音質の良いコンサートホール・悪いコンサートホール

オーディオ的見地からコンサートホールについて述べてみたいと思います。
よく言われている通り、コンサートホールによって楽器から聴こえてくる音はかなり異なります。私が行った事のあるコンサートホールの中でダントツで音響効果が優れているのは”ティアラ江東”です。ここはピアノの一音を叩いた瞬間に音質の良さがわかるホールです。30mくらい離れた位置で聞いても、まるで間近で演奏しているかの様に聞こえしかもピアノの持つ力強さもそのまま再現されます。

私が最初にこのホールに行ったのは高嶋ちさ子さん(バイオリン)と加羽沢さん(ピアノ)のデュオコンサートです。曲名は忘れましたが、最初ピアノの一音を叩いた瞬間にその音質に驚いたことを今でも鮮明に覚えています。
この音響効果を聞くために行く価値が有るくらい、いいホールです。オーケストラよりもピアノ1台とか小規模編成の方がはっきり良さがわかると思います。

反対に音響効果の悪いホールはサントリーホールと東京フォーラムのホールA(最も大きなホール)です。サントリーホールはとにかく音が来ないのです。屋外で楽器を演奏すると反響がないので寂しい、低音の抜けた音になるのは誰でも経験が有ると思いますが、そういう音の傾向です。それもそのはず、サントリーホールは舞台の後ろ側にも座席が有るので、反響する後壁が近くに無いのです。したがってオーケストラなどでも低音の厚みが全く足りず、誰がどれだけの演奏しても寂しい音になってしまいます。
サントリーホール側は音響効果の良い事を歌っている様ですが、そういうことを平気で宣伝する方々の耳を疑ってしまいます。ヨーロッパの何とか方式を取り入れた(真似た)といっているようですが、ヨーロッパの場合壁が大理石なので、普通に作るとやたらと残響時間が長くなるので、それを避けるために工夫された方式なのではないかと思います。それを形だけ取り入れて日本で作っているので、逆効果なのだと思います。(ただ怖いのは、世間一般ではサントリーホールを名ホールという人が多い事で、ひょっとして私の耳がおかしいのでしょうか?)

東京フォーラムの方はコンサート専用のホールではないので、音響効果をとやかく言っても仕方が無いのかも知れませんが、運営面も含めてひどいので言わずにはいられません。先日あるジャズシンガーのコンサートで初めて行ったのですが、2階席とチケットには書いてあったのに実際には7階でした。建物内部の階表示は実際に7Fになっているのです。客席が急斜面のようになっていて、まるでマンホールの上からコンサートを聴くような感じになっています。さらに驚いたのはPA装置のひどさで、私の耳で聞く限り左のSPから一切音が出ていませんでした。これは何かの事故だったのだと思います。左に位置していたギターの音は全く聞こえず、真ん中のピアノの音もまるで3歳児用のおもちゃのピアノのような音しかしないのです。右側の太鼓のようなやつの音だけが異常に大きく聴こえるという始末。PA担当の人は演奏中に音の出方をチェックしていないのだろうか?連れの妻(本当は私の方が連れ)もおかしいとは言っていたがそれほど気にしていない様子、他の観客の方は特に不思議がる風でもなく普通に聴いていらしゃったのが、さらに驚きでした。私はコンサートに行ってもどうしても音響効果が気になるので、職業病かもしれません。

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コンサートホールに関しては新しいブログを書きました。

ぜひこちらも御覧ください。

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音質の良いコンサートホール・悪いコンサートホール」への10件のフィードバック

  1. コメントありがとうございます。
    このブログは本当に沢山の方から色々なコメントを頂いていて、書いたかいがあります。
    やっぱり演奏者のプロ方にも、このホールが好きでない方がいらっしゃるのですね。芸術劇場はパイプオルガンを隠すように改装してから、とても良くなったと私も思います。
    サントリーホールの様な有名なホールが本当にいい音だと、クラシックファンももっと増えると思うのですけどね。その辺が残念です。
    今後共よろしくお願いいたします。

  2. 前の記事のようですが投稿させていただきます。
    私もサントリーホールはいいと思ったことがありません。
    何度も行ってますし、あらゆる席で日本のオケも海外のオケも聴いてきましたが、好きになれないです。
    うまく言えないのですが、楽器の音色がコンプレッサーフィルターをかけられたように薄っぺらくなるというか、コシがなくなります。そしてその小じんまりしたそのまんまの音が残響だけする感じです。ステレオで中音を絞ってカットして、代わりに高音をあげ、それに何らかの人工的なエコー機能だけONにしてかける操作を行ったようなサウンドです。
    上手い演奏は上手く聞こえますし、名演もありましたが、音色はそういうふうになるホールなのは間違いないです。
    プロが認めるといいますが、私の先生はプロの首席奏者で数え切れないほどサントリーのステージにのって来た方でしたが、はっきり嫌いだと言っていました。
    私はもう来日公演がサントリーだと、どうしても聞きたいプログラムがない限りは避けて違う日程の場所をまず選ぶようになっています。都内だと個人的には池袋の芸術劇場のほうが全然いいと思います。新宿のタケミツも悪くないですが、2階の正面席が少ないのが残念です。

  3. なぜかこのトピックは人気がありますね。
    やっぱリ何か「感動するきっかけ」があると、クラシックもオーディオももっと繁盛すると思うんですけど、現実は難しいですよね。

