ミューザ川崎でコンセルトヘボウ管弦楽団を聴いてきた  -良くもあり悪くもあり-

コンセルトヘボウ管弦楽団は好きなオーケストラの一つです。以前にオランダのコンセルトヘボウで聴いたときにはその音の良さにえらく感動しました(ホールの音の良さも1番です)。ホールもいいのですが、演奏も良かったので、今回来日した機会を狙って聴きに行きました。

ミューザ川崎は以前に一度いったことがありますが、音は良かったです。その時は2階席の横でしたが、今回のコンセルトヘボウ管弦楽団の場合、人気があるので取れたのは4F席でした。4階席というのはもう一番後ろから2番目の列で最後尾という事になります。

11/16(日の)曲目はマーラーの交響曲第5番です。マーラーは何となく間延びしている感じがして普段はほとんど聴きません。今回聴いてみた感想ですが次の通りです。

曲: 

長い。けれど各楽章の冒頭部分にトランペットやホルンがソロっぽくリードする部分があって、そこの壮大さ、スケール感の大きさにはたまらないものがあります。

全曲演奏するのに68分という事でした。その間当然トイレには行けません。

アンコールはやりませんでした。これだけの大曲を演奏したのですから蛇足入りません。海外ではアンコールをしないケースが多いですし、私はアンコールが嫌いです(下手な楽団ほどたくさんやります)。

マナー:

ただ演奏が終わった瞬間、音の余韻がかなりあるうちに「ブラボー」と叫ぶ人がいて興ざめでした。最後の音を出した瞬間に叫ぶのですからどうかしてます。

クラッシックは好きなのですが、クラッシックファン(の一部?)は好きではありません。マナーというか人間性というかおかしな人が多いです(オーディオファンの方がまともです)。

演奏:

コンセルトヘボウ管弦楽団はやはり皆さん上手で管楽器でも音程が怪しくなるところが全くなく、安心して聴いていられます。これがN響だったらすべてアドリブになって聴いていられないことでしょう。管楽器のリードの後、バーンと全楽器が鳴る感じが多いのですが、この音の気持ちいい事。

さすがに4Fは後ろ過ぎる 音が来ないよ(最近は演奏後は写真が許可されているようです)

ホールの音:

前回は2回でいいホールだと思ったのですが、今回最後列の方で、さすがに音が来ません。音量も小さく、ホールの良さが実感できる席ではありませんでした。

このホールは分類すればアリーナ型(後方も開けている)でサントリーホールと同じですが、かなり周囲を絞っているというか、すり鉢状になっているのでサントリーホールの様に音がすかすかになる事はないと思います。もう少し前の方で聴ければ最高の音質だったでしょう。

ホールについて:

以前は感じなかったのですが、いかんせんトイレが少ない。2回のトイレの大の方はなんと1個しかありません。皆さん臭い中4,5人並んでいました。3,4階席でもトイレ(大)は3つで、ホールまで列ができていました。大震災の後このホールは改修されたと思いますが、しかしトイレの数が絶望的です。

また、席の前後が狭く、中に人が入ろうとすると、途中の人が全員立ち上がらなければならない状態でした。

この様に、ホール施設の設計は最悪ですが、チケット代は27000円と安くありません。いくら楽団が良くてももう行かないかなという設定ですね。

ただ機会があったら、もう一度コンセルトヘボウのホールで聴きたいと思いました。

間違いだらけのスピーカーセッティング(4) 周波数補正の結果、音はどうなったか?!

