レコードプレーヤの針圧設定が結構当てにならないので注意

レコードプレーヤの針圧設定が結構いい加減かもしれないので注意が必要です。

カートリッジの針圧設定は本来の性能を発揮するために重要な項目です。レコードプレーヤーで設定した針圧を測ってみたら、かなり外れている場合があったので要注意です。

アナログフェアに向けてレコード再々環境をいろいろといじっていました。昔なら天

針圧計

秤みたいな針圧系でしたが、最近はデジタルの針圧系が安く1000円位で出回っていて、試しに買ってみました。付属の5gのおもりで試すとほぼぴったんこ。

 

続いてレコードプレーヤPL-L1で測ってみると、設定針圧1.8gに対して実測時1.74gと「良いではないか、良いではないか」という感じでした。

良いではないか

次に最近中古で入手したPL-50LⅡで測定してみると設定針圧2.3gに対して、実測値3.2gと恐ろしいことになっていました。

2回転しているので2.3gのはずが

このプレーヤーは中古なので本来の性能を発揮していないのだと思いますが、それにしても全レコードを傷つけてしまうかもしれない誤差にびっくり。

皆さんも針圧計で一度は確認したほうがいいと思います。

ちなみにPL-50LⅡは後ろのおもりをくるくる回して針圧を設定する一般的なもので、PL-L1の方は内蔵されているバネ(時計のゼンマイみたいな物が円筒部に内蔵されている)で針圧を掛けるダイナミック式です。

フォノイコライザアンプをマイナーチェンジさせていただきました(そしてこっそりと値上げも・・・)

それと弊社のフォノイコライザアンプをマイナーチェンジしました。DCEQ-100がDCEQ-100SEという型番になりました。主な変更点は

 

・ACインレットを高周波フィルター付きのものに変更
・安定化電源を更に良いものに改良
・実装技術の改良による残留ノイズ低減

になります。
セカンドエディションはパネル面文字に変更はありません。リアパネルのACインレットにより識別できます。(2nd EditionのACインレットは金属ケースに入っています。)

音色も更に良くなり、聴感上のSN比もだいぶ改善されていて、MCカートリッジでもほとんどハム・ノイズ音が気にならないと思います。

そしてお値段も税別250,000円に変更させていただきます。

またアナログフェア(6/10-11)ではDCEQ-100SEを展示(HP試聴)させていただきます。

アナログ・レコードプレーヤー”Performance DC”にDCアダプターが効く という話

Clear Audio 社のアナログ・レコードプレーヤーに”Performance DC”(ヨシノトレーディング取扱)というモデルがあります。

clearaudio Performance DC

Clearaudio Performance DC

+

DCA-12VHC

セラミック製の軸を使用しベアリング部は磁石で浮かせるという革新的な機構を持ち、トーンアームはカーボンファイバー製というすぐれものです。こちらのプレーヤーはDCモーターで駆動されていて、通常付属のDCアダプターを使用します。

その付属のDCアダプターの代わりにオーディオデザイン社のDCアダプター・DCA-12VHCを使用すると音がかなり良くなるそうです。信号経路とは関係ないのに何故?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、汎用のアダプターから高周波ノイズを拾ってしまっているのでしょう。

弊社のDCアダプターDCA-12VHCは輸入代理店のヨシノトレーディングさん公認ですので安心してご使用下さい。

こんなところにもDCアダプターが効くというお話でした。

何故レコードの音質がいいのか考えてみました、CDごめんね

アナログレコードは良い録音のものを上手に鳴らせたた時にはCDなどのデジタル音源とは違った良さが出てきて、「こりゃたまらん」という感じになるのですが、単純に考えると塩化ビニールの溝をダイヤモンドのついた棒(カンチレバー)でこすって発電する方式から、どうしてこんなにいい音が出るのか不思議です。逆にハイレゾ音源など進歩を極めたはずのデジタル方式がたいしてパッとしない(と感じている)のは何故なのか?というのが私の大きな疑問でした。

(そもそもレコードの音質が良くないと思われる方は読み飛ばして下さい)

