いろいろなお客様(その2:ボッコン・セレクターの巻)

弊社製品の中でもっとも数が出るのは、もちろんセレクターです。セレクターに関するお問い合わせをいただいた客様の中にもいろいろな方がいらっしゃいました。特に印象に残っているのは”ボッコンセレクター”のお客様です。

ある日お客様から電話があり、セレクターに使用しているスイッチは何か、スイッチの切り替えタイミングはどの様なものか?など比較的詳細な内容の問い合わせをいただきました。お話を伺う限りご本人自身は電気にあまり詳しくは無い様ですが、どうもあるショップでその辺の知識を吹き込まれた感じなのです。
 セレクターの切り替えタイミングに関するご質問はたまにいただきます。重要なことでこれを間違えるとアンプやスピーカーが破損にいたる可能性がありますので当然です。
 ただそのお客様の言うセレクター用スイッチの切り替えタイミングは通常と真逆でした。何でも、あるオーディオショップでそう聴いたそうです。またそのショップで(ショップ自家製?)のセレクターを見てきた(聴いてきた)そうなのですが、アンプを切り替えるたびに”ボッコン”とスピーカーのコーン紙が大きく揺れるそうで、それで心配になって弊社に問い合わせの電話をしたそうです。
 スピーカーセレクターあるいはアンプ・スピーカーセレクターで、切り替えるたびにスピーカーから異音がすることはありえません(セレクターが正常であればの話ですが・・・)。おそらくそのショップではどういうわけか逆の接点タイミングを信じて、ボッコン、ボッコン言わせて、さらにお客様にそうでなければいけないと主張しているようなのです。その状態ではアンプの出力間が瞬間的に接続されますので、大変危険な状態です。
 トランジスタに最大定格というものがあって、この規格は瞬時たりとも超えてはいけない(超えると破損する可能性がある)定格です。その中に逆バイアス電圧という項目があり(正式な呼び名は違うが)、パワートランジスタでもたったの5V程度です。パワーアンプの出力を強制的に他の電圧にすると、この定格を瞬時にオーバーする可能性があります(出力をショートするよりずっと悪い)。まあそんな詳細までは知っている必要はありませんが、こういったボッコンという現象がおきたら、危ないと思うのが普通ですし、ましてやそういうことになっているショップの言う事を信じてらっしゃるというのが私には不思議です。もちろん、アンプだけでなくスピーカーにとっても危険なことで、スピーカーの劣化・破損にいたる可能性もおおいにあるでしょう。
 そのお客様、セレクターをそのショップで買うか弊社のものを買うか迷われていて、何度か弊社とショップの間で連絡を繰り返されていました。結局弊社のセレクターをお買い上げいただかなかったので、おそらくショップのボッコン・セレクターを買われたのではないでしょうか?
一般にオーディオを趣味として楽しむのに電気の知識は必要ありません。オーディオ機器を接続すれば問題ない様に出来ていますから。ただオーディオという趣味の世界で上手に楽しむためには、電子工学の知識は必要なくとも、誰の言っている事が正しそうかという直感は必要だと思います。オーディオを上手に楽しんでらっしゃる方はその辺の嗅覚に優れていると思います。そうでないと”大変な事になりますよ~”っと。

いろいろなお客様(その2:ボッコン・セレクターの巻)」への1件のフィードバック

  1. わたしは電子工学の知識はまったくありませんが、音のよい音楽を聴きたいと思い。アンプもこだわったオーディオシステムにしています。ボッコンセレクターの名前はなかなか面白いですね。ボッコンと音がするだけでも配線に異常があるのではないかと思いますが…それが特徴と思って使うのはある意味オーディオにこだわっているからではないでしょうか。

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