前回まででREWで周波数補正フィルターを制作しました。今回はいよいよ音楽再生ソフトRoonに導入して試聴した結果を報告します。

Roonへの補正フィルター導入方法

スピーカーのアイコンをクリックして、ポップアップした画面のくねくねしたマークをクリックすると下の様な補正画面が開きます。

この中で畳み込みフィルター(Convolution Filter)を有効にしてREWで作ったインパルス応答波形を読み込ませます。(畳み込みフィルターが表示されていない場合は追加します。)

補正の有無による特性の変化

周波数補正の有無による周波数特性

補正をすると特に低域の定在波によるピークが平坦化されていることがわかります。谷は補正できません。

周波数補正の有無による累積スペクトル特性

100Hz 以下の定在波によるピークが無くなることで、秒で残る余計な音はなくなりました。

試聴した結果

補正した音は確かにすっきりするのですが、低域の迫力が無くなって寂しい音でした。定在波の悪影響が無くなったかわりに、大事なものも失ってしまったのです。

そこで一工夫

そこで周波数補正をした状態で、低域を持ち上げてみました。

Roonのパラメトリックイコライザーで100Hz以下を3,4dB持ち上げてみました。

すると失われていた低域の押し出しの気持ちよさが戻ってきました。周波数補正をしているため、低域の特定のピークが無くなったため、ブーストしても違和感がありません。

終わりに

結論として、周波数補正で定在波の影響が出ないようにしたうえで、寂しくなった分をブーストすると、低域の歯切れの悪さを感じることなく、迫力が出て総合的に良くなりました。

周波数補正もただフラットにすればいいというわけではなく、総合的な試聴上のバランスを保ちながら行うことが大事だという事がわかりました。

間違いだらけのスピーカーセッティング(3) REWによる周波数補正フィルターの作り方 

前回フリーソフトのREWでスピーカーの周波数特性を測定しました。今回はREWを使用してRoon用の周波数補正用のフィルターの作り方を紹介します。

REWによる補正フィルターの作り方

REWで測定した後(あるいは測定データを読み込んだ後)、右上のメニューにEQボタンがあるので、そこをクリックすると別画面でEQウィンドウが開きます。

フィルターの制作

EQウィンドウでは右上にメニューバーがありますので上から順番に処理していきます。

EQ Genericではメニューにある特定のDSP機材を使用する場合に選択しますが、今回はGenericのままでOKです。

Target Settingをクリックすると以下の画面が開きます。

特定の周波数特性を指定したい場合はHouse Curveを入力します。目標の周波数特性がフラットで良ければ特に指定する必要はありません。

次にCalculalte target level from response をクリックして、合わせる音量レベルを設定します。ボタンを押せば平均値のところにTargetLevelが青線の様に設定されます。

次にフィルターの制作に移ります。FilterTasksメニューのMatchRangeで周波数特性を合わせこむ範囲を設定します。ブーストとして許容する値、合わせこむ精度FlatnessTargetなどを設定した後、Match response to targetを押すとフィルターの自動計算を始めます。

計算が終了するとフィルターで補正した後の周波数特性が表示されます(表示されない場合はPredictedをチェックして表示させます)。

定在波によるピークが無くなってフラットな周波数特性になっていることがわかります。

よければ作成したフィルターをSave filter coefficients to file でsaveします。

これでフィルターの制作は終わりです。

L,Rそれぞれにフィルターを制作したらメインメニューに戻ります。

インパルスフィルターの書き出し

次にREWのメインメニューで、先ほど制作した周波数特性LとRを表示させます。この時余計な周波数特性があると、あとでエラーになるので必要な特性だけを残しておきます。

REWのメインメニューのファイルからExport/Export Filters impulse response as wavを選択します。

するとFilters impulse response export 画面が開きますので、先ほど制作したフィルターのファイル名を指定します。最後にOKを押してexportします。

終わりに

慣れてしまえばむずかしい作業ではないと思います。

これでRoonに入れるフィルターの制作は完了しました。次は実際にRoonに入れて試聴してみます。

間違いだらけのスピーカーセッティング(2) 周波数特性の測定とその解析 

今回はスピーカーシステムの周波数特性を測定し、得られた特性の解釈について説明します。

試聴エリアのレイアウト

壁が斜めなので必然的に非対称配置になります。

スピーカーの至近距離で測定した周波数特性(部屋の影響が最小)