この疑問点について、最近ようやくある程度合理的な説明が自分の頭のなかでは出来るようになったので紹介したいと思います。
アナログレコードの方が原理的には圧倒的に優れている所が2点あると思うのです。
それは、

デジタル録音よりアナログ・レコードの方が音質が良くなる2つの理由
1.デジタル録音では音量が小さくなればなるほど、原理的に歪が大きくなる。
   (アナログ・レコードでは小音量でも原理的には歪率は変わらない。)
2.デジタル録音では高音域が原理的に小音量で録音されている(音楽信号は1/F分布しているため)。
  アナログ・レコードではRIAAカーブで高域を100倍に増幅して録音しているので、高音域の音質を保ちやすい。

CDでは信号強度を補正せずに、基本的にはそのまま録音します。高音域の楽器の信号は振幅が小さいので、録音される信号レベルも結果的に小さくなってしまいます。
レコードの録音では高音域程大きな信号となるように録音されています。レコードのイコライザカーブであるRIAAカーブをみるとわかりますが、高音域は低音域のなんと100倍のレベルに増幅して録音してあるのです。100倍に増幅して録音した信号を1/100に抑制して再生するしくみなので、SN比が良いだけでなく、歪率でも圧倒的に有利です。レコード再生には高性能なイコライザアンプが必要ですので、ずいぶんと面倒くさいやり方をしているなと思っていましたが、今考えるとこの再生方式が高音質を支える重要な仕組みだったのです。

CDはなまじ基本性能が優れていたために、(当時は理想的な方法と誰もが思っていました)、音質を良くする工夫を一切しなかったために、実は音質ではレコードに負ける側面もあるのだと思います。
例えるならば、兎と亀の話です。

絵に書くとこんな感じです。

以前に交響曲のCDを調べてみたブログがあるのですが、バイオリンソロの信号レベルは約-40dBでした。CDのフォーマット16bitですと7bit下のレベルが最大音量ですのでバイオリンのダイナミックレンジは56dB(9bit)分しかありません。バイオリンの音色は基本波と高調波から成り立っていますが、高調波成分になると、5bit分(32段階)しかありません。歪率でいうとおよそ3%くらいでしょうか。これではそもそも良い音質になるはずがないのです。

一方レコードですが、この方式のダイナミックレンジを60dBとしても、実はCDよりも有利です。それはアナログ録音の場合、信号レベルが小さくなっても歪率は増加しないからです。加えてレコードではRIAAカーブで高音域を100倍に大きくして録音しているので、小レベルの高音域の音質が低下しにくくなっています。
バイオリンソロでもなんとかレコードで再生できますし、歪率も0.1%程度は可能なのです。

CDではクラシックの交響曲のソロ部分などが一番音質的には不利で、同じオーケストラの録音でも映画音楽などの様にすべての録音レベルが大きめだと音質もよく聞こえるものが多いなどという事の説明としても合理的です。

そうはいってもアナログレコードであれば音質がいいというわけではなく、まず録音が特に良いもので、カッティングにも気を使ったものを、非常に上質(高価)な再生装置を使用して初めて音質がよくなるので、平均的なレコードの再生音質がいいというわけではありません。

私は特にレコード収集家というわけではありませんので、20年以上前に購入したレコードがほとんどですが(なので変な趣味のレコードが多い)、今聴いて本当に良い音質だと思えるレコードは数枚しかありません。

レコード再生はレコード、カートリッジ、プレーヤーなどあらゆるものが以前の数倍から10倍位の値段になってきていて、そういう意味でも大変なのですが、もう少し楽しんでみようと思っている今日このごろです。


京都で試聴会開催7/21(月)祝日 こちらもよろしくお願いします

関西地区でオーディオデザインとdynaudioの組み合わせが聞ける絶好の機会です。

『第9回 Arbitrary Time* in 京都』
*****いま注目すべき国産2ブランド(オーディオデザイン、テクノクラフト・オーディオデザイン)の高性能セパレート・アンプを聴く!!Part3*****

