音質の良いNHK-FM放送に感心しています -オーケストラのオンマイク録音-

私が聴く音楽ソースはもっぱらCDとFM放送です。業務中にずっと音楽をかけていますので、CDはいい加減聞き飽きているのでNHK-FMをいいていることが多いのです。不思議なことにNHK-FMでかけるCDの音質は私の所有している50万円のCDPより良く聞こえます(FMチューナーを通しているのに何故?)。使用しているFMチューナーはKENWOODのKTF-5002で、音質にこだわったミニコンポというもので、飛び切り上等なものというわけでもありません。アンテナは室内のTV共用ではFMが入りにくいので、ベランダにFM専用アンテナを設置していますが、とりあえずノイズが入らず受信できるという程度のもので受信状況が特に良いわけもありません。

NHK-FMの音質がいいのは、まず使用している業務用CDプレーヤーが特に優れているからなのではないかと推測しています。ニュースなどの生の声よりも、CDの音質の方が良く聞こえるくらいです。ニュースキャスターの生の声は若干高音がきつく聴こえます。おそらくミキシングコンソールのアンプ部の質の悪さがそのまま聞こえているのだと思います。番組によっても、スタジオが異なるせいだと思うのですが、声の音質が結構変わります。CDの音質が良く聞こえるのはおそらくミキシングコンソールを通さずCDPからややダイレクトに近い形で送信用のアンプに接続されているのではないかと推測しています。

このNHK-FMのなかでも飛びぬけて良かったのは先日NHK交響楽団がNHKホールで演奏した放送です。たとえば4月11日PM7から放送した第1617回・N響定期公演、メルクルさん指揮のメシアン作曲「トウランガリラ交響曲」はこれまで聴いたクラシックの中で断トツですばらしい音質でした。まるで部屋にオーケストラを連れて来たかのように完璧な音質でした。はっきりいって普通にコンサートホールで聴く生演奏より良い音質でした。というのも生演奏では必然的に大きなホールで演奏するので聞こえてくる音は間接音が多くなりすぎてしまうからだと思うのです。もしオーケストラが普通の部屋の中で演奏したら(物理的に入りきらないので無理なのですが)、きっとこんな音質になるだろうというくらい良い音質でした。

一般に交響曲の録音はホールの真ん中からやや前のあたりでワンポイント録音していると理解していますが、それだとマイクの位置でちょうど良い音質であっても、再生した際はさらに間接音が多く混ざるので音がOFF過ぎるというか、遠すぎるというか迫力ある音にはならないと常々不満に思っていました。

それに対してそのN響の放送は音源に非常に近い感じの音でまさに部屋で楽器を演奏しているように聞こえるくらいのONマイクで、ちょうど良いというかド迫力の音でした。後で知ったのですが実はこの放送は生中継でした。それもありますが、音質に貢献したのはむしろマイクセッティングだと思います。後日BSテレビでちょうど同じ演奏を放映していたので見ていたら、マイクをステージに20本くらい立てていました。正確には天井から10本程度つるし、また譜面台のとなりに目立たない様に黒い小さいマイクを10本程度設置してあったのです。いわば、オーケストラのマルチトラック録音みたいなもので、各楽器のパートごとにマイクを設置していたのでONマイクで集音できたので、オーディオ装置で再生したときに直接音と間接音の比率がちょうど良くなったのだと思います。NHKの様にホールと楽団が自前だからこそできるわざだと思いますし、また使用している機材も基本性能がいいものを使用しているからこその音質だと思います。

惜しいのは演奏曲目でこの曲はクラッシックの中でも古典とか創始期のものとか言う位置づけの曲らしく、あまり面白くない曲目だったことです(ただただ音質に感心して聞いていたのでした)。

NHKからこのマイクセッティングで録音したCDを是非発売してほしいと切に願っています。
またクラシックの録音もこれだけの音質になれば家庭で聴いても圧倒的に感動できますので、クラッシックファンも増え、オーディオ業界ももう少し活況になるのになあと思いました。

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