最近はハイリゾ音源とか言っていろいろな形で進化しつつあるように見えますけど・・・・これって結構すぐ飽きますよね。なぜかというと理由は簡単で好きな演奏者のものでは無いので、1,2回聞くともう飽きてしまうからです。あるいは一見(一聴)良さそうなので、頑張ってアルバム全曲(96Khz、24bit)を3000円も出してダウンロードしてみたけど、結局大してよくなくてそのまま聞かなくなるとか(CDと違って転売もできない)。
なんだかんだ言っても一番選択肢の多い普通のCD音源に戻ってきてしまいます。
ただCD音源は(結構音質がいいんじゃ?思っていたものでも)録音が残念なものが多いです。
今回はCD音源の音質をソフトの側から(音源の側から)よくしてみましょうという話です。
1.振り切れてしまっている録音
最初に凄い波形をお見せします。以前にEraというグループを紹介しました。こグループの「Mass」という曲、結構いいなと思っていたのですが、CD音源の波形を見てもうびっくり、というのもこんな感じだからです。
EraのMassという曲の波形(クリックすると多少見やすくなります)
波形の解析にはWavosaurというフリーソフトを使用しました。PCに保存したWAVファイルが簡単に解析・加工できる優れものです。これを見ていただけると直感的にわかると思いますが、もうほとんど振り切れた状態になっています。局所的に拡大したのがこちら。
CDのWAVファイルはご存知の通りPCM音源で数字で最大値がきまっていますから、これはヴォリューム設定云々の話ではなく、録音時に既に振り切れて締まっていること言うことです。CDに振り切れているものがあるという話はどこかのホームページで見たことがありますが、てっきりJ-POPとか音質の悪いものばかりかと思っていたらJAZZ系統のものでも結構あるんです。他にも録音が良いといって紹介したケルティックウーマンでさえ局所的に振り切れているものがありました。
基本的に振り切れて締まった場合に、簡単に処理する方法はありません(知りません)。理論的にはこういった波形も復元処理するアルゴリズムはあり、測定器の解析技術などに実用化されているのでできないわけではないと思いますが・・・(今回はどうにもならないって事であきらめましょう)。
2.録音レベルが小さすぎるもの
もう一つの残念なモードは録音音量が小さすぎる場合です。クラッシック音源に多いです。クラシックはダイナミックレンジが大きいからそうなっているのでは?と思われるかもしれませんが、例えば交響曲全体をみわたしても録音レベルに6dB位余裕のあるものも多く、これは単に録音が適当なだけです。ただしこの場合は救いようがあります。実例を示しましょう。
これは以前にも紹介したことのあるジャック・ルーシェのデジタルプレイバッハです。全体的に録音レベルにまだ余裕があります。最大値で-4dB位です。これを処理してみましょう。
WavsaurにはNormalize機能があり、好きなレベルまで音量を拡大できます。ここでは次の様に処理してみました。
1.ディザを加えて24bit化
2.最大値が-0.3dBになる様に規格化
単純に拡大すると最小ビットあたりが怪しいので、一応ディザをかけて24bit化してから音量を拡大しました。その結果がこちらです。CDに焼く場合は16bitに戻してもいいのですが、普段PC音源で聞いているのでこのまま24bitにしてあります。
録音レベルを修正するとこんな感じになる、音質も良くなってGood!
聴いた感じ音質そのものもちょっとよくなった感じがします。何よりこういったCD音源は他のCDの後にかけると音量が小さくなって、結果的に音質的に聴き劣りしていた事が解消し、その都度音量調節する必要がないというメリットもあります。
オーディオ装置を改善する事もいいのですが、こういった音源側の工夫も結構効きますという事で。
先に紹介したクリッピングも将来何とかしたいなと考えています。
【追記】
その後Wavosaurにも使用できるVSTプラグインソフト(VSTというのはプラグインの共通規格のことです)の中にもクリッピングを補正できるものや、いわゆるDAWソフトにはクリッピング補正できるのが普通なのがわかりました(この辺まだ初心者なのですみません)。試用版で試したものもあるのですが、今のところどの程度クリッピングが補正できているのか不明です(効果がいまいちに見える)。
この辺も満足できる結果が出たらお知らせしたいと思います。