日時:7月21日(月)祝日 15:00-17:30
場所:Music Cafe SOEN
〒616-8211京都市右京区常盤御池14-11
Tel:075-467-3450

◇講師:オーディオ評論家 井上千岳氏、小林 貢氏

当日は稀少なアナログ音源(ディスク&テープ)や高音質デジタル音源などを織り交ぜ、オーディオデザイン、テクノクラフト・オーディオデザイン2社の新型セパレート・アンプの魅力を引き出したいと思います。

使用スピーカー:DYNAUDIO Confidence C1 Signature

アンプ:オーディオデザイン
プリアンプDCP-210
パワーアンプDCPW-200


*Arbitrary Timeは井上先生、小林先生が主催するオーディオ機器の試聴会です。
皆さんに聞いていただきたい機器、音を両先生が厳選してお届けします。

関西地区でオーディオデザインとdynaudioの組み合わせが聞ける絶好の機会です。

お申込みはこちらの申し込みフォームからお願いします。

最近アナログレコードがいい感じです -マイブーム到来-

ここのところどこかでオーディオ機器の音を聴く機会がポチポチありますが、そこで決まって感心するのがアナログレコードです。
レコードの再生音はもちろんレコードでいい音を出すにはかなり良い機器を使用しないとダメなのですが、そこそこ整った環境のレコード再生音はデジタル音源とは次元の違う音が聴こえてきます。

最近はこういった経験に刺激されて、アナログレコード熱が少し出てきました。ここ数年の弊社のアナログレコード再生環境はあまり良いとはいえない状態だったのですが、いろいろ手を入れてみると素晴らしく良くなりました(この辺がやればやるほどがっかりしてしまうハイレゾとは逆です)。

アナログレコードの再生音の何がいいかというと、音に弾力があって、低音がまろやかさを伴ってはずんで来ます。その低音に乗っかって高音も綺麗に聴こえてくるので、音そのものの気持ちよさがたまりません。同じアルバムでCDとレコードが出ているものを聴き比べるとレコードの方がいい音がします。

もちろんレコードの場合
・どうしてもミシミシとノイズが入る
・時にはパチっとノイズも入る
・メンテナンス、準備が大変で曲を送ることも出来ない。
・ずっと聞いているとレコードも針先も劣化する。
・最近のレコード関連グッズは異常に高い
・アナログレコードで録音の良いものは少ない
・曲目が非常に限られている
・レコードを購入しようと思っても、試しに聴くことが出来ない

等その短所を挙げればきりがないのですが、その短所を超えた魅力があります。
DAC、CD(DSDも含めて)かなりフォーマットなどを変えても対して代わり映えのしないデジタル音源とは逆にやればやるほど音質も良くなるのも面白いところです。

最近のレコード再生機器はこんな感じです。

レコードプレーヤーはパイオニア・リニアトラッキングPL-L1

カートリッジ
以前はDL-103やAT-15Eを使用していましたが、DL-103は3倍の価格になり、もう使う意味は無くなったと思います。太めの音で結構いいと思っていましたが、上位機種に比べると価格の価値は・・・・。

最近購入したのがオルトフォンのMC-30Wです。すでに廃番ですが未使用のものが入手出来ました。クラシックがよくなるのでは?と思っていましたが、ところがどっこい、Jazzやロックに非常に合うとおもいました。MC-30Wは低音が量感豊かで、しかもブルンと気持いいのです。
高域も素晴らしく低音が大音量で出ていても綺麗に高音域も再生されトラッキングも完璧です。
その上、おそらく柴田針の効能だと思いますが、他のカートリッジでは常時出ていたノイズもMC-30Wにしてから目立たなくなりました。おそらく丸針でトレースしてできたレコードのダメージ部位とは柴田針は少し違うところをトレースするので、多少擦り切れたレコードもある程度復活するようです。

レコード再生のコツ
・レコードクリーニング
レコードはまず盤上のゴミを除去する事が必要で、これまで乾式でおこなっていましたが、これだとゴミが移動するだけでした。湿式のクリーナーにした所、だいぶゴミが気にならなくなりました。

