間違いだらけのスピーカーセッティング(2) 周波数特性の測定とその解析 

今回はスピーカーシステムの周波数特性を測定し、得られた特性の解釈について説明します。

試聴エリアのレイアウト

壁が斜めなので必然的に非対称配置になります。

スピーカーの至近距離で測定した周波数特性(部屋の影響が最小)

今回からMySpeakerではなくREWを使用しました。測定結果はほぼ同じ特性が得られています。MySpeakerの方がニュアンスが正確にわかって好きだったのですが、REWの方がはるかに便利です。

部屋の各位置での周波数特性

定在波効果と反射波による谷

周波数特性で50Hzと80Hzに大きなピークが各所に見られます。これは定在波効果によるものと考えられます。

また100-200Hz近辺に鋭い谷が見られますが、これは反射波によって音が打ち消されているためと考えられます。

定在波は100Hz以下の低域ですので普通の吸音材では解消できません。解消するには発生の原因となる壁にBassTrapを設置する必要があります。

また反射波に関しては反射している壁に吸音材を設置するか、拡散板を設置するのが有効と考えられます。

これらの部屋の音響特性の改良は大変な作業(工事)になりますので、一旦これで保留として、デジタル補正による周波数特性の改善を試みてみたいと思います。

これらの内容は以下の動画で詳細に解説しています。

間違いだらけのスピーカーセッティング ー左右対称にSPを置くのは間違いー

YouTubeに投稿した動画の内容ですが、私の考えるスピーカーセッティングについて、改めて簡単に説明させていただきます。

よく言われる常識的なスピーカーセッティングについて、ちょっと疑問に思うことが良くあります。例えば以下の様な内容です。

  1. スピーカーを対称に置く!
  2. 定在波のことを考えて配置する!(定在波よりまず反射)
  3. 専用のxx式リスニングルームを造る!
  4. リスニングルームに物を置かない!
  5. 定在波対策に市販のBassTrapを使う!
  6. 縦長配置ではなく横長配置にする!

その理由について説明します。

1. スピーカーを対称に置く!(これは間違いです!)

意外と思われる方も多いと思いますが、SPは対称に置かない方が音は良くなります。

完全に対称に設置すると、当然のことながら左右の周波数特性は同じになります。部屋での周波数特性が完全に平坦であればいいのですが、近くに壁がある以上反射の影響で数百ヘルツに大きな谷ができます。壁から反射した音の位相が逆相になるからです。

通常50cmから1m程度壁から離れている場合100-300Hzあたりに大きな谷ができます。子の帯域は低音の心地よさを支える最も大切な帯域で、この帯域が不足すると音の細い、寂しい音になってしまいます。

左右に非対称性があると、この落ち込む帯域が変わるのでL+Rで再生した場合に平均化されるので、この低域の落ち込みがかなり改善されるのです。

当社の現在の配置での実測データを示します。左右異なる特性が得られていますが、結果的に左右同時に鳴らして測定したデータの方が平坦化されていることがわかります。

(左右対称ですと当然のことながら左右の特性は同じで、L+Rも同じ周波数特性になります。)

非対称に配置されたSPの周波数特性

Lch,Rch単体よりもL+Rの周波数特性が平坦なことがわかります。

Dynaudio Special40 Right の周波数特性
Dynaudio Special40 Left の周波数特性
Dynaudio Special40 L+R の周波数特性
測定した部屋のレイアウト(完全に非対称)

左右の定位について

ここで皆さんが疑問に思うのは、定位がずれるのでは?という事でしょう。

結論から言うと全く問題ありません。音像の定位は主にkHz帯の高域で決まるからです。たとえベースの低音域の音も定位は根音あたりではなく、高域のkHz帯で決まっています。ですので中高域の音が左右そろっていれば問題ありません。中高音は左右に広がらず、直進する性質があるので、ちょっと内ぶりにしておけば壁の影響はほとんど受けないからです。

