低音吸収体(BassTrap)の効果を計ってみました

はじめに

前のブログで低音吸収体(BassTrap)を作ったことを紹介しました。このブログでは低音吸収体の設置後の周波数特性と聴感上の効果についてお話しします。

設置してみました

BassTrapを設置した前後の写真は次の通りです。右側はコーナーに、左はコンクリートの梁に設置しています。

左はBassTrap設置前、右がBassTrap設置後の様子

測定してみました

さて早速周波数特性を測定してみました。マイクの位置は試聴位置(SPから2.7mの距離)で、ちょうど部屋の真ん中の距離になります。

左列が左側、右列が右側SPの周波数特性です。また上段がBassTrap設置前、下段がBassTrapを設置した後の周波数特性になります。

測定はMyspeakerというソフトを使用していますが、縦軸は最大値(40Hz 付近)で自動的に規格化されています。

LEFTRIGHT
Without
Bass Trap
With
BassTrap
BassTrap設置前後の周波数特性比較

40Hzの最大値で規格化されているので、一見すると100Hz 以下の低域レベルは変わっていないように見えます。ただ中高域のレベルはよく見ると下段のBassTrapを設置した後の方が、上昇しているように(つまり低域が下がっている)見えます。

特に左側SPでは設置後方が全体的な帯域バランスが明らかに改善されています。

重ねてみると

さらにわかりやすくするためにBassTrap設置前後のスペクトルを重ねてみました。干渉を受けていなさそうな10-20kHz のレベルでそろえてみたのが下の図です。

右CH、BassTrapp設置前後の周波数特性変化(赤が設置後)

黒線がBassTrap設置前、赤線がBassTrap設置後の特性になります。右側の図を比較すると40-100Hz付近でBassTrap設置後の方がレベルが2,3dB低下していることがわかります。

さらに下の図はLeft側の比較図になります。こちらも40-100HzあたりでBassTrap設置後の方がレベルが3dB程度低下していることがわかります。

左CH、BassTrapp設置前後の周波数特性変化(赤が設置後)

今回BassTrapを設置して100Hz 以下のレベルが3dB程度低下していることが測定から明らかになりました。ただ周波数特性全体から見ると、まだ低域のレベルががかなり高く、もう3dB程度は下げたいところです。

音質はどうか?

肝心の音質ですが、だいぶ良くなりました。以前は明らかに低音過剰だったのですが、BassTrapp設置後は低音はかなり豊かな方ですが、このままでも結構聴ける感じになりました。

BassTrapの効果はこういうこと

BassTrappを2個設置しましたが、在波効果の影響は多少緩和された程度で、解消とまでは行きませんでした。考えてみれば当然のことで、いくら効果的といえどもコーナーに2個設置した程度では、まだ吸音していない壁やコーナーの方が多いので、低域が3dB下がっただけでも効果絶大といえるでしょうか(何しろ半減しているのですから)。

終わりに

BassTrappを設置していないと、低音域がほとんど吸収されない状態で、音が出っぱなしになっていることになります。これはたとえてみるとブレーキの無いスポーツカーみたいなもので、速く走ることはできません。スピーカーも同じで適切な低音吸収があってまともな環境になるということを、きっちりと低音を出すスピーカーを導入して初めて気づきました。

今後はさらにBassTrap を増やしてまともな低音環境を作っていきたいと思っています。

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