいの内容を電話で伝えてきただけで詳細はわからなかった(宛先の住所もネットで調べた位だ)。記事になってみて驚いたのだが、PPA-1の評価としてはほとんど「ぺけ」に近い内容だった。しかもその中身は普段お客様からいただく反応とはまったく類似点がないもので、ここでの記事の内容は例えば「いつも聞いている音が出ていない」とのことだった。
さらに悔しいのはPPA-1はLパッド型といって常に2本の抵抗を選ぶ最高級の方式だが、抵抗を直列につないだP型とごっちゃになって一緒に”ラダー型”として紹介されていた。パッシブプリのアッテネーターの技術解説のページもあるのだが、この辺をの解説そのものが間違っているというか、そのそもLパッド型とP型の区別がついていないのだ。

この特集で扱われたパッシブプリの半数以上はセイデン社のアッテネーターを使用しており、後でセイデンの社長から「うちの一番いいアッテネーターをあんな良心的な価格で出しているお宅の製品の記事の内容があれじゃーあまりにかわいそうだね」と慰められたくらいだ。

ちなみに、その時評価に使用していた装置はこれ
スピーカー:アルテックA7
パワーアンプ:アルテック1569A  1569Aってこれですよこれ
(ただしリンク先のブログの内容は本内容に関係ありません。写真がきれいなのでリンク先とさせていただきました。誤解の無い様にお願いします)

何でもこのパワーアンプは50年前位のものらしい。真空管アンプ自体は回路は対して変わっていないので、それはそれでいいのだけれど、それだけ古いとそもそも部品だって正常な状態ではないと思います、コンデンサにしろトランスにしろ。

A7はいいとしても、このラインナップを使って装置(パッシブプリ)の評価をするということ自体、ビックリする。取って置きのササニシキを出したら、出した先はカレーライスの品評会で、タイ米の古米に負けてしまったようなものだ。

あるいは実際にはほとんど聴かずに無名のメーカーだからこんなもんだろうくらいで記事を書かれたのではないかと勘ぐっている(パッシブプリを真空管アンプで使用する方ももちろんいて、通常は同じ様な反応が返ってくるので)。

コレが3年前の出来事で、それ以来、評価してもらうというスタンスを取ってこなかった(というかそういう気持ちになれなかった)。

ただ今年、アンプを評論家の方にご評価いただいて、ものすごく正確な評価だったので、評論家の方に対する認識は一変した(とはいっても記事の内容ということではない)。
その話を次回にしたいと思う。

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