それでも左右の壁の非対称性が気になる方は(聴感上は問題ないのですが)、左右の壁を吸音性にすれば問題は解決されます。

実際当社の以前の事務所は、結果的に片側が壁、もう一方が空間という完全な非対称でしたが、音像はSPの中心に定位していました。

という事で、一見左右非対称に設置したほうが理想的と思いがちですが、それはある種最悪の設置方法ですよという一般論と真逆の説について解説しました。

この内容は以下のYouTubeでも解説しています。

秋のヘッドホン祭り2025のご報告

秋のヘッドホン祭り2025が11月1日(土)に開催されました。その様子を報告します。

展示の様子

当社ブースの様子

19Vリニア電源を製品として出したという他はDACとHPアンプは前回までと同じ

試聴の様子

試聴してもらっている様子

今回は常時1人か2人の方が試聴している感じでした。

今回の感想

今回も会場全体の人の入りはいつもと同じような感じでした。ほぼいつも1,2人のお客様に試聴いただいている感じでした。全く新しいものが無いと寂しいので、今回はRoonによるヘッドホンの周波数補正(当社の製品ではありませんが)も宣伝していました。

ただお客様が感心されていたのは、当社DAC+HPアンプの音質で、なぜかいつもよりも絶賛される方が多かった(というよりも、ほとんどの方が素晴らしいと感心されていました)。

新製品ではないのに、なぜ今回特に音質を絶賛される方が多かったのかはよくわかりません。音質に感心されているだけでなく、なぜ音がいいのかと詳しく質問してくださった方がいらっしゃいましたが、うまく説明できませんでした。当社としてはアンプに関する総合的なノウハウが、かなりあるつもりなので、その辺を上手に説明できればよかったのですが、急に質問されると答えられないものですね。

それと今回特に言われたのが、奥行きがありすぎるという事。もともとオーディオラックに収めるサイズなので、机に置くには大きすぎるという指摘を5人くらいから言われました。ヘッドホンユーザーの望む仕様が今一つわかってないと実感しました。

他のブースを回っての印象

HiFimanのヘッドホンは結構好きなので、終了間際の時間のある時にブースに行ってみました。何気に正面にあったヘッドホンを(断ってから)取って聴いてみたら、オーケストラ、弦楽器の音が素晴らしかった。ヘッドホンできれいな音がするのは当たり前ですが、このヘッドホンは不思議なほどに弦楽器の音、オーケストラの音が美しく、今まで聴いた中で最も美しい中高音かもしれません。方向性としてはスピーカーでいえばハイルドライバーの音をもっとその方向に突き進んでいった音という感じでしょうか?

何気に手に取ったのがこのモデルSUSVARA UNVEILED

写真のDAC付きヘッドホンアンプもきれいな音を出すアンプですので(前回聴いたので知っていた)その効果もあるかと思いますが、これまで聴いた中で1番の中高音でした。機種名を見てみたら「SUSVARA UNVEILED」というもので、HIFimanの中で一番高価なモデルでした。その価格はなんと100万円。SUSVARA というモデルなら60万円位なのでちょっとほしいと思いました。

100万円というとCAMERTONと同じ価格帯です。CAMERTONはどっしりとした重低音が魅力でしたが、SUSVARA UNVEILEDは逆に中高音の雄という感じですね。

またHPアンプのEF1000は200万円位だそうです。このアンプ、多分所有している人はいないと思うので、ちょっと正直な感想を言うと、非常にキレのある音ですが、ボーカルなどはちょっときついところがあって(弦楽器はそういう方が切れがよく聞こえる)、100点ではないと思います。

HiFimanのヘッドホンが良かった

他にstaxさんのブースで試聴してみましたが、その環境ではコンデンサヘッドホンの本領を発揮できていない感じでした。音源が(こちらが持っていなかったのが悪いのですが)安いポータブルプレーヤからのアナログ信号をstaxのヘッドホンアンプに接続して聴いたので、何が原因かはっきりわからないのですが、staxさんの専用ヘッドホンアンプではちょっと物足りないというユーザーさんがいるのもわかる気がしました(作る予定はありませんが)。


最後にお客様からの試聴アンケートの結果を紹介します。

アンケートの結果

実際にお聴きになった感想

高域が綺麗に出ていて、聴いていて高域が刺さらなかった。

ワイドレンジでかつスムーズに聴けて、やはり好印象です。roon補正も興味深く聴きました。

全体の透明感が高まり情報量と共にそれを捉えられる解像度を持っていると感じた。

色付けの少ない音だと思いました。

良かった

SN比がとてもよく美しい音だった

音の鮮度感が素晴らしく、非常に生き生きとしたサウンドです。全体のバランスも良く整っており、倍音も豊かに響きますね

普段ご使用の機器(ソース/アンプ/ヘッドホン)

k9akm、tagot3-01、

マランツのプリメインアンプとSACDプレーヤーですが、一新する予定です。ヘッドフォンは高級機種を探索中です。

MDR-Z7M2

主にハイレゾ音源 AKのDAPやゼンハイザーのヘッドホン等

いろいろ

N30le、focalステリアなど

dcd sx1、p-750u mk2、ath-adx5000

DAC,ヘッドホンアンプクリアになるのに、低音もブーストされてた。

当社へのご要望・印象など5 件の回答

リニア電源が気になりました。

今後とも期待しています。

もう少しローコストの機種もお願いします!

