これまでホームページやブログで様々な情報をお伝えしてきました。より多くの情報を正確にお伝えするためにYoutube動画を始めてみました。
動画の内容は製品紹介・会社紹介などはもちろんですが、技術的な内容をオーディオ講座としてお伝えしていこうと考えています。
最初の動画は、オーディオデザインのオーディオ講座(第一回)「SN比って何?基礎編」です。
SN比についてどこよりも詳しく、しかもわかりやすく紹介していますので、ぜひご覧ください。
コメントもお待ちしております。
前のブログで低音吸収体(BassTrap)を作ったことを紹介しました。このブログでは低音吸収体の設置後の周波数特性と聴感上の効果についてお話しします。
BassTrapを設置した前後の写真は次の通りです。右側はコーナーに、左はコンクリートの梁に設置しています。
左はBassTrap設置前、右がBassTrap設置後の様子
さて早速周波数特性を測定してみました。マイクの位置は試聴位置(SPから2.7mの距離)で、ちょうど部屋の真ん中の距離になります。
左列が左側、右列が右側SPの周波数特性です。また上段がBassTrap設置前、下段がBassTrapを設置した後の周波数特性になります。
測定はMyspeakerというソフトを使用していますが、縦軸は最大値(40Hz 付近)で自動的に規格化されています。
LEFT | RIGHT | |
Without Bass Trap | ![]() | ![]() |
With BassTrap | ![]() | ![]() |
40Hzの最大値で規格化されているので、一見すると100Hz 以下の低域レベルは変わっていないように見えます。ただ中高域のレベルはよく見ると下段のBassTrapを設置した後の方が、上昇しているように(つまり低域が下がっている)見えます。
特に左側SPでは設置後方が全体的な帯域バランスが明らかに改善されています。
さらにわかりやすくするためにBassTrap設置前後のスペクトルを重ねてみました。干渉を受けていなさそうな10-20kHz のレベルでそろえてみたのが下の図です。
黒線がBassTrap設置前、赤線がBassTrap設置後の特性になります。右側の図を比較すると40-100Hz付近でBassTrap設置後の方がレベルが2,3dB低下していることがわかります。
さらに下の図はLeft側の比較図になります。こちらも40-100HzあたりでBassTrap設置後の方がレベルが3dB程度低下していることがわかります。
今回BassTrapを設置して100Hz 以下のレベルが3dB程度低下していることが測定から明らかになりました。ただ周波数特性全体から見ると、まだ低域のレベルががかなり高く、もう3dB程度は下げたいところです。
肝心の音質ですが、だいぶ良くなりました。以前は明らかに低音過剰だったのですが、BassTrapp設置後は低音はかなり豊かな方ですが、このままでも結構聴ける感じになりました。
BassTrappを2個設置しましたが、在波効果の影響は多少緩和された程度で、解消とまでは行きませんでした。考えてみれば当然のことで、いくら効果的といえどもコーナーに2個設置した程度では、まだ吸音していない壁やコーナーの方が多いので、低域が3dB下がっただけでも効果絶大といえるでしょうか(何しろ半減しているのですから)。
BassTrappを設置していないと、低音域がほとんど吸収されない状態で、音が出っぱなしになっていることになります。これはたとえてみるとブレーキの無いスポーツカーみたいなもので、速く走ることはできません。スピーカーも同じで適切な低音吸収があってまともな環境になるということを、きっちりと低音を出すスピーカーを導入して初めて気づきました。
今後はさらにBassTrap を増やしてまともな低音環境を作っていきたいと思っています。
WilsonAudioのSabrinaを導入したものの低域の定在波が物凄くなり、とても聴けるバランスではないことは前に話しました。
単に低域が出過ぎではなく定在波効果の悪影響と判断したのは、低域が多すぎる場所が周期的に表れていたからです。部屋のSP設置側の壁、それと反対側の壁、そして部屋の中央(残念ながらここが試聴位置)で低音がブーミーになっていました。
