リスニングルームの吸音について
WilsonAudioのSabrinaを導入したものの低域の定在波が物凄くなり、とても聴けるバランスではないことは前に話しました。
単に低域が出過ぎではなく定在波効果の悪影響と判断したのは、低域が多すぎる場所が周期的に表れていたからです。部屋のSP設置側の壁、それと反対側の壁、そして部屋の中央(残念ながらここが試聴位置)で低音がブーミーになっていました。
そしてその定在波の周波数は一番極端なのが35Hz あたりです。この領域の吸音体というのは、調べてみると日本ではほとんど売ってません。そもそも100Hz以下の吸音率自体測定されていないものがほとんどです。
ちなみにBassTrapとしてよく見かけるウレタンのギザギザしたものは低音域では全く効果がありません。
低音吸収体には何種類かあるようで
調べてみると100Hz以下の低音を吸音するには
1.高密度グラスウール数十cm(できれば+空気層)
2.ヘルムホルツ共鳴型
3.メンブレン型
の3種類があるようです。
作ったのはメンブレン型の低音吸収体
メンブレン型BassTrapは例えば非常に重い鉛入りゴムシートを張って、その後方に空気層を作ってばねとして働かせ、シートの直後にグラスウール(GW)で音響抵抗を負荷して制動するという原理だそうです。
GWで低域が吸音されないのはGWを音が通過するからなので、いったん膜で音を受け止めて、それを制動するというイメージでしょうか。また、制動がなければパッシブラジエーターと同じ原理だそうです。
海外では結構売っています。例えばこんな感じです。
性能も、100Hz 以下で吸収率1と驚異的です。作るのは大変なので輸入しようかと思いましたが、輸送代が相当高くなるので諦めました。
設計するにはこんなサイトが参考になります。
メンブレンシート1枚張り(青)と2枚張り(緑)のシミュレーション結果例
実際に作ったのはこんな感じのもの
短辺67cm長辺1mの3角コーナー型BassTrap
ゴムシートは面密度4.2kg/m2という非常に重たいゴムシート2.8mm厚です。持ってみるとずっしりと想像より重いです。何しろ1m2で4kgというのは一昔前の重めのラップトッより重いくらいで、それがぶる下がっているというようなものですから。
メンブレンの重量ゴムシートと布地を張ったところ
音響抵抗としてGWを挿入
3.2kg/m3 5㎝厚を2枚
部屋のコーナー(右)と梁の部分の隅(左)においてみる
スピーカーの後ろの隅に置いてみたのがこちらです。さて、どんな結果になったでしょうか?
長くなったので結果の続きは次回に