無し

ハイエンドポータブル環境と親和性の高いもの 開発したいただけると嬉しいです

音元出版主催「ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ」11/22(土)-23(日)に出させていただきます

概要

音元出版主催「ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ」に出展します。

といっても、輸入商社さんの(株)PDNさんのブースの1日1コマで講演できることになったという事なのですけど。1日1講演(60分)ですのでタイムスケジュールをご覧いただきご来訪いただければ幸いです。

<イベント名>「ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ
<場所>浅草橋ヒューリックホール&カンファレンス
〒111-0053 東京都台東区浅草橋1-22-16ヒューリック浅草橋ビル
<開催日>2025年11月22日(土)、23日(日)
<入場無料>
<イベント内容>
・オーディオ製品とオーディオアクセサリー連続試聴イベント
・出展メーカーの製品展示コーナー(一部の製品は購入も可能)

当社デモ時間(予定) 於いて Room2(PDN/FURUTECHブース)

11/22(土) 15:40-16:40

11/23(日) 16:30-17:30

当社出展機器 

セパレートアンプDCP-240RとDCPW-240

プリメインアンプ DCPMA-100RE

DAコンバーター DCDAC-180、 フォノイコ DCEQ-180

スピーカーはParadim社のPersonaB/Persona7Fとなります。

当社講演以外の時間帯も、他社の講演で当社アンプを使用する機会はあると思います。

出展場所

Room2 この部屋はPDNさんとフルテックさんの共同出展となります。当社はPDNさんの枠の一部で講演させていただきます。

Roonでヘッドホンの周波数補正をしたら凄いことになりました

秋のヘッドホン祭り2025に出展することを前回お伝えしました。

今回出展内容の一つとして、再生ソフトRoonに付属しているヘッドホンの周波数補正を挙げています。前から周波数補正が付いていることは知っていましたが、実は試したことはありませんでした。今回出展前の準備として試した結果をお知らせします。

結果がすごかった

これまで何故試したことがなかったかというと、

・どうせ大したことないと暗に思っていたから
・ヘッドホンは普段聴いていないから

ということなのですが、実際試したところ、・・・・・・・・・

効果が半端なかった。

テストしている様子

後ろに見えているのがミニPCと当社19V4A電源

とりあえず、昔のヘッドホンゼンハイザーのHD-595を接続して、Roonに補正曲線があるか探したところ、ありました。結構マイナーなヘッドホンでも曲線があるようで、イヤホンも含めてほとんどあらゆる種類を網羅しているように思います。

HD-595の周波数補正カーブ

そして、周波数補正をして聴いてみると、その変わりようと音質向上にたまげてしまいました。ヘッドホンの音質は繊細でいいのはわかるのですが、中高音がはっきりし過ぎてすきではありませんでした。ただ今回の周波数補正をしてみると、全く変わって、ゆったりとした低音にちょうどいい中高音が乗っかって非常に良かったのです。

確かに頭内に音像ができるというのはあるのですが、ほとんど気にならなくなりました。これまでヘッドホンが好きではなかったのは単に周波数特性の問題なのかと改めて気づきました。

ほかのヘッドホンの補正曲線も見てみましたが、総じて低域を上げて、加えて高域のピークを補正しているようです。

周波数特性を補正する機能はスマフォのアプリにもあるかもしれませんが、CPUやソフトがある程度優れていないとデジタル補正は音質が劣化するので、PCで行っているのも良かったのかもしれません。

当社のヘッドホンアンプは実際聴いたときに「はっきりし過ぎているかな」と思える時もあったのですが、周波数補正をしたら「悪いところないじゃん」という感じなりました。

最後に

気になる方は是非ヘッドホン祭りの当社ブースに来て聴いてみて下さい。

11月1日(土)ステーションコンファレンス東京 5F・6F 
当社ブース503B

皆さんのご来場をお待ちしております。