何故レコードの音質がいいのか考えてみました、CDごめんね

アナログレコードは良い録音のものを上手に鳴らせたた時にはCDなどのデジタル音源とは違った良さが出てきて、「こりゃたまらん」という感じになるのですが、単純に考えると塩化ビニールの溝をダイヤモンドのついた棒(カンチレバー)でこすって発電する方式から、どうしてこんなにいい音が出るのか不思議です。逆にハイレゾ音源など進歩を極めたはずのデジタル方式がたいしてパッとしない(と感じている)のは何故なのか?というのが私の大きな疑問でした。

(そもそもレコードの音質が良くないと思われる方は読み飛ばして下さい)

この疑問点について、最近ようやくある程度合理的な説明が自分の頭のなかでは出来るようになったので紹介したいと思います。
アナログレコードの方が原理的には圧倒的に優れている所が2点あると思うのです。
それは、

デジタル録音よりアナログ・レコードの方が音質が良くなる2つの理由
1.デジタル録音では音量が小さくなればなるほど、原理的に歪が大きくなる。
   (アナログ・レコードでは小音量でも原理的には歪率は変わらない。)
2.デジタル録音では高音域が原理的に小音量で録音されている(音楽信号は1/F分布しているため)。
  アナログ・レコードではRIAAカーブで高域を100倍に増幅して録音しているので、高音域の音質を保ちやすい。

CDでは信号強度を補正せずに、基本的にはそのまま録音します。高音域の楽器の信号は振幅が小さいので、録音される信号レベルも結果的に小さくなってしまいます。
レコードの録音では高音域程大きな信号となるように録音されています。レコードのイコライザカーブであるRIAAカーブをみるとわかりますが、高音域は低音域のなんと100倍のレベルに増幅して録音してあるのです。100倍に増幅して録音した信号を1/100に抑制して再生するしくみなので、SN比が良いだけでなく、歪率でも圧倒的に有利です。レコード再生には高性能なイコライザアンプが必要ですので、ずいぶんと面倒くさいやり方をしているなと思っていましたが、今考えるとこの再生方式が高音質を支える重要な仕組みだったのです。

CDはなまじ基本性能が優れていたために、(当時は理想的な方法と誰もが思っていました)、音質を良くする工夫を一切しなかったために、実は音質ではレコードに負ける側面もあるのだと思います。
例えるならば、兎と亀の話です。

絵に書くとこんな感じです。

以前に交響曲のCDを調べてみたブログがあるのですが、バイオリンソロの信号レベルは約-40dBでした。CDのフォーマット16bitですと7bit下のレベルが最大音量ですのでバイオリンのダイナミックレンジは56dB(9bit)分しかありません。バイオリンの音色は基本波と高調波から成り立っていますが、高調波成分になると、5bit分(32段階)しかありません。歪率でいうとおよそ3%くらいでしょうか。これではそもそも良い音質になるはずがないのです。

一方レコードですが、この方式のダイナミックレンジを60dBとしても、実はCDよりも有利です。それはアナログ録音の場合、信号レベルが小さくなっても歪率は増加しないからです。加えてレコードではRIAAカーブで高音域を100倍に大きくして録音しているので、小レベルの高音域の音質が低下しにくくなっています。
バイオリンソロでもなんとかレコードで再生できますし、歪率も0.1%程度は可能なのです。

CDではクラシックの交響曲のソロ部分などが一番音質的には不利で、同じオーケストラの録音でも映画音楽などの様にすべての録音レベルが大きめだと音質もよく聞こえるものが多いなどという事の説明としても合理的です。

そうはいってもアナログレコードであれば音質がいいというわけではなく、まず録音が特に良いもので、カッティングにも気を使ったものを、非常に上質(高価)な再生装置を使用して初めて音質がよくなるので、平均的なレコードの再生音質がいいというわけではありません。

私は特にレコード収集家というわけではありませんので、20年以上前に購入したレコードがほとんどですが(なので変な趣味のレコードが多い)、今聴いて本当に良い音質だと思えるレコードは数枚しかありません。

レコード再生はレコード、カートリッジ、プレーヤーなどあらゆるものが以前の数倍から10倍位の値段になってきていて、そういう意味でも大変なのですが、もう少し楽しんでみようと思っている今日このごろです。


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