・レコードのそり
これも結構効きます。スタビライザーを載せていましたが、完全ではないので、最近オーディオテクニカの吸着テーブルを入手しました。ポンプは無いのですが、強引に他の物で代用するとまだ吸着した状態で再生出来ました。
これは低音に効くのではと思っていましたが、そうではなく(もちろん低音も良くなりますが)高音域の歪がかなり改善されました。今まではレコード盤のビリつきで高音が歪んでいたようです。

・イコライザアンプ
フォノイコはレコード再生の要です。当然の事ながら弊社のイコライザアンプDCEQ-100にMC-30Wをダイレクトに接続して聴いています。ハムもノイズも試聴位置では聞こえないレベルになっています。

というわけで最近はレコード再生に感心しているのですが、定期的に聴いているので針の劣化が心配な今日このごろです。

事務所試聴再開しました
また、アンプの事務所での試聴も再開しましたので、弊社アンプ類にご興味のある方はご利用お待ちしております。

フォノイコライザアンプの入力インピーダンスとカートリッジのいけない関係

アナログレコードの用のMM,MCカートリッジについて、フォノイコライザアンプの入力インピーダンスはどうあるべきかという点について技術的な記載はあまり見当たらないので考えてみました。

一言で言うと
MMカートリッジの場合、47KΩで受けるべき、また入力容量は大きくしないこと
MCカートリッジの場合、MCカートリッジの内部インピーダンスの数倍で受けるべき
ということになります。

最近はよくMMカートリッジに容量を変化させるスイッチが付いているものもありますが、本来こんなものは必要ないと思うのですが(お寿司に焼き鳥のタレをつけているようなものです)、最近はこういう変なものが流行ってきているので、あーあ残念と言った感じがしています。

次に、技術的な観点からその理由を紹介します。


1.MMカートリッジの場合

MMカートリッジはコイルの巻数が多いので結構なインダクタンス成分を持ちます。したがってフォノイコライザアンプの入力インピーダンス(抵抗+容量)とで共振回路を形成するとして考えなければいけません。ちょっと古いカートリッジですがV-15?の場合で計算すると以下の様な周波数特性となります。
これはカートリッジ自体の周波数特性は考慮せず(フラットとして)、電子回路としての周波数特性になります。
MMカートリッジ使用時のフォノイコの入力容量を変化させた時の周波数特性

入力容量を大きくすると500pF以上でピークが発生します。当然音質も変わると思いますが、わざわざ高域にピークを作るのは(そうしないと音質が良くないという場合は)おかしな話です。

2. MCカートリッジの場合
MCカートリッジの場合、巻線のインダクタンスは小さいのでアンプ側の入力容量は影響しません。ただしアンプ側の入力インピーダンスは適切な値を選択する必要があります。入力インピーダンスが小さいとアンプ側に入力される信号電圧が小さくなるため(カートリッジの抵抗で損失するため)、カートリッジの数倍の抵抗値で受けるのが適切とされています。Ref1
これにさらにノイズ成分として、カートリッジとアンプ入力部で形成されるループの誘導電圧による影響を考慮すると以下のような結果になります。

MCカートリッジ使用時のSN比の負荷抵抗依存性

ここではDL-103を想定して内部インピーダンス40Ω、出力電圧0.3mVの値を使用しています。パラメータとして誘導電流を1nV,10nV,100nVで計算しています。
負荷抵抗が大きくなると誘導電流によるノイズの影響が大きくなるため、負荷インピーダンスはやはり数倍程度に留めておくべきということになります。

弊社のフォノイコライザーアンプDCEQ-100ではDL-103用に100Ω、オルトフォンの様な低インピーダンスMCカートリッジ用に10Ωのインピーダンスが選択できるようになっています。
ちなみにMMカートリッジのインピーダンスは47KΩ固定です。

Ref1) p117,基礎トランジスタアンプ設計法、黒田徹著、ラジオ技術社

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