DCPW-200の評価記事への補足説明(いいわけ?でいいわけ)

最近すっかりブログがご無沙汰で申し訳ありません。

最近新型パワーアンプDCPW-200のオーディオ雑誌の評価記事が出揃いましたので、それについて製作者としての立場からいくつか補足説明させていただきたいと思います。

掲載時期の順番でまずオーディオアクセサリーの秋号での評価記事はこちらです。

オーディオアクセサリー

2013年秋No.150,「話題の注目モデル」p188

弊社のアンプはすべてスピード感があるというのは間違いのない事実で、記事にあるようにDCPW-200も当然そういった傾向があるアンプです。この記事の中で
「本機の音には切れば血の出るような生命感が溢れているのだ」
と書いていただいていますが、まさにこの表現がDCPW-200の特徴を表していると思います。
DCPW-200で音楽を聴いていると、なにか情念のようなものを伝えてくる時があります(貞子?)。

次にこの記事に関連して、テクニカルな点をもう少し補足させていただきます。

DCPW-200の出力部の配線は実は通常と異なる構成になっています。通常は出力トランジスタ(+エミッタ抵抗)の出力部からミューティング用のリレーとコイル(インダクタンス)を経由してスピーカーターミナルに配線されています。最初のモデルのDCPW-100ではこの構成は同じく踏襲し、リレーを巨大なものにして、かつコイルも通常よりかなり線材の太いものを使用して出力インピーダンスを下げました。これで達成したのがダンピングファクターDF=1500という値です。それに加えて出力配線部にはプリント基板は使用せず太い配線材+圧着端子という、結構作業が大変な手法をもちいています。逆にこの従来のやり方での限界がDF=1500でした。

DCPW-200では出力部のリレーを出力トランジスタの電源供給側へ移動しました。こうするとリレーがNFBループの前に入るのでリレーの接触抵抗の影響は数千分の1になるのです。この手法はいくつかのところで採用されているのは見たことが有りますが、実用機としては比較的珍しいと思います。なっといっても一番むずかしいのは電源をONにした際にノイズが出ないようにすることで、このためには出力部が瞬時に立ち上がり安定する必要があります。実験段階では早くから成功していましたが、実機に組み込んでみると色々と修正するべきところがあり、この部分を詰めるだけで半年かかってしまいました。

通常のパワーアンプの出力部構成

DCPW-200の出力部構成

リレーの接触抵抗を払拭できると残りはコイルの部分です。一つお断りしておきますが、このコイルというのはパワーアンプであればすべての機種に入っていますし、入っていなければならない部品なのです。(DCPW-200ではこのコイルがあまりにも大きいので非常に目立ってしまっていますが・・・・。)

このコイルの役割は高周波領域での外部に接続したスピーカーからの影響を遮断するために設けられています。普通の製品ではプリント基板に普通に収まっているので目立たないだけなのです。
このコイルはどうしても何十cmかの線材を巻くので出力抵抗がそこそこ有ります。抵抗を少なくするために線径を太くするとコイルの長さが長くなり、線材の長さが長くなるので結局たいして抵抗は下がりません。シミュレーションを繰り返して、更に一工夫してできたのがDCPW-200に搭載しているコイルで、その抵抗値はDCPW-100の数分の1、通常のアンプに使用されているコイルの数十分の1にはなっていると思います。こうした工夫をして得られた値がDF3400なのです。

長くなりましたので、以下の記事に対する補足は別のブログで紹介させていただきます。

ステレオサウンド

2013年秋,No.188,「話題の新製品を聴く」,p364

無線と実験

2013年10月号,No.1088,「MJズームアップ」,p16,p17,p18

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