  4. 面白い話なので、恐縮ですがコメントさせていただきます。
    矢が飛んでくる、ということですが(笑)、まあ、サントリーHができるまでいわゆる専用ホールがなかったため、完成直後の東京での公演がほとんどサントリーHで行われた、ということもあるのではないでしょうか(あるいはカラヤンが関わったとかのブランド化?)。後は聞くオーケストラそのものの質でこのホールはだいぶ違ってくるように思います。
    いずれにしても、ホールがオーケストラを育てる、というのは一種の迷信みたいなもので、いわゆる名ホールと呼ばれているのはウィーンの楽友協会、ボストンのシンフォニーホール、アムステルダムのコンセルトヘボウ、チェコのルドルフィヌムということになっていますが、これらを本拠とするオケは別にサントリーだろうが、NHKホールだろうが東京文化会館だろうが「上手い」ことには変わりありませんね。逆にフィラデルフィア管弦楽団や、シカゴ交響楽団、モントリオール交響楽団、パリ管弦楽団などなどは名ホールを持っているということは聞かないし、本拠地ホールではなく、教会などで録音している場合のほうが多いですね(そもそもデッカレーベルは楽友協会は録音会場にしてこなかった)。マイクセッティングなどの問題もあるのかもしれませんが、名門楽団=名ホールという図式は当てはまらないでしょう。ハコ(ホール)が先では本末転倒ですしね。それに人気コンサートで観客が多い場合と、人気が無く少ない場合とでも音は変わってしまいます。
    いずれにしても、オーディオとの関連でいえば、日本でクラシックを好きになるなら、オーディオから、でいいんじゃないでしょうか。コンサートなら、どうせろくな音響は期待できないですが、「生音」の雰囲気や臨場感はありますから、バランスが悪くてもどまん前で聞くことです。嫌でも指揮者や奏者の息遣い、必死のボウイングが見えますから。極端ですが、私の体験ではFMで知った曲をサントリーでもコンセルトヘボウでもなく、地元の音響もくそも無い超デッドな「市民文化会館」の最前列で聞いたクラシックが感動の始まりでした。そしてヨーロッパのように文化として普段の生活にクラシック音楽がないのですから、それこそオーディオの出番だと思うのです。

  5. 私は音響機器としてはプロの範疇かもしれませんが、クラシック音楽はずぶの素人ですので、プロといえるかどうかわかりませんが、サントリーホールの音響が悪いという人は私の周りでは多いです。知り合いでクラシックの楽器を演奏する複数の人もここのホールは音響が悪いといっています。ただメディアでは(しがらみもあって)そうは言えないでしょうし、人によっては権威が重要な人もいるので(オーソリティーのxx氏が認めたとか)、そういう方には絶賛されるホールなのだと思います。
    ただ私も残念なのは海外からの著名な人はなぜか皆、サントリーホールで演奏するのですが、実際聴くとまったく感動できないことなんです。クラシックっていいなーって思えないんですね。
    (それとこのホールを悪く言うと正面から矢が飛んでくるので、匿名で正解です。)

  6. こんにちは。昨日初めてサントリーホールでまともに音楽を聴いたんですが、どうも音響が期待ほどではなかったような気がして検索したところ、こちらにたどり着きました。
    2階右端の、前後でいうと真ん中あたりの席だったんですが、遠くの巨大な繭の中で音がしていて、そこから漏れてくるのを聴いているような感じがしたんですね。
    当方完全な素人なんですが、プロの中にも疑問をお持ちの方がいると知ってなんか納得したというか、自分の耳を信用すればいいのかな?と思いました。サントリーホールにけちをつけるなんて畏れ多いみたいな雰囲気ありますけどね~

  7. サントリーホールの残響時間は変ではないと思いますが(設計者が計測してました)、問題は残響時間ではなく、残響量が非常に小さい事だと思います。近くに壁がないのでそもそも残響がないのです(低音が抜けて外で聴いている感じ)。残響どころか聴こえる音量も小さくなっていますから・・・・。
    同じ型に分類されていても(私はその辺詳しくありませんが)、ミューザ川崎なんかは響きが心地よいです。写真ではわかりづらいのですがミューザ川崎は実際に行ってみるとかなり深いというかすり鉢のように見えます。
    クラシックの世界では特に、実際の結果や実力より、いわゆる権威や名声が幅をきかせていると思います。いい・悪いはもっと正直に評価してあげないと良いものにならないと思いますね。
    オーディオも人の事は言えませんけどね。
    大阪のシンフォニーホールはいつか行ってみようと思います。

  8. サントリーホールも音が悪いんですか。ここは舞台奥手に吸音材が並んでいるんです。でその上に客席=吸音材、低音不足になるでしょうね。残響周波数特性を見たことがありますが、100hz以下は膨らんで後は2kmまでフラットで残響はやや長めでした。(近所のキタラも同じ設計者だそうで、ここは音がどこかに抜けてしまうようで薄く、ジャーナリズムはほめるけれど札幌住民には不評です。)
    アリーナ型でも大坂のシンフォニーホールは音が詰まっていて素晴らしいです。

  9. コメントありがとうございます。サントリーホールは少なくとも5,6回は行っています(たぶん10回位あるかな)。このホールで音が良かったと感じた事はありません。「プロ」というのが演奏家の事を指すのか音響系のプロをさしてらっしゃるのかわかりませんが、どちらにしても「プロが認める」という事自体がちょっと怪しいと私なんかは思ってしまいます。クラシックの演奏家の方は演奏技法だとか解釈だとかに執心しますが、肝心の聴衆にどの様に聞こえているかに無頓着だと思いますし、音響的に考えてもあの構造自体が根本的に大失敗としか聞こえません。あのホールをほめる人は、多分、音の聞き方が私と違うのではないでしょうか。好みなのであのホールが好きということにけちをつけるつもりはありませんが。

  10. サントリーはプロも認める良い響きのホールです。ただ、席が悪いとだめなことがあります。たぶん悪い席にお座りになったのでしょう。事実は複数のケースを総合しなければなりません。

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