そしてその定在波の周波数は一番極端なのが35Hz あたりです。この領域の吸音体というのは、調べてみると日本ではほとんど売ってません。そもそも100Hz以下の吸音率自体測定されていないものがほとんどです。
ちなみにBassTrapとしてよく見かけるウレタンのギザギザしたものは低音域では全く効果がありません。
調べてみると100Hz以下の低音を吸音するには
1.高密度グラスウール数十cm(できれば+空気層)
2.ヘルムホルツ共鳴型
3.メンブレン型
の3種類があるようです。
メンブレン型BassTrapは例えば非常に重い鉛入りゴムシートを張って、その後方に空気層を作ってばねとして働かせ、シートの直後にグラスウール(GW)で音響抵抗を負荷して制動するという原理だそうです。
GWで低域が吸音されないのはGWを音が通過するからなので、いったん膜で音を受け止めて、それを制動するというイメージでしょうか。また、制動がなければパッシブラジエーターと同じ原理だそうです。
海外では結構売っています。例えばこんな感じです。
性能も、100Hz 以下で吸収率1と驚異的です。作るのは大変なので輸入しようかと思いましたが、輸送代が相当高くなるので諦めました。
設計するにはこんなサイトが参考になります。
メンブレンシート1枚張り(青)と2枚張り(緑)のシミュレーション結果例
短辺67cm長辺1mの3角コーナー型BassTrap
ゴムシートは面密度4.2kg/m2という非常に重たいゴムシート2.8mm厚です。持ってみるとずっしりと想像より重いです。何しろ1m2で4kgというのは一昔前の重めのラップトッより重いくらいで、それがぶる下がっているというようなものですから。
メンブレンの重量ゴムシートと布地を張ったところ
音響抵抗としてGWを挿入
3.2kg/m3 5㎝厚を2枚
スピーカーの後ろの隅に置いてみたのがこちらです。さて、どんな結果になったでしょうか?
長くなったので結果の続きは次回に
ラインナップは次の通りです
型式 仕様 価格(税込)
MS-100L(ボード無) 99,000円
MS-100T(TinkerBoard) 121,000円
MS-100R (RaspberyPi) 121,000円 (ラズパイボード入手困難のため当面販売無)
コンピュータ・ボード付きのものは音楽再生OS「Volumio」をプリインストール済みです。
受注開始:4月18日
注文はこちらのオンラインショップからお願いします。
発送:4月末頃より順次発送の予定です。
入力ソースとしてはUSBメモリ、USBハードディスク、ネットワーク上のNAS(Soundgenic等)などの音源をUSB-DACなどで再生することができます。
音源のデバイスを選び、アルバムを選んでから曲の再生が行えます。
操作に関しては本体のタッチパネルでも可能ですが、タブレット、PCなどからも遠隔操作可能です。
詳細は製品ホームページをご覧ください。
操作自体は簡単ですが、セッティングなどにある程度のコンピュータの知識が必要になることがあります。ラズパイなどを自分でいじくる人向けの製品で、コンピュータは全くできないという人には向きません。
また使用している音楽用OS「Volumio」には多少のバグがあります。この点は免責とさせていただきます。製品保証も通常の製品と異なり、コンピュータ部は初期動作のみとなりますのでご了承ください。
最近Wilson Audio のSASHAという機種を聴く機会がありました。聴いた感想ですが低域が分厚くしかも低温でも音階を正確に刻むという、これまで他のSPでは聞いたことが無い音質でした。その結果オーケストラではごく普通の曲でも、聴き惚れていられるくらい良かったのです。最も聴いた場所は部屋に音響処理がされていて、普通の部屋で聞くよりももずっとよく聞こえるのですが、それを差っ引いても魅力的な音でした。高域もぎらぎらとせず、しっかりと細かいニュアンスまで再現され全体の帯域バランスも素晴らしいものでした。
その後いろいろ検討したのですが、結果として一つ下のモデルSabrinaを導入しました。聴いたSASHAはウーハー2本で高域が別箱の構成ですが、Sabrinaは20cmウーハーが一本で、一体型キャビネットになります。現行モデルはSabrina Xですが、導入したのはひとつ前のただのSabrinaというモデルになります。