今回からMySpeakerではなくREWを使用しました。測定結果はほぼ同じ特性が得られています。MySpeakerの方がニュアンスが正確にわかって好きだったのですが、REWの方がはるかに便利です。

部屋の各位置での周波数特性

定在波効果と反射波による谷

周波数特性で50Hzと80Hzに大きなピークが各所に見られます。これは定在波効果によるものと考えられます。

また100-200Hz近辺に鋭い谷が見られますが、これは反射波によって音が打ち消されているためと考えられます。

定在波は100Hz以下の低域ですので普通の吸音材では解消できません。解消するには発生の原因となる壁にBassTrapを設置する必要があります。

また反射波に関しては反射している壁に吸音材を設置するか、拡散板を設置するのが有効と考えられます。

これらの部屋の音響特性の改良は大変な作業(工事)になりますので、一旦これで保留として、デジタル補正による周波数特性の改善を試みてみたいと思います。

これらの内容は以下の動画で詳細に解説しています。

間違いだらけのスピーカーセッティング ー左右対称にSPを置くのは間違いー

YouTubeに投稿した動画の内容ですが、私の考えるスピーカーセッティングについて、改めて簡単に説明させていただきます。

よく言われる常識的なスピーカーセッティングについて、ちょっと疑問に思うことが良くあります。例えば以下の様な内容です。

  1. スピーカーを対称に置く!
  2. 定在波のことを考えて配置する!(定在波よりまず反射)
  3. 専用のxx式リスニングルームを造る!
  4. リスニングルームに物を置かない!
  5. 定在波対策に市販のBassTrapを使う!
  6. 縦長配置ではなく横長配置にする!

その理由について説明します。

1. スピーカーを対称に置く!(これは間違いです!)

意外と思われる方も多いと思いますが、SPは対称に置かない方が音は良くなります。

完全に対称に設置すると、当然のことながら左右の周波数特性は同じになります。部屋での周波数特性が完全に平坦であればいいのですが、近くに壁がある以上反射の影響で数百ヘルツに大きな谷ができます。壁から反射した音の位相が逆相になるからです。

通常50cmから1m程度壁から離れている場合100-300Hzあたりに大きな谷ができます。子の帯域は低音の心地よさを支える最も大切な帯域で、この帯域が不足すると音の細い、寂しい音になってしまいます。

左右に非対称性があると、この落ち込む帯域が変わるのでL+Rで再生した場合に平均化されるので、この低域の落ち込みがかなり改善されるのです。

当社の現在の配置での実測データを示します。左右異なる特性が得られていますが、結果的に左右同時に鳴らして測定したデータの方が平坦化されていることがわかります。

(左右対称ですと当然のことながら左右の特性は同じで、L+Rも同じ周波数特性になります。)

非対称に配置されたSPの周波数特性

Lch,Rch単体よりもL+Rの周波数特性が平坦なことがわかります。

Dynaudio Special40 Right の周波数特性
Dynaudio Special40 Left の周波数特性
Dynaudio Special40 L+R の周波数特性
測定した部屋のレイアウト(完全に非対称)

左右の定位について

ここで皆さんが疑問に思うのは、定位がずれるのでは?という事でしょう。

結論から言うと全く問題ありません。音像の定位は主にkHz帯の高域で決まるからです。たとえベースの低音域の音も定位は根音あたりではなく、高域のkHz帯で決まっています。ですので中高域の音が左右そろっていれば問題ありません。中高音は左右に広がらず、直進する性質があるので、ちょっと内ぶりにしておけば壁の影響はほとんど受けないからです。

それでも左右の壁の非対称性が気になる方は(聴感上は問題ないのですが)、左右の壁を吸音性にすれば問題は解決されます。

実際当社の以前の事務所は、結果的に片側が壁、もう一方が空間という完全な非対称でしたが、音像はSPの中心に定位していました。

という事で、一見左右非対称に設置したほうが理想的と思いがちですが、それはある種最悪の設置方法ですよという一般論と真逆の説について解説しました。

この内容は以下のYouTubeでも解説しています。