以前にAC100Vライン用のノイズ検出器を作った報告をしましたが、今回はそれを使用してもう少し解析を進めた内容を報告させて頂きます。
測定内容
AC100Vライン用の検出器の話は以前のコラムをご参照していただくとして、今回さらにそのスペアナ波形をPCにデータで取り込んで画像化した結果をお見せします。またAC100Vラインそのもの、さらに高周波ノイズフィルターを使用した結果等についての結果を紹介します。
測定結果
これからお見せするのは、家庭のAC100Vラインのノイズ成分をスペクトルアナライザーで見た波形です。横軸の周波数軸は0-10MHzで分解能10KHz、スペクトル100回の平均化データ、縦軸は10dB/dBです。まず、検出系のノイズスペクトルを示します。このデータは検出系をACラインに接続しない状態で測定したものです。
1.検出系のノイズスペクトル
この状態でノイズはほとんど見えません。
次に検出器をAC100Vラインに接続した状態で測定したスペクトルは次のとおりです。
2.AC100Vラインの高周波ノイズスペクトル(スイッチON/通電)
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周波数は同じく0-10MHzです。以前のブログで紹介した際は20MHzあたりにもノイズがあったのですがなぜか今回は10MHz以上にノイズはほとんどありませんでした。7MHz付近にただならぬこってりとした分布があります。恐らくスイッチング電源(DCアダプター、PC、その他家電機器)から出た高周波ノイズがACラインに重畳しているのだと思います。波高値としては10mV程度です。それに加えて100-250KHz付近と低周波領域30KHz以下にもノイズがあります。
それとおもしろいことにこの手のノイズは例えば測定しているテーブルタップスイッチを切っても(通電されていない状態でもACコンセントを挿していれば)、ほぼ同じノイズが混入してくることです。その状態がこちらです。
3.AC100Vラインの高周波ノイズスペクトル(スイッチOFF/非通電)
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これを見ていただくとわかる様に2の通電状態とほぼ同じスペクトルになっています。ACコンセントの片側だけが接続された状態でも、ノイズが侵入してくるということはコモンモードノイズと呼ばれるモードのノイズが侵入しているのだと推測されます。
ACライン用に高周波フィルターなるものが市販されています。これらのラインフィルターはカタログではコモンモードノイズも40dB程度は除去できることになっています。そこで電源ボックスのRFのフィルター付きのACインレットを付けてその効果を調べてみました。その結果がこちらです。
4.AC100Vラインの高周波ノイズスペクトル(RFフィルター有り/スイッチON/通電)
上のスペクトルはRFフィルターを通した状態でのノイズスペクトルです。多少の効果はあるのですが残念ながらノイズが除去できているとは言えない状態です。
一般に高周波ノイズ(とはいってもこの周波数帯は低周波といえばそうなのですが)はいわゆる電気の常識が通用しない所があって扱いが難しいですね。