困ったのは国内でこの辺のモデルに関する試聴記事がほとんどないことで、最終的には海外のレビューを参考にして導入を決めました。
ほんとうは実際に聴いたSASHAを導入できればよかったのですが、買えたとしても重量が100kg位あります。当社には男手は一人しかなく展示会に持っていくのは不可能です。当社の場合個人で楽しむという観点から機種を選択するのではなく、展示会でどう活かすかということも考慮しなければいけません。その点Sabrinaは42kgで、しかも段ボール梱包、何とか一人でも運べますので展示会でも活用できそうです。
そして今回Sabrinaを導入した第一印象ですが、ちょっと問題がありました。最近事務所のレイアウトを変えたせいで、かなり定在波の影響を受ける配置になっていました。B&’W804D3ではそれほどでもなかったのですが、Sabrinaでは低域が出過ぎてとても聴ける状態ではありませんでした。40Hzあたりがボワンボワンと盛大になって、中高域にかぶります。804D3ではそのような現象はなく、むしろ中高域がうるさいくらいで反対ですので、これはSPのせいか・・・導入は失敗だったのか・・・。
そして試しに周波数特性を計ってみると驚きの結果となりました。
試聴位置2.7mのところで計測すると聞いた通りで、低音域が古墳の様に盛り上がりまくりです。40Hzでは12dB(16倍の音量)位上昇しておりこれでは聴ける音ではないのも納得です。「これ低音出過ぎじゃね」と思いながらも試しにSP近傍で測定してみました。
これがもう再度びっくりで、ほぼ完全にフラット、これほど平坦な周波数特性は見たことがないくらいです(普通の部屋で測定したには)。要するにSabrinaが悪かったのではなく、部屋の特性(特に定在波効果)がひどかっただけなのです。
この定在波による悪影響を除くには50Hz 近辺を吸収するしかありません。ところが市販の吸音体はこの辺の周波数に効くものがありません。以前にギザギザしたコーナー用ウレタン吸音体を試したことがありますが、低音には(というか全体域で)全く効果がありませんでした。
いろいろ調べてみると海外には100Hz以下を吸音する吸音体が市販されている様ですが、日本には発送できない様です(大きいので)。仕方がないので作ることにしました。この効果やいかに。長くなりましたので結果は次回にお話ししたいと思います。
こんなことをしていてラズパイミュージックサーバーの方が若干遅れていましたが、もうほとんど仕様も固まっていますのでもうすぐ、出ます(お蕎麦屋?)。
ラズパイ4を使用したミュージックサーバーを試作しました。ラズパイ4を高性能なリニア電源(5V5A)で駆動し、タッチパネルの5インチ液晶パネル設置しています。
試作したサーバーの外観はこんな感じです。
リニア電源は単に従来の電源容量を大きくしただけでなく、様々なノウハウが投入されています。1A程度ですと,問題にならなかったことが、5Aになるといろいろと顕在化してくるからです。5Aで良質の電源を作ることは技術的にかなり難しかったのです。
ラズパイ4を動かすだけでしたら2Aもあれば問題ないようですが、HDDなど各種周辺機器を接続しても余裕がある設計になっています。
電源部が5V5Aのリニア電源でかなりの余裕があります。
リアパネルはラズパイ基板の一連のコネクタ(USB、LAN)が出るようにしてあります。カバーのサイドは一部カットしてラズパイの電源供給部、HDMI出力コネクタも使用できるようになる予定です。
写真はまだお手製のシャーシで、現在製品になるものを外注制作しています。
裏はシンプルにラズパイの端子が出ます。
ただ、今現在半導体不足でラズパイ4の入手が困難ですので、コンピューター(ラズパイ)レスと互換ボード搭載のものになると思います。
右がラズパイ4左が互換ボード
(実は互換の方が性能がいい)
価格はラズパイ以上高級オーディオ未満です。ラズパイ関連機材としてはべらぼうに高い方になると思いますが、いわゆるオーディオ機器の価格としてはかなり安い方でしょう。発売は4月くらいになると思います。
仕様が固まりましたらまたお知らせさせていただきます。