Harbethハーベスを試してみました

(普段なら買わない製品を買って試してみたら その3)

経緯

最近のスピーカー(SP)は箱をがちがちに固めて振動しないようにして、ユニットはレスポンスの良くガンガン駆動するのが主流です。その一方で、逆に箱なりを利用しているかのような主流と反対路線のSPもあり、これもまた人気があるようです。たまにはこういったSPも試してみましょうということでHarbethの compact 7es-3というSPを中古で入手して聴いてみました。

印象

中古でスタンド込みで入手しました。中古とはいえ傷もなく、オーディオショップから購入して4年程度の良品でした。このSPはウーハーが20cmあり、そこそこの大きさです。ただ持ち上げてみるとびっくりするほど軽く拍子抜けします(13kgしかないのです)。最近のSPは見た目よりもずっしりと重いことが多いのですが、さすが路線が違うという感じです。スタンドもまるで小学校の椅子のような趣で、これまた非常に軽く設置はしやすいのですが、高さ調整がないので単に置いただけだとカタカタとします。

軽いのは非常に設置上ありがたく、腰も痛くならないので私としてはこれはこれで好印象です。

聴いてみて

見た目に反して中高域はやや硬いともいえる音がします。全体の外観からソフトドームと思い込んでいましたが、これハードドームでした。最近の超低歪のSPを聴いてきたからでしょうか、これ中域が結構濁る感じがします。

低域ですが箱が鳴るタイプですのでスパッと切れないんじゃないかと心配していましたが、そんな心配は無用でした。中低域は普通のSPよりも量感はけっこうあり、心地よいバランスになっています。ただ50Hz以下がほとんど出ていないように聞こえ、普段なら聴こえるバスドラムがスカッとなくなっている様です。感覚的には13cmウーハーです。量感は出るが低域が伸びないというちょっと残念な結果です。

アンプも種類を変えてみましたが、真空管アンプ(300B)で駆動した時にこのSPの良さが一番出るように思いました。

このSPをしばらく聴いてから、804D3やPL-200に戻すと音質自体はいいものの、かなり淡白な音で物足りない様にも聞こえるから不思議です。

ただHarbethの音というのは中高域の歪感や濁り、超低域の迫力不足がどうしても気になって、これを使い続けるのはアンプメーカーとしてはちょっと?という気がしました。

こういった箱の鳴りを利用するのは(というよりそこまでこだわらずに作ったら、結果的にこうなったということかもしれませんが)悪いことではなく、例えば中低域のミッドウーハーなどはこういった”鳴る箱”もいいかもしれません。現在のオーディオ界は何でもよく考えずに極める悪い癖があるので、反面教師としては面白いSPですし、もう少しセッティングに凝って、これに合うソフトなどをそろえるところまでやると、このSPの良さを満喫できるかもしれません。

最初は箱の鳴りというのは音源(楽器の音)に「響き」がすでに含まれているので、SPでさらに鳴りを加えたらおかしくなるのでは?と思っていましたが、実際にはそんなことはなく、魅力的な方向かもしれません。ただこのSPユニット自体の特性(特に高域)や超低域が出ないバスレフセッティングに、ちょっといただけないかなと私は感じてしまったということです。

おわかれ

アンプメーカーとしてはレファレンスあるいはサブとして使用できるようなタイプではなく、性能の良いアンプで鳴らすと逆にSPの粗が目立ってしまうような結果でした。

というわけで、このSPは1か月もたたない内に旅立つことになりました。趣味の合う人の下で余生を過ごしてほしいと思いました。

勉強になりました。

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