セレクターの選び方 -使ってみて初めてわかること-

セレクターを作り始めて4年がたとうとしています。これまでにラインナップも増え、セレクターとしてはほぼ全体をカバーできていると思います。全体昨年に一度モデルチェンジをしましたが、セレクターの出来としてはかなり良く、購入いただいたお客様には大変ご満足いただいているのが自慢です。セレクターは回路的には簡単ですが、実際に作ったり、使ったりして初めてわかることもあります。弊社ではこれまでに延べ数百台は販売してまいりましたので、そういった意味ではそれなりのノウハウの蓄積があります。セレクター選びの参考にもなると思いますので、いくつかご紹介させていただきます。

<セレクターにとって重要なこと>

<切り替えスイッチ>
セレクターにおいて一番重要な要素はスイッチといっていいでしょう。弊社のセレクターにはすべてセイデン社のスイッチを使用しています。このスイッチは接触抵抗が低く、長寿命(無負荷で5万回を保証)です。スピーカーセレクターの接触抵抗は端子間の実測値で4mΩ(Pro仕様)と6mΩ(標準仕様)と、他社のスイッチを使用したものに比較して数分の一になります。これだけ接触抵抗が小さいとスピーカーの切り換えに使用しても音質劣化は検知できません。パワーアンプで使用されるリレーの抵抗は10-30mΩ、ネットワークのコイルの抵抗は50mΩ以上ありますから、それらと比較しても十分小さいのです。
ただこのセイデン社のスイッチには気をつけることがあります。
一つ目は配線がしにくいことです。ロータリースイッチの配線材を接続する部分がデリケートで、かつ他の機構部分と近かったりするので、場所によっては配線方法に気を使い、絶縁するなどして十分な配慮が必要なのです。
2つ目は特にスピーカー切り換えようのスイッチは回転トルクが大きいのです。これは接点を相当な圧力をかけながら動かすメカニズムなので、操作感が硬くなってしまうのです。弊社のセレクターで40mmΦという大型のツマミをつけているのはそのためです。
またスイッチの取り付け部分の剛性がないとまわしたときの感触が悪くなります。そういうことも考慮し1.6mm厚の鋼板を底板に用い、またアニール処理した3mm厚のアルミ板に直接スイッチを取り付けています。
<配線材>
弊社セレクターの配線材にはモデルによって3種類のOFC配線材を使い分けています。よくxxケーブル使用とか歌っているものがありますが、そもそもこういった外部配線用のOFC配線材は硬いので(曲がりにくいので)内部配線材には向きません。応力がかかった状態になりますので長年の間にロータリースイッチの取り付け部が曲がって接触したりしてトラブルの原因になります。装置の内部に使用するにはどういった事が重要か、わかった上で線材を選ぶ必要があると思うのです。

<端子の配置>
セレクターではどうしても端子の数が増えます。製作者側からみると、小さめのケースに収めるために端子間距離は小さくなりがちです。そういったモデルに実際に配線してみると非常に配線しにくいのです。弊社の最初のモデルはそれなりの端子間距離がありましたが、それでも時々配線がしにくいといった声をいただきました。現在にHASモデルではその辺も改善し、そういった声をいただくことはなくなりました。

<重量>
また、特にスピーカーケーブルをたくさんつないではじめてわかるのですが、最近のケーブルは太く重いものもあるので、セレクター自体がかなり引っ張られたりします。ある程度の重量がないと使いづらいのです。そういったこともあり1.6mm厚の底板を使用しています。

<耐久性・耐入力>
これも重要な要素かもしれません。
長くなりましたので、この項目は次回で説明させていただきます。

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