ヨーロッパのコンサートホールで音楽を聴く 4年ぶりの(4)

4月にチェコのプラハとハンガリーのブタペストを訪問してクラッシック・コンサートを聴いてきました。

プラハ

プラハは今回2回目の訪問です。4年前にスメタナホールで聴いたコンサートが素晴らしかったので、もう一度聴きたいと常々思っていました。今回2日聴きました。
会場:スメタナホール
4/16
曲目:ドボルザーク、新世界から
演奏:北チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:Yurity Yanko
4/18
曲目:ビゼー/カルメン、ガーシュイン/ラプソディー・イン・ブルー、ラベル/ボレロ、スメタナ/モルダウ
演奏:ドボルザーク交響楽団(プラハ)
指揮:Jaroslav Vodnansky or Martin Peschik

P1020363_smetanahall

プラハのスメタナホール

新世界からの方は、これがもうかなり怪しかった。ヨーロッパのコンサートでもこんなことがあるのねとある意味新鮮な驚きでした。
演奏そのものがあまりうまくない。音程がかなり怪しくこちらが心配になるくらいでした。指揮がそもそも合っていない。
合っていないというのは指揮が途中から早くなりすぎて演奏者がついて来ない。演奏を無視して指揮しているというか、指揮を無視して演奏しているというか、そんな感じでした。
わざとやっているのではなく、指揮者が緊張して早く振りすぎている感じでした。
「新世界から」そのものは、やはりコンサートでやると映える曲で気持ちのいい曲だったのですが(事前に勉強したので余計にです)、演奏がちょっと水を差している感じでした。

2012年に聴いたPROMSのポスター

それに比べると18日の演奏は遥かに良かったのですが、それでも前回(2012年)聴いたチェコ国立交響楽団の「運命」に比べると普通です。前に聴いたのは2012年のPROMSという音楽祭の演奏でした。一番旬の人が演奏していたので、それが特別だったということのようです。

2012年のコンサートのブログ

ブタペスト

P1020408_listhall2

ブタペストのリスト音楽院大ホール 重圧な感じでホールの音も抜群

ブタペストには今回はじめて行きました。ブタペストでは音楽家のリストが有名です。何しろ空港にフランツ・リストの名前が付いているくらいです。
演奏:Hungarian National Philharmonic Orchestra
指揮:CARLO MONTANARO
4/20(水)
ベートーベン交響曲4番
チャイコフスキー交響曲4番

席は2階の後方

この指揮者MONTANAROの指揮は凄かった。指揮が音楽を作るというのをまざまざと見せつけられました。指揮の最中に体全

monotarnaro

コンサートのパンフレット

体がパントマイムの様にキュッキュと動き、それにピタリと同期して演奏されているのです。「こういう音を出して!!」と体全体で表現すれば、そのとおりの音を出す、それはまさに芸術でした。ハンガリーの交響楽団もまたうまいことうまいこと。演奏された曲では金管が全体をリードするような場面があるのですが、これがピタリと決まります。音量がまたすごくて、チューバの1本でオーケストラ全体と同じ様な音量を出していました。全体の音圧もすごくて、映画館の最大音量位の音圧がバーンと出ているのですから、もう迫力満点。こういう音圧は日本のホールでは聞いたことがありません。リスト音楽院大ホールは1000人位のホールで、ちょうどスメタナホールと同じくらいの大きさです。最近のホールは2000人位の収容人数で設計されますが、やはり2000人規模になると音質的にろくなことはなく、1000人位が限度なのではないかと思います。

それと楽器の位置が、チューバは右角の奥に、コントラバスは右壁にピタリと(もう自然なくらいに)へばりつくように配置されていたことです。もちろんこの位置にこれらの楽器があるのが普通ですが、ここまで壁に近く配置されていたのを見たのは初めてでした。こうすると壁の反射で音量を取りやすいので音響工学的に合理的で、わざとやっているとしたら、大したものだと思いました。

hangarikoukyougakudan _640

チューバは右コーナー、コントラバスは右壁にへばりつくように配置されていた

指揮、演奏、ホールの音質すべて素晴らしかったのですが、ただひとつ残念なことは曲目ですね。ベートーベンにしろチャイコフスキーにしろ5番はすばらしいのですが、その前の4番というのは、やっぱり今ひとつ、というより今二つくらいの感じで、何かちぐはぐして盛り上がりきれない曲でした(だから人気がなく演奏されないのではと思えるくらい)。ただ、この曲もこの指揮者・演奏者だから結構良かったのではないかと思います。金管がリードするところも多くて、N響とか普通だったらズッコケまくってしまうかもしれません。

P1020428_butapesto

ブタペストの夜景

それと5番はみな名曲なのに4番の出来がよくない(と私は勝手に思っている)というのは、逆に4番でこけて皆から非難を浴びてだからこそ次の5番はナニクソって頑張っていい作品ができたのかなーなんて勝手に想像しています。そういうことって結構あると思うので。4番って、ある程度作曲に慣れてきて、つい気が抜けてしまったり、今度はちょっと新しいことを試そうなんて思ってずっこけちゃうんでしょうか。

ブタペストの街は綺麗で、料理も美味しく、またワインが美味しいのです。ワインは街で買った1000円位のワインが日本の5000円位の味がします。

またいつか、ブタペストに音楽を聴きに行きたいと思いました。
======================================
51VhFSs61rL._SX338_BO1,204,203,200_ホームページのブログ、コラムに掲載したトピックの中から50を厳選。 オーディオの常識の落とし穴をエンジニアリング的に解説。

「オーディオケーブルを変える前に知りたい50のオーディオテクニック」 (おかげ様で増刷となりました)

内容詳細・購入はこちらからどうぞ

=====================================

コメントを残す